1987年大韓民国大統領選挙

1987年大韓民国大統領選挙の概要

1987年12月16日に実施された第13代大韓民国大統領選挙は、国民の直接選挙によって行われ、一週間の期間中に候補者たちが選挙戦を繰り広げました。この選挙は、1971年以降約16年ぶりの直接選挙による大統領選であり、韓国の政治史において重要な転機となった事例です。

背景

この選挙の背景には、1987年初頭に発生した学生運動や朴鍾哲の弾圧死があり、これが「6月民主抗争」と呼ばれる一連の民主化要求デモへと進展しました。抗争の結果、政権与党の盧泰愚民正党の最高委員が6月29日に民主化宣言を行いました。この流れの中で、1988年2月25日に施行される新たな憲法の下、直接選挙制が導入されました。

選挙戦の展開

今回の選挙は、与党の盧泰愚候補、野党統一民主党の金泳三候補、平和民主党の金大中候補、そして新民主共和党の金鍾泌候補という四人の候補者が争いました。これらの候補者はそれぞれの地域性に訴えかける形で選挙運動を展開し、特に地域感情が高く働きかけられました。

一方、選挙運動期間中には特に印象的な事件が発生しました。1987年11月29日には、大韓航空機爆破事件が起こり、これにより選挙への影響が懸念されていました。この事件の実行犯である金賢姫が投票日前に韓国に移送され、メディアで大きく取り上げられました。

選挙制度

今回の選挙は、国民による直接選挙が採用され、選挙権は20歳以上の韓国国民に与えられました。候補者の条件として、政党の党員は党の推薦を必要とし、無所属候補者は選挙権者の署名を集めなければなりませんでした。また、当選者は有効投票の最多得票を獲得した者とされ、投票日当日は1987年12月16日でした。

選挙結果

投票結果では、投票率は89.2%であり、盧泰愚候補が勝利を収めましたが、彼の得票率は36%に過ぎませんでした。一方で、金泳三と金大中の合計得票率は55%であり、野党の分裂が当選には大きな要因となりました。このように、地域の情勢や感情が投票行動に強く影響を及ぼした事が明確に表れた選挙でした。

結論

1987年の大韓民国大統領選挙は、韓国における民主化運動の一環として歴史的な重要性を持ち、新しい政治の開幕を可能にしました。特に直接選挙という方式は、国民が自らの意見を反映させる大きな機会を与え、政治の透明性を高める意義を持っていました。この選挙は、韓国の今後の政治的な流れに多大な影響を与えただけでなく、国民の間の民主主義意識の高まりを示すものでした。

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