1996年のラジオ (日本)

1996年、変革期を迎えた日本のラジオ界

1996年の日本のラジオ放送は、長年親しまれてきた番組がその歴史に終止符を打つ一方で、新たな放送局が各地で開局するなど、大きな変化と活気を見せた一年となりました。リスナーの多様なニーズに応えるべく、ラジオを取り巻く環境は着実にその姿を変えていったのです。

長寿番組の終焉

この年、リスナーに深く愛されてきた複数の長寿番組が惜しまれつつ最終回を迎えました。特に注目されたのは、ニッポン放送で1978年から18年にわたり平日午前の帯番組として続いた『玉置宏の笑顔でこんにちは!』が3月29日に終了したことです。多くの人々の朝を彩ってきたこの番組の終了は、一つの時代が終わったことを感じさせました。

また、TBSラジオで1981年 4月のスタート以来、15年3か月にわたって深夜の若者たちに支持されてきた『ラジオはアメリカン』も、6月30日（29日深夜）の放送をもってその役割を終えました。さらに、ニッポン放送の平日夕方のミニ番組『ほっと一息裕子です』（1987年 4月開始、9年放送）も9月27日に終了。これにより、『小さな朝の詩』から続いたニッポン放送におけるマツダ一社提供枠も消滅しました。この他にも、TBSラジオの『三菱ドライビングポップス』が3月中に放送を終えています。これらの長寿番組が姿を消したことは、ラジオ番組の構成や聴取習慣にも影響を与えたと考えられます。

新たな声、ラジオ局の誕生

番組が移り変わる一方で、新たな放送局が多数開局し、ラジオの放送エリアは拡大しました。1996年には、特に地域に根ざしたコミュニティFM局の誕生が目立ちました。民間放送局としては、4月1日にエフエムインターウェーブ（現在のInterFM897）が、12月1日にはエフエム滋賀が新たな周波数で放送を開始しています。

全国各地では、以下のような多数のコミュニティFM局が次々と開局しました。地域住民に向けたきめ細かい情報提供や、地元に密着した多様な番組づくりを目指すコミュニティFMの広がりは、ラジオが地域メディアとしての重要性を増していく流れを示しています。中には、後に廃局したり、災害時放送に関する協定を締結したりするなど、その後の歩みは様々でした。

1月17日 - エフエムわいわい（兵庫県、後にインターネットラジオへ移行）
2月21日 - 仙台あおばコミュニティ放送（RADIO3、宮城県）
4月1日 - エフエムはまなす（北海道）、エフエムかなざわ（石川県）、エフエム高松コミュニティ放送（FM815、香川県）、熊本シティエフエム（FM791、熊本県）
4月28日 - 藤沢エフエム放送（レディオ湘南、神奈川県）、東京コミュニケーション放送（SHIBUYA-FM、東京都、後に廃局）
6月2日 - エフエムしみず（静岡県）
7月1日 - エフエムわっかない（北海道）、かわさき市民放送（かわさきFM、神奈川県）、エフエムびざん（B-FM791、徳島県）
7月20日 - 札幌コミュニティ放送局（ラジオカロスサッポロ、北海道）
7月27日 - エフエム小樽放送局（北海道）
8月8日 - エフエムふくやま（レディオBINGO、広島県）、エフエム萩（FM NANAKO、山口県）
8月31日 - 福島コミュニティ放送（FMポコ、福島県）
9月1日 - いわき市民コミュニティ放送（FMいわき、福島県）
9月15日 - エフエムさがみ（FM HOT 839、神奈川県）
9月21日 - エフエム会津（福島県）
10月1日 - 天神エフエム（福岡県、後に廃局）
10月26日 - エフエムあまがさき（兵庫県）
11月1日 - ラジオこまつ（石川県）
11月3日 - エフエムちゅうおう（YES-fm、大阪府）
11月15日 - ラジオななお（石川県）
12月1日 - ラジオたかおか（富山県）、エフエム三木（エフエムみっきぃ、兵庫県）
12月21日 - 伊丹コミュニティ放送（エフエムいたみ、兵庫県）
12月24日 - エフエムくらしき（岡山県）
12月25日 - けんと放送（FM KENTO、新潟県）
* 12月26日 - エフエムセト（岡山県、後に廃局）

新番組の始まり

新たな局が開局するとともに、各放送局では春と秋の番組改編期を中心に、多数の新番組がスタートしました。NHKでは、ラジオ第1で『ラジオ名人寄席』や『ふるさと自慢うた自慢』、FMで『クラシック・ポートレート』や『サタデーホットリクエスト』などが放送を開始。民放では、TBSラジオで『お待たせしました浜村淳です!』が、ニッポン放送では『いまに哲夫のジョイフルモーニングニッポン』、『加トちゃんのラジオでチャッ!チャッ!チャッ!』、『つかちゃんのりこのGO!GO!ヒットパラダイス』などが新たにラインナップに加わりました。これらの新番組は、多様なジャンルやターゲット層に向けたものであり、ラジオ番組の提供内容の幅広さを示していました。

まとめ

1996年は、長年にわたりラジオを支えてきた番組の終了という寂しさがある一方で、全国各地での新局開局による放送網の拡大や、多様な番組の開始など、ラジオが社会の変化に対応し、進化を続ける一年でした。特にコミュニティFMの増加は、地域社会におけるラジオの新たな役割を示唆しており、メディアとしての可能性を広げたと言えるでしょう。この年の出来事は、その後の日本のラジオ放送のあり方にも影響を与える節目となったのです。

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