CROWS (RWS)

CROWS（Common Remotely Operated Weapon Station）：遠隔操作式銃塔

CROWS（Common Remotely Operated Weapon Station）は、アメリカ軍が採用しているRWS（Remote Weapon Station, 遠隔操作式銃塔）の総称です。主なモデルとしてM101 CROWSとM153 CROWS IIが存在しますが、これらはそれぞれ異なるメーカーが開発したもので、直接的な後継機種という関係ではありません。

概要

CROWSは、アメリカ軍の要求仕様に基づいて開発・配備されたRWSです。以下の武装に対応し、高い汎用性を誇ります。

5.56mm M249軽機関銃
7.62mm M240汎用機関銃
12.7mm M2重機関銃
Mk19 40mmグレネードランチャー

360度の旋回能力と、上方60度、下方20度の俯仰角を持ち、ジャイロスタビライザーによる安定化機構を備えています。照準システムは、可視光カメラ、赤外線暗視カメラ、レーザーレンジファインダーで構成され、FCS（火器管制装置）による弾道計算が可能です。

M101 CROWS

2004年にイラクに駐留するアメリカ軍に配備が開始されたM101 CROWSは、Recon Optical Inc.製のRAVEN R-400をアメリカ軍が制式採用したものです。特殊部隊、憲兵隊、歩兵部隊、輸送部隊などで使用されました。約560基が配備され、2006年にはオーストラリア軍がブッシュマスターIMV搭載用に44基のR400S RWSを購入し、初の海外ユーザーとなっています。その後、オランダ陸軍がオーストラリアからブッシュマスターIMVを緊急購入した際、R400S RWS搭載車両も導入されました。

M153 CROWS II

M153 CROWS IIは、ノルウェーのコングスベルグ・ディフェンス&エアロスペース社製のプロテクターRWSシリーズに属するM153 プロテクターをアメリカ軍が採用したものです。2007年8月に調達契約が締結され、当初からM101 CROWSを大きく上回る約6,500基が導入されました。2009年には調達数が約10,000基強に増加しています。M153 CROWS IIの前身であるM151 プロテクターは、ストライカー装甲車の標準装備として配備されていたため、運用評価が進んでいたことや、保守部品の互換性などが採用の決め手になったと考えられています。ハンヴィー、M1A2 SEP V2、各種MRAP（マックスプロ、RG-31、M-ATV、バッファローMPCVなど）に幅広く搭載されています。

バリエーション

M101 CROWS: Recon Optical社製RAVEN R-400のアメリカ軍仕様。重量は約135kg（火器含まず）。
M153 CROWS II: コングスベルグ・ディフェンス&エアロスペース社製M153 プロテクターのアメリカ軍仕様。重量は約172kg（火器含まず）。
CROWS-J: M153 CROWS IIにFGM-148 ジャベリン対戦車ミサイルを追加装備したバージョン。2017年から18年にかけて第2騎兵連隊のM1126ストライカーICVに配備され、テストが行われました。アメリカ陸軍は、各ストライカー旅団のICVの半分を30mm機関砲搭載型のM1296ストライカーICVD（ドラグーン）に更新し、残りの半分にCROWS-Jを装備することで、各旅団の火力強化を図っています。

運用国

アメリカ合衆国: M101 CROWSを約560基、M153 CROWS IIを約10,000基導入。M153 CROWS IIはハンヴィーやMRAPへの搭載の他、M1A2 SEP V2の標準装備となりました。
オーストラリア: ブッシュマスターIMVにRAVEN R-400（M101 CROWS）を搭載。
オランダ: オーストラリア軍からブッシュマスターIMVを緊急購入した際に、R-400 RWS（M101 CROWS）も導入。

関連項目

RWS（Remote Weapon Station, 遠隔操作式銃塔）
EOS R400S RWS
* プロテクター RWS

もう一度検索