BMW・i3

BMW i3：革新と持続可能性を体現した電気自動車

BMW i3は、ドイツの自動車メーカーBMWが2013年から2022年まで製造・販売していた電気自動車です。BMWの電動モビリティ戦略を象徴するモデルとして、世界中で高い評価を受けました。Bセグメントのハイルーフハッチバックという独特のボディスタイル、革新的な技術、そして環境への配慮を融合させた、他に類を見ない一台と言えるでしょう。

BMW iプロジェクトの幕開け

i3の誕生は、2000年代後半、当時のBMW CEO、ノルベルト・ライトホーファーが、シニアエンジニアのウルリッヒ・クランツに命じた「モビリティ専門のシンクタンク」の設立に遡ります。このシンクタンクは、BMWの電動モビリティプロジェクトをゼロから構築することを使命としていました。その結晶が、2011年のフランクフルトモーターショーでコンセプトカーとして発表されたi3だったのです。そして2013年9月、i8と共にライプツィヒ工場で量産が開始されました。

環境への配慮と先進技術の融合

i3の最大の特徴は、そのボディ構造にあります。軽量化を追求し、車体の大部分を炭素繊維強化樹脂（CFRP）で構成。これにより、高い走行性能と優れた燃費を実現しました。さらに、環境への配慮も徹底されており、シート素材にはリサイクル素材を100％使用、インパネにはユーカリの木材、ダッシュボードにはケナフ麻の繊維を採用するなど、細部に至るまでサステナビリティが追求されています。オプションではオリーブの葉のエキスでなめしたレザーシートや、認証栽培された木材を使用するなど、環境への配慮は徹底されています。

高性能パワートレインと優れた走行性能

i3は、最高出力170馬力、最大トルク250Nmのモーターを搭載。後輪駆動方式を採用することで、BMWらしい優れた操縦安定性を実現しています。バッテリー容量は、初期モデルの22kWhから、後に33kWhへと大容量化されました。また、航続距離の延長を目的としたレンジエクステンダー仕様も用意され、台湾・キムコ製の647cc直列2気筒エンジンを搭載していました。ワンペダルドライビングシステムも採用されており、アクセルペダルのみで加減速操作が可能。アクセルオフ時には回生ブレーキが働き、バッテリーへの充電が行われます。

数々の受賞歴と高い評価

i3は、その革新的な技術とデザインによって数々の賞を受賞しました。ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを2回受賞した他、「ワールド・グリーン・カー・オブ・ザ・イヤー」、「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」など、多くの賞に輝いています。これらは、i3の高い技術力とデザイン性を証明するものです。また、日本では「こどもちゃれんじ」のしまじろうをモチーフにした「しまじろうカーⅢ」も話題となりました。

i3の歴史とその後

2013年7月に発表され、欧州市場では同年11月に発売。2014年には日本市場にも導入されました。2020年10月には累計生産台数20万台を突破、2022年6月には最終仕様の「ホームラン・エディション」を生産終了し、約25万台の生産で歴史に幕を閉じました。東京マラソンやフォーミュラEといったイベントでもオフィシャルカーとして活躍するなど、その存在感は非常に大きなものでした。

まとめ

BMW i3は、環境性能と走行性能を高い次元で両立させた、画期的な電気自動車でした。その革新的なデザイン、持続可能な素材の使用、そして先進的な技術は、自動車業界に大きな影響を与えました。i3は、単なる電気自動車ではなく、BMWの未来へのビジョンを体現した象徴的なモデルと言えるでしょう。

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