2010年のFIA GT1世界選手権

2010 FIA GT1世界選手権：新たなグローバルレースの幕開け

2010年は、[国際自動車連盟]が統括するGT1車両による世界選手権、[FIA GT1世界選手権]]の初年度でした。1997年から2009年まで開催されていたFIA GT選手権に代わり、[[スポーツカー世界選手権]以来となるFIAの世界選手権として誕生しました。

この選手権は、ステファン・ラテル・オーガニゼーション(SRO)が運営し、3大陸10カ国以上を舞台に10以上のレースイベントで構成されました。12チームが参戦し、各メーカーからの限定的なサポートを受けながらも、独立したチームとして競い合いました。アストンマーティン、コルベット、フォード、ランボルギーニ、マセラティ、日産の6メーカーはそれぞれ2チームを支援しました。タイヤはミシュランのワンメイク供給でした。

激闘のシーズン：チャンピオン争い

2009年FIA GT選手権王者、ミハエル・バルテルスとアンドレア・ベルトリーニ組が、FIA GT1世界選手権初代ドライバーズチャンピオンに輝きました。シーズン最終戦アルゼンチンでは予選レース12位と苦戦したものの、ライバルのヤングドライバーAMRが10位に終わったため、辛くもタイトルを獲得しました。一方、マテック・コンペティションのトーマス・ムテシュと、エクシスAMRのフレデリック・マコヴィッキィが、それぞれランキング2位と3位となりました。チームタイトルはビータフォン・レーシングが獲得しました。

幾度も変更された開催カレンダー

SROは当初、12戦の暫定カレンダーを発表しましたが、開催サーキットは未定でした。その後、アルゼンチン、オーストラリア、ブルガリア、イタリア、ルーマニア、ロシアでのレースが中止。オーストラリアラウンドはイースタン・クリーク・レースウェイでの開催が予定されていましたが、これも中止となりました。ロシアラウンドの中止理由はユーラシア・アウトードロモの建設遅延、ルーマニアラウンドの中止理由はブカレスト政府の変更でした。

修正されたカレンダーでは、カナダ、ハンガリー、中国でのレースも中止となりましたが、アルゼンチンのポトデロ・デ・ロス・フネス・サーキットでのレースが追加されました。ヤス・マリーナ・サーキットのレースは、FIAワールドカップ・フォー・クロスカントリー・ラリーとの日程重複を避けるため、延期されました。イギリスラウンドでは、シルバーストン・サーキットの新レイアウトを記念したRACツーリスト・トロフィーも争われました。スパ・フランコルシャンでは、スパ24時間レースとは別にGT1レースが開催されました。更に、2010年7月には、ダーバン市街地コースの建設遅延により、南アフリカラウンドは2011年に延期。代替として、スペインのナバラ・サーキットでのレースが開催されました。すべてのイベントは、1時間の予選レースと1時間の決勝レースで行われました。ヨーロッパラウンドでは、FIA GT3ヨーロッパ選手権の車両も参加しました。

多様なメーカーとチーム

SROは当初、少なくとも5メーカーの参戦を予想していました。最大6メーカーが認められ、各メーカーは2つのプライベーターチームに2台ずつ車両を供給することになっていました。FIAは、各車両の性能バランスを取るためのテストを実施しました。

2009年6月時点で、日産(GT-R)、フォード(GT)、[ランボルギーニ]の3メーカーが参戦を発表。その後、アストンマーティン(DBR9)とコルベット(C6.R)も参戦が認められました。マセラティとサリーンも参戦を希望しましたが、生産台数の規定を満たさず、今回は見送られました。最終的に6メーカーが参戦することになりました。

チームは各メーカー2チームずつ、計12チームが参戦しました。フォードはマテック・コンセプツとVDSレーシング、アストンマーティンはエクシス・レーシングとヤングドライバーAMR、日産はスイス・レーシングチームとスモウ・パワーGT、マセラティはビータフォン・レーシングとトリプルHチーム・ヘーガースポーツ、コルベットはマッドクロック・レーシングとフェニックス・レーシング/カースポーツ、ランボルギーニはライター・エンジニアリングとミュニッヒ・モータースポーツが参戦しました。

多彩なドライバー陣

各イベントには最大48人のドライバーが参加し、多くのベテランと若手ドライバーがしのぎを削りました。7人のFIA GTチャンピオンが参戦し、その中には3度のタイトルを獲得したミハエル・バルテルスとアンドレア・ベルトリーニ、クリストフ・ブシューらが含まれていました。F1やツーリングカーからの転向組も参戦しました。また、女性ドライバーペアによる参戦もありました。

ミシュランワンメイク、そしてポイントシステム

全チームがミシュランタイヤを使用しました。ポイントは予選レース上位3位と、決勝レース上位10位に与えられました。ポイントは、優勝者の走行距離の75%以上を走行した場合にのみ獲得できました。また、各ドライバーは最低25分以上走行する必要がありました。

チームとドライバーランキング、そしてSROトロフィー

フェニックス・レーシング/カースポーツとマッドクロック・レーシングは、レギュレーション違反によりポイント没収となりました。シーズン中盤には、メーカーに贈られるSROトロフィーが創設され、アストンマーティンが初代受賞チームとなりました。

2010年のFIA GT1世界選手権は、新たなグローバルレースとして大きな注目を集め、白熱した戦いを繰り広げたシーズンとなりました。各チーム、ドライバーの戦略、そしてマシンの性能が複雑に絡み合い、予測不可能な展開が数多く見られました。このシーズンは、GTレースの歴史に大きな足跡を残すものとなりました。

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