2022年-23年のフォーミュラE

2022-23年フォーミュラE世界選手権

2022-23年シーズンは、フォーミュラEにとって9年目のシーズンであり、数々の重要な変更が加えられた転換期となりました。このシーズンは、技術革新、チーム再編、そしてドライバーラインナップの刷新によって、シリーズの歴史に新たな一章を刻みました。

レギュレーションの変更

今シーズン最大の変更点は、新型シャシー「Gen3」の導入です。Gen3は、前世代のGen2と比べて大幅な性能向上を実現しました。最大出力は予選とアタックモード時に350kW（レース中は300kWに制限）、回生エネルギーは600kWにそれぞれ増加しました。パワートレインはフロントとリアの両方に搭載され、車両全体の重量とホイールベースはコンパクト化されました。

レースフォーマットも変更され、前シーズンまで行われていたタイムレース方式から、周回数による従来のレース方式に戻りました。また、フルコースイエローやセーフティカーランなどの状況下でのレース時間延長は、アディショナルタイムではなく追加周回数として対応されるようになりました。長年続いたファンブーストは廃止されました。

さらに、F1と同様に、レース参戦経験のないドライバーがフリープラクティス1（FP1）に参加できる規定が導入されました。シーズン中盤からは、急速充電によるピット作業「アタックチャージ」が導入され、これにより600kWのブースターで4kWhの電力が供給され、レース中の最大出力がアタックモード時と同等の350kWに増加しました。タイヤサプライヤーはミシュランからハンコックに変更されました。

参戦チームとドライバー

今シーズンは、チームとドライバーの入れ替わりが激しく、シリーズ全体の勢力図が大きく変化しました。

前年度チャンピオンのストフェル・バンドーンは、カーナンバー1を使用しました。これは2017-18シーズン以来、5シーズンぶりのカーナンバー1の復活となりました。メルセデスEQは前シーズンをもって撤退しましたが、そのチーム体制はネオム・マクラーレン・フォーミュラEチームとして引き継がれ、日産のパワートレインを使用することになりました。ヴェンチュリーはマセラティと提携し、マセラティ・MSG・レーシングとして参戦しました。

ペンスキーは、バンドーンとジャン＝エリック・ベルニュを起用し、DSオートモビルズ製パワートレインを使用、チーム名をDS・ペンスキーに変更し、フランスを本拠地としました。マクラーレンはレネ・ラストとジェイク・ヒューズを起用し、ラストは2年ぶりのフォーミュラE復帰、ヒューズはフォーミュラE初参戦となりました。マセラティはエドアルド・モルタラとマクシミリアン・ギュンターを起用しました。

エンヴィジョンはセバスチャン・ブエミを起用し、ジャガー製パワートレインを使用しました。アンドレッティはアンドレ・ロッテラーを起用し、ポルシェ製パワートレインを使用しました。ポルシェはアントニオ・フェリックス・ダ・コスタを起用しました。マヒンドラはルーカス・ディ・グラッシを起用しました。日産はサッシャ・フェネストラズとノーマン・ナトを起用し、e.damsを買収して日産の単独チーム「ニッサン・フォーミュラEチーム」として参戦しました。NIOはセルジオ・セッテ・カマラを起用し、チーム名をNIO・333・レーシングに変更しました。

アプトはロビン・フラインスとニコ・ミュラーを起用し、クプラと提携してアプト・クプラ・フォーミュラEチームとなり、マヒンドラ製パワートレインを使用しました。シーズン途中には、アプトのフラインスが負傷したため、代役としてケルヴィン・ヴァン・デル・リンデが起用されました。また、マヒンドラではローランドの後任としてロベルト・メリが、アンドレッティではロッテラーの後任としてデビッド・ベックマンが起用されました。

シーズン結果

このシーズンは、技術革新とチーム・ドライバーの変動が激しく、非常にエキサイティングなレース展開となりました。各チームがそれぞれの戦略を駆使し、激しいポイント争いを繰り広げました。最終的なドライバーズチャンピオンシップとチームチャンピオンシップの結果は、それぞれのチームとドライバーの努力と戦略の賜物と言えるでしょう。詳細なレース結果、ドライバーズチャンピオンシップ、そしてチームチャンピオンシップについては、公式記録を参照ください。

このシーズンは、フォーミュラEシリーズの新たな時代を切り開いた重要なシーズンとなりました。技術面、組織面、そしてレース展開において、多くの変化と進化が見られました。今後のフォーミュラEシリーズのさらなる発展が期待されます。

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