2017年の阪神タイガース

2017年阪神タイガースシーズンの概要

2017年は阪神タイガースにとって、監督金本知憲の2年目のシーズンとなりました。この年のチームは新たな選手の加入や若手の台頭、そして戦いの中で多くのドラマを見せました。

開幕前の準備

シーズン開幕を前に、阪神は新たなコーチ陣の編成を行い、藤井彰人がファーム育成コーチに就任しました。さらに、オリックスからFA宣言した糸井嘉男や、ソフトバンクから自由契約の柳瀬明宏を獲得しました。また、新外国人選手としてボストン・レッドソックス傘下のロマン・メンデスとニューヨーク・メッツのエリック・キャンベルの獲得も発表され、昨年自由契約から再契約したラファエル・ドリスとともに、チームの戦力が大きく強化されました。

しかし、春季キャンプ前の自主トレーニング中に糸井が右膝関節炎を患い、開幕直前まで別メニューでの調整を余儀なくされました。それでも藤浪晋太郎はWBC2017日本代表に選出されるなど、期待は高まりました。

シーズンの展開

シーズンに入ると、金本監督の方針に従って、昨年から活躍していた若手選手の積極的起用が目立ちました。そんな中、岩貞祐太、青柳晃洋、髙山俊、北條史也、原口文仁らが打撃不振に陥る一方で、中谷将大、秋山拓巳、梅野隆太郎が力強い活躍を見せました。さらには3年目の石崎剛や新人の大山悠輔、小野泰己、糸原健斗が台頭し、チームはリーグの上位にしっかりと位置取りました。

一時は首位の広島に肉薄するなど、12年ぶりのリーグ優勝が見えたシーズンでしたが、糸井や上本博紀、ランディ・メッセンジャーの故障離脱、さらには岩貞と藤浪の不調が影響し、最終的には首位に10ゲーム差を付けられて2位となりました。クライマックスシリーズでは3位の横浜DeNAと対戦したものの、1勝2敗で初戦で敗退となりました。

打撃陣の活躍

打撃陣は糸井と糸原の加入によって強化されました。特に、鳥谷敬は前年の不振を脱却し、上本や福留孝介と共に選球眼の良い選手として活躍し、チームの四球奪取数が大幅に増加しました。このことで、粘り強い打線として「歩いてまえ打線」と称されるようになりました。中谷選手は生え抜きの右打者としては11年ぶりに本塁打20本を記録し、7月にはジェイソン・ロジャースを新たに獲得しました。

驚きの逆転劇

特に印象的だったのは、5月6日の対広島戦での逆転勝利です。この試合では、新人福永春吾がプロ初登板で先発し、0-9という大差をつけられてしまいました。しかし、梅野のタイムリーを皮切りに得点を重ね、最終的には12-9で勝利を収めました。この試合は「歩いてまえ打線」を象徴する出来事ともなりました。

投手陣の健闘

投手陣では、8年目の秋山がチームトップの12勝を挙げ、成長を見せました。特に中継ぎ陣は、桑原謙太朗やマルコス・マテオ、髙橋聡文、岩崎優、ドリスが60試合以上に登板する快挙を成し遂げ、プロ野球史上初の出来事としてメディアに報じられました。最終的なチーム防御率は3.39でリーグトップの成績を収めましたが、メッセンジャーの故障や藤浪の低迷が影響し、先発ローテーションに苦しむ場面もありました。

シーズンの結末

シーズン終了後、石崎選手はENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップに選出され、安藤優也、狩野恵輔、新井良太が引退を表明しました。また、掛布雅之が二軍監督を退任し、矢野燿大がその後任に選ばれました。梅野は選手会長として新たな役割を担い、大和選手はFA宣言をしDeNAへ移籍しました。

さらに、球団単体の売上が200億円を突破し、観客動員数も7年ぶりに300万人を超えるなど、経済的な成功も収めました。シーズン終了後の12月には、代表取締役社長が交代し、新たな体制がスタートすることとなりました。これらの動向が、2020年代に向けたチームの未来にどう影響するか、興味深いところです。

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