AS 532 (航空機)

AS 532 クーガー

AS 532は、双発式の多用途ヘリコプターであり、その愛称クーガー（Cougar）で広く知られています。この機体はフランスの航空機メーカーアエロスパシアルによって開発され、後にユーロコプター（現：エアバス・ヘリコプターズ）に引き継がれて製造されています。AS 532は、元々はSA 330 ピューマの改良型であるAS 332 シュペル・ピューマから派生したものであり、1990年には正式に軍用型に分化しました。その後、ユーロコプター EC 725がこのヘリコプターの後継機として登場しています。

設計と開発

AS 532のルーツはSA 332 シュペルピューマにあり、1977年の初飛行を経て、性能の向上が施されました。この機体は、出力が1,330kWに達するチュルボメカ マキラ 1A1ターボシャフトエンジンを2基搭載し、改善されたグラスファイバー製のローターブレード及び降着装置が付いています。1990年、この機体はAS 332から軍用AS 532へと形式が変更され、クーガーという愛称も付けられました。この名称変更は、民間用と軍用の市場を明確に分ける意図があり、他のモデルでも同様の変更が行われました。固有の武装は持たないものの、武装型はガンポッドやロケットランチャーの搭載が可能です。

派生型

AS 532にはいくつかの派生型が存在します。以下に代表的なモデルを紹介します。

• - AS 532UL/AL: 長胴型設計で、2名の操縦士と29名の兵士、または6名の担架用負傷者と他10名を収容できます。AS 532ULは、オリゾン戦場監視システムが搭載可能です。一方、武装型のAS 532ALは多様な武器システムを装備できます。
• - AS 532SC: 海軍向けのモデルで、対艦ミサイルや対潜戦用の装備が特徴です。捜索救難ミッションや海上警備にも対応しています。
• - AS 532 Mk2 RESCO: フランス陸軍用の戦闘捜索救難版です。

運用国

AS 532は数多くの国で運用されており、主な運用国には以下のような国々があります。

• - フランス: フランス空軍と陸軍が複数機を運用。
• - ブラジル: Helibrasによるライセンス生産。
• - トルコ: 30機の契約を結び、多くがライセンス生産。
• - シンガポール: 空軍が運用中。

他にも、アルゼンチン、カンボジア、ネパール、スウェーデンなど、多数の国で使用されています。アルバニア空軍の4機は稼働状態に疑問が持たれています。

特筆すべき事故

AS 532には、墜落事故の記録もあります。2012年、フランスのヴェルドン峡谷で試験飛行中に送電線に接触し墜落、6名のユーロコプター社員が亡くなりました。また、2017年にはトルコで、高圧線に引っかかり墜落し、軍官を含む13名が殉職する事故が発生しました。

仕様

AS 532の一般的な仕様として、乗員は2名、最大離陸重量は9,000kg、航続距離は573kmです。この機体は、様々な任務に対応できるよう設計されています。

AS 532クーガーは、堅牢な設計と優れた運用能力を兼ね備え、陸海空を問わず幅広い任務をこなすことができるヘリコプターです。

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