BAe ATP

BAe ATP (Advanced Turboprop)

BAe ATPは、イギリスの航空機メーカー、ブリティッシュ・エアロスペース（BAe、現BAEシステムズ）が開発したターボプロップ旅客機です。この機体は、同社が以前に製造していたアブロ 748（BAe 748）をベースに、1980年代の技術を導入して近代化を図ったものです。

開発の経緯

アブロ 748は、当時としては成功した双発ターボプロップ機でしたが、ブリティッシュ・エアロスペースは、1980年代に入り、この機体を大幅に改設計することを決定しました。その結果生まれたのがBAe ATPです。具体的には、748の胴体を延長し、主翼や機首部分のデザインを刷新、さらにエンジンを最新型に換装し、プロペラを6枚羽根にするなど、多岐にわたる改良が加えられました。これは、日本の航空機に例えるならば、YS-11を1980年代の航空技術で徹底的に近代化したような機体と言えるでしょう。

1986年8月に初飛行を成功させ、1988年にはブリティッシュ・ミッドランド航空によって商業路線に就航しました。しかし、当時の市場にはデ・ハビランド・カナダ DHC-8やATR 42といった先行する競合機が多数存在し、BAe ATPは受注獲得に苦戦しました。最終的に、1996年に通算64機で製造が打ち切られることになりました。製造終了後、一部の機体は貨物機に改造されましたが、現在でも多くの機体が現役で運用されています。

派生型

BAe ATPには、いくつかの派生型が存在します。

Jetstream 61: 機体を大型化し、より強力なエンジンに換装することで航続距離を延長した改良型です。ATPのプロトタイプ（機体記号：G-PLXI）を改造して1994年5月10日に初飛行しましたが、量産型4機の製作が進められた段階で、BAeがATR 72の生産に参加することになったため、1995年1月26日に開発がキャンセルされました。
Maritime ATP (BAe P.132): 海軍向けの対潜哨戒機として計画されましたが、実際に製造されることはありませんでした。
ATP-AEW: 1986年に計画された早期警戒機ですが、これも計画のみに終わりました。

性能要目

乗員: 4名 (運行乗務員2名 + 客室乗務員2名)
乗客: 64名 (最大72名)
全長: 26.00m
全幅: 30.63m
高さ: 7.14m
翼面積: 78.3 m2
空虚重量: 13,595kg
最大離陸重量: 22,930kg
エンジン: プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PW126 ターボプロップエンジン, 1,978 kW (2,653 hp) ×2
巡航速度: 496km/h
航続距離: 1,825km
最大上昇限界高度: 7,600m (25,000ft)

関連項目

サーブ 2000
ATR 72
デ・ハビランド・カナダ DHC-8

外部リンク

* BAe ATP Brochure

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