2016年の航空

2016年の航空に関する出来事

2016年（平成28年）は、航空の世界で多岐にわたる出来事が記録された年となりました。国内外で発生した航空機事故や事件、そして技術開発やインフラ整備に関する進展など、様々な側面から振り返ることができます。

年の始まりとなる1月には、スウェーデン北部でウエスト・エア・スウェーデンの貨物機が墜落する事故（ウエスト・エア・スウェーデン294便墜落事故）が発生しました。また、台湾空軍のF-16戦闘機が米国で墜落し、犠牲者が出ています。明るい話題としては、ボーイング社の新型旅客機である737MAXが米国ワシントン州で初めての飛行を行い、今後の航空輸送における新たな一歩を踏み出しました。

2月には、ソマリアでダーロ航空機の機内爆発事件が発生し、緊急着陸に至る事態が起こりました。国内では、全日本空輸機で断熱材の飛散による緊急着陸が発生。海外では、インドネシア空軍機の墜落やライオン・エア機のオーバーランといった事故が報じられました。日本の新千歳空港では、日本航空機のエンジンから発煙する重大インシデントが発生し、乗客の負傷者が出ました。ネパールではタラ・エア機が墜落し、搭乗者全員が犠牲となる悲劇（タラ・エア193便墜落事故）が起こっています。

3月には、ロシアでラメンスコエ空港が開業し、新たな航空拠点が登場しました。ロシア南部では、フライドバイ機が悪天候の中で着陸に失敗し墜落する事故（フライドバイ981便墜落事故）が発生しました。全日本空輸の予約システムに不具合が生じ、多数の国内線が欠航となるトラブルも発生しています。国内の八尾空港では小型機が墜落し、犠牲者が出ています。

4月には、鹿屋航空基地所属の航空自衛隊飛行点検機U-125が高隈山地に墜落し、搭乗員全員が死亡する事故が発生しました。技術開発の分野では、日本の防衛装備庁が進める先進技術実証機X-2が名古屋飛行場で初飛行に成功し、将来の国産戦闘機開発に向けた重要なマイルストーンとなりました。

5月に入ると、エジプト航空のエアバスA320型機が地中海上空で消息を絶ち、後に機体の残骸などが発見される悲しい事故（エジプト航空804便墜落事故）が発生しました。航空自由化の動きとして、日本とスペインがオープンスカイに合意（羽田空港を除く）し、両国間の航空便増加への道が開かれました。米国では米海軍の戦闘機墜落事故が報じられています。東京国際空港（羽田）では、大韓航空機のエンジンから出火する重大インシデントが発生し、多数の便に影響が出ました。

6月には、米海軍のアクロバットチーム「ブルーエンジェルズ」と米空軍の「サンダーバーズ」の機体がそれぞれ墜落する事故が連続して発生しました。ロシア軍のアクロバットチーム所属機も墜落しています。中国の浦東国際空港では爆発事件が発生し、空港の保安体制が問われました。シンガポール航空機が緊急着陸後にエンジンから出火する事案も発生しています。月末には、日本航空の乗員による飲酒トラブルで便が欠航し、トルコのアタチュルク国際空港では自爆テロが発生し、多数の死傷者が出るという痛ましい事件が起こりました。

7月1日には、日本の空港運営において大きな転換点がありました。仙台空港の運営権が民間会社に移管され、国内主要空港としては初の本格的な民営化がスタートしました。

8月には、新千歳空港で保安検査をすり抜けた乗客がいたため、約1000人の保安検査がやり直され、欠航便も発生する事態となりました。羽田空港では全日空の手荷物搬送システムに不具合が発生し、手荷物が届かないトラブルも起きています。航空技術の新たな試みとして、世界最大級の飛行船型航空機「エアランダー10」が英国で初飛行に成功し、そのポテンシャルに注目が集まりました。

2016年は、航空機の安全な運行を守るための課題が改めて浮き彫りになった一方で、技術革新や空港運営の新たなモデルへの挑戦が見られた一年であり、航空業界の複雑さと多様性を象徴する出来事が数多く発生しました。

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