2000光年のかなたに

ローリング・ストーンズの代表曲の一つとして知られる「2000光年のかなたに」(2000 Light Years From Home)は、1967年発表のアルバム『サタニック・マジェスティーズ』に収録されている楽曲です。ミック・ジャガーとキース・リチャーズによって作詞作曲され、ロンドンのオリンピック・スタジオで1967年6月と9月の二度に渡ってレコーディングされました。

この曲は、逆回転再生や様々な効果音などを多用した、実験的でサイケデリックなサウンドが特徴です。アルバム『サタニック・マジェスティーズ』全体がサイケデリックな雰囲気に包まれている中で、特にその傾向が顕著な楽曲と言えるでしょう。ミック・ジャガー自身もリリース当時、「『サタニック・マジェスティーズ』の中で一番好きな曲だ。ステレオで聴くとひどいけど」とコメントしており、その複雑なサウンドと独特の雰囲気を物語っています。

「2000光年のかなたに」は、アメリカやその他のいくつかの国では「シーズ・ア・レインボー」のB面としてシングルカットされました。また、ピーター・クリント監督によるミュージックビデオも制作され、ドイツのテレビ番組「ビート・クラブ」などで放映されました。

しかし、その複雑なサウンドと多様な楽器編成、そして高度な演奏技術を要する楽曲であることから、コンサートでの演奏は容易ではありませんでした。『サタニック・マジェスティーズ』に収録されている多くの楽曲と同様に、長らくストーンズのライブステージからは姿を消していました。リリース直後の1967年12月には、イギリスの音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」に出演した際に当て振りで披露したことがありますが、本格的な演奏は行われませんでした。

それから20年以上が経過した1989年、スティール・ホイールズ／アーバン・ジャングル・ツアーで初めてセットリストに組み込まれ、当時としては大きな驚きをもって観客に迎えられました。このツアー中の1990年6月13日、スペイン・バルセロナのオリンピック・スタジオでのライブ音源が、シングル「ハイワイアー」のカップリング曲としてリリースされています。このライブ音源は、長年のファンにとって貴重な記録となっています。

その後再び20年以上に渡りライブ演奏から遠ざかりましたが、2013年には再び演奏され、長年この曲を待ち望んでいたファンを大いに喜ばせました。このように、「2000光年のかなたに」は、その複雑さゆえにライブ演奏が困難な曲である一方、独特のサイケデリックなサウンドと、演奏された時の観客の興奮は、この曲が特別な存在であることを示しています。

レコーディングメンバーは以下の通りです。
ミック・ジャガー：リード＆バッキング・ボーカル、マラカス
キース・リチャーズ：エレキギター、ベース、バッキング・ボーカル
ブライアン・ジョーンズ：メロトロン
ビル・ワイマン：シンセサイザー
チャーリー・ワッツ：ドラムス
ニッキー・ホプキンス：ピアノ
* エディ・クレイマー：クラベス

楽曲の複雑さと、ライブ演奏における困難さ、そして長年にわたるファンからの支持。それら全てが、「2000光年のかなたに」という楽曲の稀有な魅力を形作っていると言えるでしょう。

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