C-5 (航空機)

C-5 ギャラクシー:アメリカ空軍の巨大輸送機



C-5ギャラクシー(Galaxy)は、ロッキード(現ロッキード・マーティン)が製造し、アメリカ空軍が運用する超大型長距離輸送機です。開発当時、世界最大の輸送機でしたが、An-124ルスラーンやAn-225ムリーヤの登場によりその座を譲り、現在でも世界最大級の輸送機として活躍しています。

開発経緯



1961年アメリカ空軍はC-133カーゴマスターの後継となる大型輸送機を求め、開発が始まりました。当時、アメリカ陸軍はC-141スターリフターの貨物室の狭さに不満を抱いており、より大きな搭載量と広い貨物室を備えた輸送機を要望し、それが後の「CX-4計画」へと繋がります。

1963年後半、「CX-HLS計画」として、エンジン4発搭載、総重量249トン、積載量81.6トン、マッハ0.75で飛行可能、胴体前後に貨物ドアを備えた機体が構想されました。ロッキードボーイング、ダグラスなどが提案を行い、最終的にロッキード案が採用されました。この時、ロッキードの工場が空いていたこと、当時の大統領の政治的判断が影響したと言われています。ちなみに、ボーイングの設計案は、後に民間向けのボーイング747へと発展しました。

当初115機が発注されましたが、開発の遅れと価格の高騰により81機に削減されました。初飛行は1968年6月30日、1969年12月からアメリカ空軍への納入が開始されました。

開発の難航と改良



開発中、ロッキードは機体重量が予想以上に大きくなることに気づき、主翼の厚みを削って対応しましたが、構造強度が不足していることが判明しました。そのため、初期のC-5Aは最大搭載量80%の制限措置が取られました。1976年から補強改修が行われ、1982年からは新型アルミニウム合金を使用した主翼の改設計が行われたC-5Bが生産されました。

1970年代初頭にはスペースシャトル輸送機としての運用計画もありましたが、T型尾翼機であるC-5は見送られ、ボーイング747が採用されました。一方、ロシアではAn-124の発展型であるAn-225がシャトル輸送機として採用されています。

C-5はベトナム戦争や湾岸戦争など、数々の作戦に投入され、長距離貨物輸送能力を発揮し、高い評価を得ました。1998年からは、グラスコックピット化、新型アビオニクスの搭載、エンジンの換装などを含む近代化・延命改修が行われ、改修後の機体はC-5Mスーパーギャラクシー(Super Galaxy)となりました。

特徴



C-5は、アメリカ本土から世界中どこへでもアメリカ陸軍装甲戦闘車両航空機を輸送できます。ペイロードはアメリカ軍輸送機として最大であり、主力戦車2両分に相当する約122トンの貨物を搭載可能です。1974年には、ミニットマンICBMを空中から発射する試験も行われました。

機体はオムスビ型の胴体、高翼配置で25度の後退角を持つ主翼、T字尾翼を採用しています。主翼内部には12個の翼内タンクが内蔵され、機首上部には空中給油を受けるための給油リセプタクルが装備されています。

貨物室は全幅5.8m、全高4.1m、全長37.0m (+ランプ部7.2m) という巨大なもので、前後にローディングランプ付の貨物扉を持ち、積載と搬出を同時に行えます。降着装置は28輪で、貨物の搭積時に機体の床位置を下げる「ニーリングシステム」を備えています。

搭載能力



C-5は以下の様な貨物を搭載可能です。

M1A1戦車×2両
M2A2歩兵/M3騎兵戦闘車×6両
ストライカー装甲車×7両
ハンヴィー高機動多用途車×14両
MLRS自走多連装ロケット砲×4両
パトリオット地対空ミサイル発射機×2両
AH-64攻撃ヘリコプター×6機
UH-60多目的・強襲ヘリコプター×6機
463L貨物パレット×36枚
兵員600名

その他、MH-53大型ヘリコプターやF-16戦闘機も分解して搭載できます。

機内は一部2階建てで、上部デッキには兵員73名を搭載可能です。故障発見解析記録装置MADARを装備しており、機体の状態を監視しています。

派生型



C-5A: 初期生産型
C-5B: 主翼とアビオニクスを改良したタイプ
C-5C: 船舶運搬用に改造されたタイプ
C-5M スーパーギャラクシー: エンジン換装やグラスコックピット化など、大幅な近代化改修が施された最新型

運用



戦時には兵器や軍事物資の輸送、平時には災害被災者支援のための医療派遣チームや支援物資の輸送に用いられます。

登場作品



C-5は数々の映画やアニメ、漫画、ゲームに登場しています。

映画『アイアムアヒーロー
映画『インターセプター』
映画『ターミネーター:ニュー・フェイト
アニメ『ガールズ&パンツァー 劇場版
* ゲーム『エースコンバットシリーズ

C-5は、アメリカ空軍の戦略的輸送を支える重要な航空機として、今後も活躍を続けるでしょう。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。