1971年イギリスグランプリ

1971年イギリスグランプリは、1971年のF1世界選手権第6戦として、イギリスのシルバーストン・サーキットで7月17日に開催されました。このレースは、2週間前の悲劇的な事故でペドロ・ロドリゲスを失った直後に行われ、その影が大きくレース全体を覆っていました。

レース直前の7月11日、西ドイツのノリスリンクで開催されたインターセリエスポーツカーレースで、ペドロ・ロドリゲスはフェラーリ・512Sを運転中に激しいクラッシュを経験。炎上するマシンから救出されましたが、重傷を負い、その後死亡しました。この事故は、F1界に大きな衝撃を与え、同年開催予定だったメキシコグランプリは中止となりました。

ドライバーのエントリーリストにも、ロドリゲスの死の影響が見て取れます。BRMチームはジョー・シフェールをエースに据え、ロータスはガスタービンエンジン搭載の56Bを投入。マクラーレンにはジャッキー・オリバーが加わり、マーチはアレックス・ソラー＝ロイグを解雇し、ナンニ・ギャリがDFVエンジン搭載マシンを引き継ぎました。地元イギリスからはデレック・ベルとマイク・ボイトラーがスポット参戦しました。

予選ではフェラーリのクレイ・レガツォーニがポールポジションを獲得。僅差でジャッキー・スチュワート、ジョー・シフェール、エマーソン・フィッティパルディ、ロニー・ピーターソンがトップ5を占めました。

決勝レースは、スターターの旗の遅れによる混乱から始まりました。ジャッキー・オリバーとグラハム・ヒルの接触事故も発生しました。スタート直後からトップ争いは激しく、スチュワートはレガツォーニ、イクスを次々に抜き去り、トップに躍り出ました。スチュワートはその後も着実にリードを広げ、終始レースを支配しました。

一方、エマーソン・フィッティパルディはスタートで出遅れましたが、その後素晴らしい追い上げを見せ、ロニー・ピーターソン、ティム・シェンケンと激しい3位争いを展開しました。レガツォーニは一時2位に浮上するも、その後タイヤ交換時にトラブルに見舞われリタイア。シェンケンもギアボックスの故障でリタイアとなりました。

最終的に、ジャッキー・スチュワートが母国グランプリで圧勝し、今シーズン4勝目を挙げました。ロニー・ピーターソンが2位、エマーソン・フィッティパルディが3位と、表彰台はスチュワートと若手ドライバーが占める結果となりました。

この勝利により、スチュワートはチャンピオンシップポイントで2位のイクスとの差を大きく広げ、タイトル獲得に向けて大きく前進しました。イギリスグランプリは、ペドロ・ロドリゲスの死という悲劇と、ジャッキー・スチュワートの圧倒的な勝利というドラマが交錯した、記憶に残るレースとなりました。平均速度は210.007km/h、ファステストラップはスチュワートが記録した1分19.9秒でした。マイク・ボイトラーはF1デビューを果たし、スチュワートは10回目のファステストラップを記録、マーチは10回目の表彰台を獲得しました。

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