Ar 232 (航空機)

アラド Ar 232 タオゼントフュースラーの詳細

アラド Ar 232 タオゼントフュースラーは、第二次世界大戦の真っただ中、ドイツのアラド社によって開発された先進的な輸送機です。この機体はその特徴的なデザインと多機能性から「タオゼントフュースラー」と名付けられました。この名称は、ドイツ語でムカデやヤスデなどの多足類を指し、その形状に由来しています。

概要

Ar 232は、近代的な輸送機の要素を多く取り入れており、そのデザインは高翼の箱状機体に、後部ローディングランプを持ち、荷物の積み下ろしが容易に行えるように工夫されています。尾翼が高い位置に配置されているため、特に不整地への着陸時に優れた性能を発揮しました。また、機体底部には小さな車輪が多数配置されており、これが「タオゼントフュースラー」という愛称の由来となっています。しかしその一方で、ドイツ空軍は当時のユンカース Ju52輸送機の更新を考えていたものの、機種が多すぎるために大量のAr 232を購入するには至りませんでした。

設計の背景

Ar 232の設計は、1939年末にドイツ航空省がユンカース Ju52の代替機を公募したことに始まります。アラド社とヘンシェル社が参入し、最終的にはアラドの設計が選ばれることになりました。1940年、3機の試作機が発注され、設計は進められました。この機体は、操縦席の後ろに大きな荷室を持ち、油圧によるクラムシェルドアを採用していたため、地面から直接荷物を積み下ろすことができました。これにより、荷物の積み下ろし速度が向上し、効率的な運用が可能になりました。

特徴的な降着装置

Ar 232の降着装置は非常にユニークでした。通常は前輪式降着装置が使用されましたが、このストラットは「縮める」ことができ、着陸後に胴体を地面に近づけることでローディングランプの角度を緩和することができました。また、補助的な小車輪が左右に配置されており、これらにより不整地への着陸も容易でした。実際、これらの設計により、Ar 232は短い距離での離陸や着陸が可能で、小さな障害物を超えることもできるように設計されていました。

乗員と武装

通常の運用には4名の搭乗員が必要で、パイロットだけが特定のタスクに専念できました。搭載されていた武装には、13mm MG 131 機関銃や20mm MG 151 機関砲があり、防御性能も考慮されていました。

開発の進展

試作機が完成する前、アラド社はBMW 801A/Bエンジンの使用を計画していましたが、供給不足により代替のBMWブラモ323エンジンが選定されることになりました。このエンジンの変更に伴い、機体設計も一部修正されました。Ar 232は、約2倍の荷物を搭載可能で、より長距離を飛行できる優れた機体に仕上がりましたが、ドイツ空軍の優先度が低下したため、その後の生産は限られたものとなりました。

最終的な運用

Ar 232は多数が前線ではなく、アラド社の工場間で部品輸送に使用されました。その後、戦争末期にイギリス軍に鹵獲された2機がテスト航空機として評価されました。このテストを踏まえ、戦後イギリス-ドイツ間での補給物資の輸送に活用されたことも注目に値します。

スペック

• - 全幅: 33.50 m
• - 全長: 23.52 m
• - 全高: 5.69 m
• - 機体重量: 12,780 kg
• - エンジン: BMWブラモ323R-2　1200 hp×4
• - 最大速度: 307 km/h
• - 航続距離: 1,300 km
• - 武装: 13mm MG 131 機関銃 × 2-3、20mm MG 151 機関銃 × 1、7.92mm MG34機関銃 × 8
• - 乗員: 4名、兵員: 8名、貨物: 2,000kg

このように、アラド Ar 232はその革新的なデザインと多機能性により、戦争当時の輸送機の中でも特に秀でた機体とされました。

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