ENEOS大分製油所

ENEOS大分製油所：九州のエネルギーを支える拠点

ENEOS大分製油所は、大分県大分市に位置するENEOS株式会社の主要な石油精製所です。1964年4月、大分臨海工業地帯への最初の進出企業として操業を開始しました。九州においては長らく唯一の製油所であり、地域経済の発展に大きく貢献してきました。

九州唯一の製油所から、大規模な精製拠点へ

当初の原油処理能力は4万バレル／日でしたが、時代とともに需要の拡大に対応するため、段階的に能力増強を繰り返しました。1972年には17万バレル／日に達し、九州におけるエネルギー供給の中核を担う存在となりました。その後、設備の更新や一部休止などを経て、現在の13万6000バレル／日に落ち着いています。

多様な製品と高度な技術

ENEOS大分製油所では、ガソリンや軽油などの石油製品を生産しています。高度な精製技術を用いて、高品質な製品を提供することに注力。具体的な設備としては、常圧蒸留装置、減圧蒸留装置、各種脱硫装置、接触改質装置、流動接触分解装置、水素化分解装置などを備え、効率的でクリーンな石油精製のプロセスを実現しています。

これらの設備により、ガソリン、軽油、灯油といった一般消費者向けの製品に加え、石油化学製品の原料となるナフサや芳香族化合物なども生産。さらに、LPG回収装置やイオウ回収装置など環境対策設備も充実させており、環境負荷の低減にも積極的に取り組んでいます。

電力供給事業への進出

ENEOS大分製油所は、石油精製事業にとどまらず、電力供給事業にも進出しています。1999年には日本で初めて電力会社への卸供給電力事業を開始しました。製油所の生産過程で発生する蒸気を利用した発電設備（発電能力14万9400kW）を保有し、余剰電力を電力会社に販売。エネルギーの有効活用と安定供給に貢献しています。

歴史と変遷

ENEOS大分製油所は、長い歴史の中で幾度かの組織変更を経験しました。2008年には九州石油の新日本石油精製への統合に伴い、同社の一員となりました。その後、JX日鉱日石エネルギー、JXエネルギー、JXTGエネルギーを経て、2020年にENEOSへと商号変更。常に時代に合わせて進化を遂げながら、エネルギー供給を支え続けています。

交通アクセスと専用線

製油所の操業開始と同時に、国鉄日豊本線鶴崎駅との間に専用線が敷設されました。製油所の原料や製品の輸送に利用されていましたが、1997年に廃止されました。現在では、トラック輸送などが中心となっています。

今後の展望

ENEOS大分製油所は、これからも地域社会のエネルギーを支える重要な役割を担っていきます。持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化し、環境負荷の低減、安全性の向上、そして高品質な製品の提供に努めていくでしょう。

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