1980年代の建築

1980年代の建築：多様な表現と技術革新の時代

1980年代は、建築界にとって大きな転換期でした。ポストモダンの影響が色濃く残る一方で、新しい技術やデザインの探求が活発に行われました。この時代には、数多くの建築コンペが開催され、若手建築家が台頭し、独創的な建築物が数多く誕生しました。

日本の主要作品

1980年代の日本建築は、多様なスタイルが混在し、それぞれの建築家が独自の表現を追求しました。

生闘學舎（1980年、高須賀晋＋宮下英雄）： この建築は、地域社会との連携を重視したデザインが特徴です。
光格子の家（1980年、葉祥栄）： 光と影のコントラストを活かした美しい住宅建築です。
名護市庁舎（1981年、象設計集団＋アトリエ・モビル）： 沖縄の風土に根差した、地域性を尊重したデザインが評価されました。
新高輪プリンスホテル（1982年、村野藤吾）： モダニズム建築の巨匠による、洗練されたデザインが特徴です。
六甲の集合住宅I（1983年、安藤忠雄）： コンクリート打ち放しの壁面が特徴的な、安藤忠雄の初期の代表作です。
つくばセンタービル（1983年、磯崎新）： ポストモダンの影響を受けつつも、独自の表現が試みられた建築です。
釧路市立博物館（1983年、毛綱毅曠）： 地域の歴史と文化を反映したデザインが特徴です。
伊豆の長八美術館（1984年、石山修武）： ユニークな形状と素材使いが印象的な美術館です。
シルバーハット（1984年、伊東豊雄）： 軽快な構造とデザインが特徴的な建築です。
世田谷美術館（1985年、内井昭蔵）： 周囲の環境と調和した、落ち着いた雰囲気を持つ美術館です。
スパイラル（1985年、槇文彦）： 多様な機能を持つ複合施設で、その斬新なデザインが話題になりました。
風の教会（1986年、安藤忠雄）： 自然光を巧みに取り入れた、幻想的な空間が特徴的な教会です。
ヤマトインターナショナル（1986年、原広司）： オフィスビルでありながら、斬新なデザインが特徴です。
東京工業大学百年記念館（1987年、篠原一男）： 幾何学的な構成が美しい、記念館です。
キリンプラザ大阪（1987年、高松伸）： 斬新なデザインで注目を集めましたが、2008年に取り壊されました。
結晶のいろ（1987年、高崎正治）： 独特な形状と素材の組み合わせが印象的な建築です。
光の教会（1989年、安藤忠雄）： シンプルながらも力強い空間を持つ、安藤忠雄の代表作の一つです。
幕張メッセ（1989年、槇文彦）： 大規模な展示施設で、その機能性とデザイン性が評価されました。
葛西臨海水族園（1989年、谷口吉生）： 自然光を取り入れた、開放的な水族館です。

海外の主要作品

海外でも、1980年代には数多くの印象的な建築物が誕生しました。特に、ベルリン国際建築展では、多様な建築家が参加し、都市開発における新たな試みがなされました。

コンペ・受賞

1980年代には、数多くの建築コンペが開催され、新しい才能の発掘や建築デザインの発展に貢献しました。

丹下健三のプリツカー賞受賞： 日本の建築家として初の快挙でした。
ベルリン国際建築展（1980-1987年）： 都市開発における、新たな可能性を示唆しました。
オスロ中央駅（ジョン・エンフ当選）： 機能性とデザイン性を兼ね備えた駅舎です。
福井県立美術館指名設計競技（佐藤武夫事務所当選）： 地域に根差したデザインが評価されました。
半田市立図書館（1980年）
太田町真木真昼国民宿舎建築設計競技（1980年）
旧オルセー駅駅舎美術館転用計画建築設計競技（1980年）： 歴史的建造物の再利用における、新たな可能性を示しました。
ヴィレット科学産業都市博物館（1980年）
ヴィレット音楽産業都市博物館（1980年）
アラブ世界研究所（ジャンヌーヴェル当選、1981年）： 幾何学的なデザインが特徴的な建築です。
春日市光町共同利用施設競技設計（1981年）
太田市社会教育総合センター 競技設計（1981年）
秋田県果樹試験場本館建築設計競技（1981年）
東京理科大学100周年記念図書館設計競技（1981年）
名古屋市芸術創造センター設計競技（1981年）
ポルト市の文化センター（Casa das Artes）の建築設計競技（1981年）
萩須記念館（1981年）
パリ・ラ・グランデ・アルク・デ・ラ・デファンス（ヨハン・オットー・フォン・スプレッケルセン当選、1982年）： パリの新たなランドマークとして、注目を集めました。
荻須記念館全国公開設計競技（1982年）
パリ・バステューユ新オペラ座国際オープンコンペティション（1982年）： 国際的な建築家が競い合ったコンペです。
フランス大蔵省新庁舎（1982年）
人権ビルナシオン広場
新凱旋門グレートアーチ（1983年）： 斬新なデザインで、パリの新たなシンボルとなりました。
パリ新オペラハウス国際設計競技（1983年）
シテ・デ・ラ・ミュジーク、パリ（クリスチャン・ド・ポザンパルク当選、1983年）： 音楽文化の発展に貢献しました。
オペラ・バスティーユ、パリ（カルロス・オットー当選、1983年）： 大規模なオペラハウス建設における、新たな挑戦でした。
新潟市立美術館指名設計競技（1983年）
練馬区医師会館指名設計競技（1984年）
藤枝市郷土博物館（1984年）
日本火災海上軽井沢厚生寮公開設計競技（1984年）
日本歯科医師会館指名設計競技（1985年）
駒ケ根市文化公園施設群公開設計競技（1984年）
ニーム・キャレ・ダール（ノーマン・フォスター当選、1984年）： 歴史的建造物と現代建築を融合させたデザインが特徴です。
シテ・ド・ラ・ミュジークの建築設計競技（1984年）
東京夢の島熱帯植物館（1985年）
メッセタワー、フランクフルト・アム・マイン（Helmut Jahn当選、1985年）： 高層建築における、新たな可能性を示しました。
横浜市港湾局みなとみらい2ドックパーク基本計画設計競技（1985年）
石垣市民会館指名設計競技（1985年）
全労済会館公開建築設計競技（1985年）
四条アーケード設計競技（1985年）
新国立劇場（柳澤孝彦当選、1986年）： 演劇文化の発展に貢献しました。
新都庁舎コンペ（丹下健三当選、1986年）： 東京都の新たなランドマークとして、建設されました。
犬山市立図書館（1985年）
三州丸栄建築設計競技（1985年）
土浦市立博物館（1985年）
全労済会館公開建築設計競技（1986年）
愛知県新文化会館(名城地区-図書館)（1986年）
東京都設計事務所健康保険組合熱海リフレッシュセンター建築設計競技（1987年）
三重県口腔保健センター競技設計（1987年）
モルガン・スタンレー銀行設計競技（1986年）
ハーグ市庁舎（リチャード・マイヤー当選、1986-1989年）： モダンデザインが特徴的な庁舎です。
オペラ・ナショナル・リヨン（ジャン・ヌーヴェル当選、1986年）： 歴史的なオペラハウスの改築プロジェクトでした。
バイエル社インフォメーションセンター国際指名設計競技（1987年）
バイエルン社植物防疫研究センター国際指名設計競技
バタノスタースクエア国際指名設計競技（1987年）
愛知県新文化会館図書館競技設計（1987年）
愛知県新文化会館公開設計競技（1987年）
愛知県芸術文化会館コンペティション（1987年）
秋田総合婦人会館（アトリオン）提案競技
日本コンベンションセンター（幕張メッセ）： 大規模なコンベンション施設です。
坂本龍馬記念館公開設計競技（1987年）
東京造形大学キャンパス指名設計競技（1987年）
愛知芸術文化センター建築設計競技（1987年）
北名古屋市図書館（1988年）
北海道立帯広美術館（1988年）
三島市文化会館指名設計競技（1988年）
愛知県新文化会館(栄地区)（1988年）
富山県科学情報センター指名設計競技（1988年）
東洋大学白山キャンパス指名設計競技（1988年）
青山製図専門学校校舎公開設計競技（1988年）
千代田生命広尾本社ビル事業コンペ（1988年）
星田アーバンリビング・デザインコンペティション（1988年）
大阪国際平和センター（ピース大阪）建築設計コンペ（1988年）： 平和をテーマにした建築デザインが追求されました。
オランダ建築研究所、ロッテルダム（ヨー・クーネン当選、1988年）： 現代建築における、新たな挑戦でした。
フランス国立図書館（1989年）： 大規模な図書館建築における、新たな挑戦でした。
ベルリン・ユダヤ博物館（ダニエル・リベスキンド当選、1989年）： 歴史的な記憶をテーマにした、斬新なデザインが特徴です。

まとめ

1980年代の建築は、多様なスタイルや技術が交錯し、後の建築界に大きな影響を与えました。この時代の建築家たちは、従来の枠にとらわれない自由な発想で、数々の名作を生み出しました。これらの建築物は、現代においても、その独創性と美しさで人々を魅了し続けています。

関連項目

日本近代建築史
1950年代の建築
1960年代の建築
1970年代の建築
1990年代の建築
* 2000年代の建築

もう一度検索