C-17 (航空機)

C-17 グローブマスターIII

C-17は、ボーイング社（旧マクドネル・ダグラス）が手がけたアメリカ空軍の主力軍用輸送機です。その愛称である「グローブマスターIII」はかつての輸送機であるC-74やC-124にちなんで名付けられています。この機体は、長距離輸送能力を持ちながら、C-130と同等の短い離着陸距離を実現した大型輸送機です。

特徴と搭載能力

C-17は、アメリカ陸軍の全ての装甲戦闘車両や航空機を搭載可能であり、最大77トンの貨物を運搬できます。この能力によって、以下のような様々な機材を搭載することが可能です。

• - M1A1 エイブラムス戦車×1両
• - M2A2 ブラッドレー歩兵戦闘車（26トン時）×3両
• - ストライカー装甲車×3両
• - AH-64 アパッチ攻撃ヘリコプター×5機 など

この機体は最大ペイロードでの航続距離が4,440 km、離着陸に必要な距離は910mであるため、機動性に優れています。また、先進的なパワード・リフト・システムを採用しており、短距離離着陸性能が高く設定されています。

歴史と開発

C-17の開発は1970年代に始まり、当初はC-130シリーズの後継機を模索する形で進められました。その結果、1981年にマクドネル・ダグラスがC-17の開発を担うことが決定されました。初飛行は1991年9月に成功し、1993年から部隊への配備が始まりました。この機体は、近年のアメリカ軍の中東展開において欠かせない存在となりました。

主要な作戦

特に著名な作戦の一つが、イラク戦争におけるノーザン・ディレイ作戦です。2003年3月26日には、26機のC-17が地上部隊を輸送し、パラシュート降下作戦を実施しました。この作戦では、短期間で大量の兵員や物資を地上に展開することに成功しました。

さらに、2017年のシリア内戦でもC-17は重要な役割を果たし、アメリカ軍の物資供給支援に使われたことが知られています。最近では2021年のアフガニスタン撤退時の混乱の中で、C-17が避難民を国外に輸送する際にも活躍しました。

採用国

現在、C-17を採用する国はアメリカを含む7か国に及び、各国軍において広く運用されています。イギリスやオーストラリア、カナダなどの国々もこの機体を保有し、国際的な支援や人道的な活動に用いています。

技術的進化

この輸送機は、搭載機器として先進のミサイル・レーザー警報システムやチャフ、フレア散布装置を持ち、空対空の脅威からの防御能力も高められています。さらに、特殊な操縦装置や広いコックピットの設計も特徴で、操縦士が効率よく操作できるよう考慮されています。

C-17 グローブマスターIIIは、卓越した輸送能力と柔軟な運用性を兼ね備えた軍用輸送機として、今後も世界各国の軍事活動において重要な役割を果たし続けるでしょう。

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