2023 DZ2

小惑星2023 DZ2について

小惑星2023 DZ2は、地球近傍小惑星（NEO）に分類される天体です。この小惑星は、2023年3月25日に地球から約17万kmの距離を通過しました。一時、地球への衝突リスクが懸念されましたが、その後の観測により、衝突の可能性は完全に否定されています。

発見と軌道

2023 DZ2は、2023年2月27日にスペイン、カナリア諸島のラ・パルマ島にあるロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台のアイザック・ニュートン望遠鏡を用いたEURONEARプロジェクトによって発見されました。発見後、小惑星センターから仮符号2023 DZ2が付与されました。この小惑星は、EURONEARプロジェクトにとって12個目の発見となります。

2023 DZ2の軌道は、黄道面に対して傾斜がほとんどありませんが、軌道の離心率は0.54と比較的大きいです。このため、近日点では地球軌道付近まで太陽に近づき、遠日点では太陽から約3.3au（約4億9700万km）まで遠ざかる楕円軌道を描きます。公転周期は約3.17年です。また、近日点距離が1.017auを下回るため、アポロ群に分類されます。

地球への接近

2023年3月25日19時51分（UTC）、2023 DZ2は地球から174,650±45kmの距離まで接近しました。これは、地球から月までの距離の約45%に相当します。最接近時の見かけの明るさは9.7等級と予想され、口径15cm以上の望遠鏡で観測可能とされています。

発見から約1ヶ月後、56回分の観測データに基づき軌道計算が行われた結果、2026年3月27日に地球へ衝突する確率が0.17%（約590分の1）と算出されました。これを受けて、ジェット推進研究所（JPL）の地球近傍天体研究センター（CNEOS）は、2023 DZ2のトリノスケールを「1」と評価しました。トリノスケールは、天体の地球衝突確率と被害の大きさを0から10の11段階で評価する指標で、「1」は下から2番目のレベルです。当時の計算では、地球への最接近距離は約1000万kmと推定されましたが、不確実性は±3800万kmと非常に大きいものでした。

その後、2026年の地球衝突確率は一時的に0.23%（約430分の1）にまで上昇しましたが、122回分の観測データを用いた再計算により、地球への最接近距離の不確実性が大幅に縮小し、2026年の接近で衝突しないことがほぼ確実視されました。これにより、衝突確率は0.0014%（約7700分の1）に急減し、CNEOSはトリノスケールを最も低い「0」に格下げしました。最終的に、CNEOSは2023年3月21日に、2023 DZ2が地球へ衝突する潜在的な危険性は完全に排除されたと判断し、個別ページでの衝突リスク評価を終了しました。

まとめ

小惑星2023 DZ2は、一時的に地球への衝突リスクが懸念されたものの、その後の詳細な観測と軌道計算により、そのリスクは完全に否定されました。この小惑星の発見からリスク評価の変動は、地球近傍天体の監視がいかに重要であるかを示す事例となりました。天文学者たちは、今後もこのような天体を注意深く監視し続けるでしょう。

関連情報

2023年に地球へ接近した小惑星の一覧
天体衝突
潜在的に危険な小惑星
2023 DW - 2023 DZ2 の発見直前に発見され、一時は同様にトリノスケールが「1」と評価された小惑星

外部リンク

2023 DZ2 - NeoDyS-2, Near Earth Objects—Dynamic Site
2023 DZ2 - ESA–space situational awareness

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