9K34

9K34 ストレラ-3: ソビエト連邦の携帯式地対空ミサイルシステム

概要

9K34 ストレラ-3は、ソビエト連邦が1978年に完成させた携帯式地対空ミサイルシステム（MANPADS）です。このシステムは、先代の9K32 ストレラ-2（NATOコードネーム：SA-7 グレイル）の性能を向上させることで開発されました。ミサイルシステムの間違った認識や制限を克服することが目指され、NATOコードネームは「グレムリン」、DoD番号はSA-14とされています。

9K32 ストレラ-2の問題点

9K32 ストレラ-2は1967年から使用され始めましたが、赤外線誘導のシステムにいくつかの重大な欠点がありました。ミサイルは「目標の後方からしか発射できない」、「太陽や熱を持つ岩肌を目標として誤識別する」、「低空飛行や高速の航空機に対して命中率が極めて低い」といった問題に直面しました。これらの欠点は、当時の赤外線誘導ミサイルに共通するものでしたが、改善の必要性が強く求められていました。

開発と改善

このような背景から、1970年にコロムナ機械製作設計局で9K34 ストレラ-3の開発が始まりました。前作の設計を踏襲しながらも、内部技術には大きな改良が加えられました。特に、弾頭部に搭載された赤外線シーカーは新型のものに変更され、焦電素子として仙台の硫化鉛（PbS）を使用し、冷却メカニズムを導入しました。この改良によって、熱雑音が減少し、追尾精度が向上しました。従来のナビゲーションシステムに比べ、太陽や岩肌を誤認する問題が改善されると共に、すべての方向からの攻撃が可能となりました。ただし、攻撃速度にはいくつかの制限が存在しました。

改良された性能

新たに導入された9P51熱電池は、弾頭の炸薬量を倍増させ、目標破壊能力を強化しました。加えて、推進装置の改善により最大射程も従来より延長され、全体的な性能が飛躍的に向上しました。1978年には9K34として制式採用されましたが、この改良に伴い全体の重量は9K32よりも増加しました。

運用状況

量産が始まった後、9K34 ストレラ-3はソ連軍に配備されただけでなく、独立国家共同体や北朝鮮、アンゴラ、ベトナムなどにも大量に輸出されました。一部はゲリラや反政府組織に密かに供給されたという情報もあります。特に、DHL貨物便撃墜事件においても使用されたことが知られています。

現状

ソ連から受け継いだロシア連邦軍では、9K34 ストレラ-3の改良型である9K38 イグラや9K310 イグラ-1（外部ではNATOコードネーム：SA-16 ギムレット、SA-18 グロウズとして知られています）への更新が進められており、9K34は徐々に第一線から退役しています。

まとめ

9K34 ストレラ-3は、ソビエト連邦の技術力が集結した携帯式地対空ミサイルシステムであり、それによって信頼性の高い防空手段としての地位を確立しました。

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