81型フリゲート

81型フリゲート（トライバル級）

81型フリゲートは、イギリス海軍が運用していたフリゲートの艦級であり、その艦名はイギリス連邦を中心とする部族の名前に由来することから、トライバル級とも称されています。この艦級は、1950年代初頭にイギリス海軍が計画していた、異なる目的を持つ複数の艦級を統合する形で開発されました。

開発の背景

当初、イギリス海軍は、共通の船体と主機関を持つ船団護衛艦として、対潜艦の11型、防空艦の41型、レーダーピケット艦の61型を整備する計画でした。しかし、11型の計画が12型に統合されて消滅し、さらに、目的別に異なる艦級を整備する方式がコスト上昇を招くという問題が指摘されるようになりました。この結果、これらを統合する汎用フリゲートとして81型が開発されることになりました。

ネームシップは1956年2月に発注されましたが、実際の設計作業が完了したのは1957年2月でした。当初は、前任の単能艦との差別化のため、スループとも呼ばれていました。

設計の特徴

船体設計は、前任の41型・61型と同様の中央船楼型を採用しています。マストは、41型・61型では前後に2本あったのに対し、本級では船楼後端に1本に統合されました。

主機関には、41型・61型で採用されていたマルチプル・ディーゼル方式ではなく、カウンティ級駆逐艦と同系列のCOSAG機関が搭載されました。これは、巡航時には蒸気タービンを、高速航行時にはガスタービンを併用する方式です。ただし、カウンティ級が2軸推進だったのに対し、本級は1軸推進となっています。81型はカウンティ級に先駆けてCOSAG機関を採用したため、プロトタイプとしての役割も担っていました。

装備

レーダーは、対空捜索用にPバンドの965型レーダー、低空警戒・対水上捜索用にSバンドの993型レーダーを搭載しました。965型レーダーは、マットレス型・1段式のAKE(1)型アンテナを採用しており、これらはマスト上に設置されていました。

ソナーは、中距離捜索用の177型、海底探査用の162型、対潜迫撃砲の射撃指揮用の170型が搭載されました。177型は、イギリス初のスキャニング・ソナーであり、アメリカのAN/SQS-4|AN_SQS-4シリーズに匹敵する性能を持ち、7.5キロヘルツ級の周波数を使用しました。また、一部の艦にはカナダ製のSQS-505を輸入した199型可変深度ソナーが後日装備されました。

艦砲には、コスト削減のため退役するC級駆逐艦から流用した45口径114mm単装砲が使用されましたが、砲射撃指揮装置は戦後世代のMRS-3（903型レーダー搭載）が搭載されました。近接防空火器としては、新型のシーキャットGWS-21個艦防空ミサイルの装備が計画されましたが、開発遅延のため、初期には40mm単装機銃が搭載されました（「ズールー」を除く）。

対潜兵器は、リンボー対潜迫撃砲を1基搭載するのみで、対潜火力は艦載ヘリコプターに大きく依存していました。艦隊でのヘリコプター搭載はフリゲート級艦艇として初の例であり、ハンガーを設置し、その上面をヘリコプター甲板としました。搭載されたヘリコプターは、当初はレーダーのみを搭載したウェストランド ワスプでしたが、後にディッピングソナーを搭載したウェストランド リンクスに更新されました。

配備と運用

81型フリゲートは、その低速性から艦隊護衛艦としては不適とされましたが、低強度紛争や戦争以外の軍事作戦においては高く評価されました。しかし、新型艦の就役に伴い、1980年12月までに順次退役し、1981年度の防衛白書で廃棄が決定されました。1982年のフォークランド紛争を受けて一度は再検討されたものの、1988年までに全艦が処分されました。また、3隻がインドネシア海軍に売却され運用されましたが、これらも2000年代までに退役しました。

参考資料

ウィキメディア・コモンズには、81型フリゲートに関するカテゴリがあります。
ブロンシュタイン級フリゲート - アメリカ海軍の護衛駆逐艦（フリゲート）。より低周波のソナーを搭載しています。

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