A-7 コルセア II

A-7 コルセアII

A-7コルセアIIは、アメリカ合衆国のLTV社によって開発された艦上攻撃機です。この機体は、米海軍のF-8クルセイダーを基にしておりながら、超音速性能ではなく亜音速飛行を重視した設計となっています。1970年代にベトナム戦争を通じてその実力を試され、後に様々な地域で使用されました。

背景と開発経緯

1962年、アメリカ海軍はA-4 スカイホークの後継機として新しい艦上攻撃機の導入を検討しました。その際、超音速機の高コストが懸念されたため、既存機の評価を元にした艦載攻撃機の開発が進められました。1963年5月には「海軍軽攻撃機（VAL）計画」が策定され、各航空機メーカーに提案がなされました。この計画では、核兵器は必要なく、A-4の2倍の兵装を搭載し、最大610kmの距離を攻撃する能力が求められました。

LTV社の提案が最終的に選ばれ、1964年に試作機が発注されました。試作機の設計はF-8を基にしつつ、体形において変更が加えられ、前縁後退角が減少することで安定性が向上しました。この結果、1965年9月には初飛行が成功しました。

機体特性

A-7コルセアIIは、単発エンジンによる高翼配置の機体です。胴体にはダイブブレーキを装備し、降着装置はF-8のものをほぼそのまま採用しています。また、他の同時代の艦上攻撃機に比べ、高い兵装搭載能力を持ち、今回は空軍向けに販売されるA-7D型も登場しました。これは、電子機器の換装や空中給油の方式を変更した改良型です。

実戦運用と配備

A-7コルセアIIは、1967年のベトナム戦争で配備され、空母「レンジャー」から出撃する形で初めて実戦に参加しました。以後、米軍は多様な紛争や作戦においてこの機体を活用しました。1986年にはリビア爆撃で、1989年のパナマ侵攻や1991年の湾岸戦争にも使用されました。特に、近接航空支援を目的とした形でアメリカ空軍にも採用されたことから、様々な厳しい任務を乗り越えた実績があります。

技術的課題とその解決策

A-7コルセアIIは発艦時の問題点も抱えており、エアインテークが大きく、カタパルト射出時にサージングの危険がありました。この問題を解決するため、エンジンの設計が見直され、推力向上のための改良型A-7Bが登場しました。これにより、発艦能力が向上し、より安定した運用が可能とされました。

各型および歴史

A-7コルセアIIは、さまざまなバリエーションが存在します。中にはA-7A、A-7B、A-7D、A-7E、A-7Hなどが含まれており、海軍と空軍のニーズに応じて改良されてきました。特にギリシャ空軍は、新造機の唯一の外国のお客様となりました。

まとめ

アメリカ海軍や空軍にとって、A-7コルセアIIは非常に重要な役割を果たし、多くの作戦で活躍してきました。その結果、時には欠点を抱えながらも、軍事航空史に名を刻む存在となっています。退役後も中古機が運用され続けるなど、長い運用歴を誇る機体です。

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