1982-1983シーズンのNBA

1982-1983年 NBAシーズン

1982-1983シーズンは、NBAにとって37回目のシーズンでした。このシーズンは、後のNBAを代表するスター選手の登場、チームの勢力図の変化、そしてリーグの安定化に向けた重要な転換期となりました。

シーズン前の動き

ドラフト

1982年のドラフトは、1980年代のNBAを彩る2人のスター、ジェームス・ウォージーとドミニク・ウィルキンスが指名されたことで特筆されます。

全体1位でロサンゼルス・レイカーズに指名されたジェームス・ウォージーは、マジック・ジョンソンと共に「ショータイム」レイカーズの象徴的な存在となります。レイカーズが1位指名権を持っていた背景には、1979-80シーズン中にクリーブランド・キャバリアーズとのトレードで獲得した権利がありました。当時のキャバリアーズは低迷期にあり、将来のドラフト指名権を放出するという失策を犯し、レイカーズにウォージー獲得の機会を与えてしまったのです。ウォージーの加入は、レイカーズの速攻 중심のオフェンスを 완성させ、黄金時代を築く原動力となりました。

全体3位でユタ・ジャズから指名されたドミニク・ウィルキンスは、アトランタ・ホークスとのトレードで入団します。ホークスは長年のエース、ジョン・ドリューを放出してウィルキンスを獲得したことからも、彼に対する期待の高さが窺えます。ウィルキンスは、その類まれなる 운동能力とダンクで観客を魅了し、ホークスを80年代後半の強豪チームへと押し上げました。

この他にも、テリー・カミングス、ラサール・トンプソン、クインティン・デイリーなど、後のNBAで活躍する選手たちが指名を受けています。オールスターゲームには、ウォージー、カミングス、ウィルキンスを含む7人が選出され、彼らの才能が早くから認められていたことがわかります。

その他

ケーブルテレビ局USAネットワークとの契約が延長され、ESPNとの放送権共有も行われました。

シーズン概要

チームの動向

モーゼス・マローンを獲得したフィラデルフィア・76ersは、リーグトップの65勝を記録しました。一方、マローンを失ったヒューストン・ロケッツは大きく低迷しました。

フェニックス・サンズは、モーリス・ルーカスを獲得し、ベテラン選手と有望な若手が融合したチームでしたが、このシーズンを境に衰退していきます。ニューヨーク・ニックスは、バーナード・キングを獲得し、2シーズンぶりにプレーオフに復帰しました。ポートランド・トレイルブレイザーズは、NBA史上最長となる21シーズン連続プレーオフ出場をこのシーズンから記録しました。

個人タイトル

最優秀選手：モーゼス・マローン（フィラデルフィア・76ers）
新人王：テリー・カミングス（サンディエゴ・クリッパーズ）
最優秀守備選手賞：シドニー・モンクリーフ（ミルウォーキー・バックス）
シックスマン賞：ボビー・ジョーンズ（フィラデルフィア・76ers）
最優秀コーチ賞：ドン・ネルソン（ミルウォーキー・バックス）

オールスターゲーム

開催地：カリフォルニア州イングルウッド
結果：イースト 132 - 123 ウエスト
MVP：ジュリアス・アービング（フィラデルフィア・76ers）

プレーオフ

Fo・Fo・Fo

76ersは、ファイナルでロサンゼルス・レイカーズを4勝0敗で下し、1967年以来16年ぶりとなる優勝を果たしました。マローンはファイナルMVPに輝き、シーズンMVPとの同時受賞を達成しました。プレーオフ前にマローンが宣言した「Fo, Fo and Fo」（全勝優勝）は、カンファレンス決勝で1敗したため実現しませんでしたが、76ersの圧倒的な強さを示すものでした。

初の労使協定

リーグの財政難を背景に、NBA初の労使協定が締結されました。サラリーキャップ制度の導入や選手の最低保証額の設定などが盛り込まれ、リーグの健全化に大きく貢献しました。この協定締結には、当時協会の顧問弁護士を務めていたデビッド・スターンが尽力しました。

ラストシーズン

スティーブ・ミックス、デイブ・コーウェンス、スペンサー・ヘイウッドなど、多くのベテラン選手がこのシーズンを最後に現役を引退しました。彼らはNBAの歴史に名を刻み、次世代の選手たちに道を譲りました。

1982-1983シーズンは、スター選手の台頭、チームの勢力図の変化、リーグの安定化に向けた取り組みなど、様々な要素が絡み合った、NBAにとって重要なターニングポイントとなるシーズンでした。

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