2020 CD3
2020 CD3は、太陽の周囲を公転する地球近傍小惑星の中でも特に小さな天体で、「ミニムーン」とも呼ばれます。通常は独自の軌道を持つこの天体が、一時的に地球の自然衛星となったことが確認され、大きな関心を集めました。これは、過去に発見された2006 RH120に続いて、地球の周囲で発見された2例目の一時的な地球の自然衛星です。
この天体は、2020年2月15日、アメリカ合衆国アリゾナ州にあるレモン山天文台で、天文学者のセオドア・プライン氏とカクペル・ビェルズホシュ氏によって発見されました。これは、地球近傍天体を発見するためのレモン山サーベイおよびカタリナ・スカイサーベイの観測プログラムの一環でした。
発見当時、2020 CD3はおとめ座の方向にあり、地球から約28万キロメートル離れた位置で、見かけの等級が20等という非常に暗い天体でした。観測されたこの天体の動きが、地球の重力に引き寄せられている可能性を示唆したため、その後の追跡観測が精力的に行われました。
発見後に行われた詳細な追跡観測により、2020 CD3が地球の周囲を公転していることが明らかとなり、同年2月25日に小惑星センターから公式に発表されました。当初は人工物である可能性も完全に排除されていませんでしたが、その後の観測結果から天然物である可能性が非常に高いことが示唆されました。
2020 CD3の絶対等級は約31.7と推定されており、これはそのサイズが極めて小さいことを示しています。観測数が限られているため詳細な物理的特性は不明ですが、暗い炭素質の小惑星に typical なアルベド（光の反射率）を持つと仮定した場合、その直径は約1.9メートルから3.5メートル程度、おおよそ小型車に匹敵するサイズと推定されています。
2020 CD3は、地球と似たような太陽周回軌道を持っていたため、地球の重力によって比較的ゆっくりと接近し、捕獲されるに至ったと考えられています。軌道の計算によると、この天体は2016年から2017年頃に地球の重力に引き寄せられて捕獲され、地球を周回する軌道に乗ったと推定されています。そして、2020年5月頃には再び地球の重力圏を離れ、太陽周回軌道に戻っていったと見られています。
地球を周回していた期間中、2020 CD3の軌道は非常に不安定でした。これは、太陽と地球双方からの重力的な影響（潮汐力）に加え、特に月の重力的な摂動（軌道の乱れ）を繰り返し受けたためです。月との接近が繰り返されることで、天体は地球の重力から脱出するために十分な運動量を得て、最終的に地球中心軌道から離脱したと考えられています。
地球周回軌道での公転周期は、推定で約47日、より大きな軌道では70日から90日の範囲であった可能性が示されていますが、軌道が不安定なため正確な値は不明です。
地球への最接近は、2019年4月4日に約1万3121キロメートルの距離であったと見られています。2020年2月13日にも、地球表面から約4万1000キロメートルの距離を通過しました。
地球の重力に一時的に捕らえられる小惑星は、実際には比較的頻繁に発生していると考えられています。しかし、現代の観測技術で検出できる、直径数メートルを超えるような比較的大きな天体となると稀であり、2020 CD3はそうした観測可能な一時的捕獲天体の貴重な事例となりました。
発見時、この天体には一時的な内部指定が与えられましたが、フォローアップ観測を経て2020年2月25日に小惑星センターから仮符号2020 CD3が付与されました。これは発見年と発見時期を示すもので、短い観測期間であったため、恒久的な小惑星番号はまだ発行されていません。
地球の一時的な衛星ではなくなった後、2020 CD3は再び太陽の周囲を巡る軌道に戻りました。今後の軌道予測によると、次の地球への接近は2044年3月に発生する見込みです。この時の最接近距離は約367万キロメートルと予測されており、地球の重力によって再び捕獲され、一時的な衛星となる可能性は低いと考えられています。
その後の接近は2061年頃と予測されていますが、長期的な軌道予測には不確実性が伴います。
ジェット推進研究所のSentry Risk Tableは、2020 CD3の地球衝突リスクを評価しています。しかし、直径がわずか数メートルであるため、仮に地球の大気圏に突入したとしても、大部分は燃え尽きて崩壊し、地上に大きな被害をもたらす可能性は極めて低いとされています。衝突確率はゼロではありませんが、そのサイズを考慮すると、トリノスケールでは「0」（危険なし）と評価されており、累積パレルモスケールでも無視できるレベルのマイナス値が示されています。
発見とその後の確認
この天体は、2020年2月15日、アメリカ合衆国アリゾナ州にあるレモン山天文台で、天文学者のセオドア・プライン氏とカクペル・ビェルズホシュ氏によって発見されました。これは、地球近傍天体を発見するためのレモン山サーベイおよびカタリナ・スカイサーベイの観測プログラムの一環でした。
発見当時、2020 CD3はおとめ座の方向にあり、地球から約28万キロメートル離れた位置で、見かけの等級が20等という非常に暗い天体でした。観測されたこの天体の動きが、地球の重力に引き寄せられている可能性を示唆したため、その後の追跡観測が精力的に行われました。
発見後に行われた詳細な追跡観測により、2020 CD3が地球の周囲を公転していることが明らかとなり、同年2月25日に小惑星センターから公式に発表されました。当初は人工物である可能性も完全に排除されていませんでしたが、その後の観測結果から天然物である可能性が非常に高いことが示唆されました。
物理的特性
2020 CD3の絶対等級は約31.7と推定されており、これはそのサイズが極めて小さいことを示しています。観測数が限られているため詳細な物理的特性は不明ですが、暗い炭素質の小惑星に typical なアルベド（光の反射率）を持つと仮定した場合、その直径は約1.9メートルから3.5メートル程度、おおよそ小型車に匹敵するサイズと推定されています。
一時的な地球の衛星として
2020 CD3は、地球と似たような太陽周回軌道を持っていたため、地球の重力によって比較的ゆっくりと接近し、捕獲されるに至ったと考えられています。軌道の計算によると、この天体は2016年から2017年頃に地球の重力に引き寄せられて捕獲され、地球を周回する軌道に乗ったと推定されています。そして、2020年5月頃には再び地球の重力圏を離れ、太陽周回軌道に戻っていったと見られています。
地球を周回していた期間中、2020 CD3の軌道は非常に不安定でした。これは、太陽と地球双方からの重力的な影響（潮汐力）に加え、特に月の重力的な摂動（軌道の乱れ）を繰り返し受けたためです。月との接近が繰り返されることで、天体は地球の重力から脱出するために十分な運動量を得て、最終的に地球中心軌道から離脱したと考えられています。
地球周回軌道での公転周期は、推定で約47日、より大きな軌道では70日から90日の範囲であった可能性が示されていますが、軌道が不安定なため正確な値は不明です。
地球への最接近は、2019年4月4日に約1万3121キロメートルの距離であったと見られています。2020年2月13日にも、地球表面から約4万1000キロメートルの距離を通過しました。
地球の重力に一時的に捕らえられる小惑星は、実際には比較的頻繁に発生していると考えられています。しかし、現代の観測技術で検出できる、直径数メートルを超えるような比較的大きな天体となると稀であり、2020 CD3はそうした観測可能な一時的捕獲天体の貴重な事例となりました。
命名法
発見時、この天体には一時的な内部指定が与えられましたが、フォローアップ観測を経て2020年2月25日に小惑星センターから仮符号2020 CD3が付与されました。これは発見年と発見時期を示すもので、短い観測期間であったため、恒久的な小惑星番号はまだ発行されていません。
将来の軌道とリスク
地球の一時的な衛星ではなくなった後、2020 CD3は再び太陽の周囲を巡る軌道に戻りました。今後の軌道予測によると、次の地球への接近は2044年3月に発生する見込みです。この時の最接近距離は約367万キロメートルと予測されており、地球の重力によって再び捕獲され、一時的な衛星となる可能性は低いと考えられています。
その後の接近は2061年頃と予測されていますが、長期的な軌道予測には不確実性が伴います。
ジェット推進研究所のSentry Risk Tableは、2020 CD3の地球衝突リスクを評価しています。しかし、直径がわずか数メートルであるため、仮に地球の大気圏に突入したとしても、大部分は燃え尽きて崩壊し、地上に大きな被害をもたらす可能性は極めて低いとされています。衝突確率はゼロではありませんが、そのサイズを考慮すると、トリノスケールでは「0」（危険なし）と評価されており、累積パレルモスケールでも無視できるレベルのマイナス値が示されています。
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