Empathy (ソフトウェア)

Empathyは、GNOMEデスクトップ環境のために開発されたインスタントメッセンジャーで、テキストチャット、音声通話、ビデオ通話、ファイル転送など、多岐にわたる機能を備えています。複数のインスタントメッセージングプロトコルをサポートしており、ユーザーは異なるネットワーク上の連絡先と、統一されたインターフェースでコミュニケーションを取ることが可能です。これは、Telepathyフレームワークを基盤として構築されており、多様なプロトコルを柔軟に扱うことができます。

Empathyは、GNOMEデスクトップ環境のバージョン2.24から標準で含まれるようになり、Ubuntu 9.10以降やFedora 12以降では、デフォルトのインスタントメッセンジャーとしてPidginに代わって採用されています。

主な機能

複数プロトコルサポート:
Bonjour (AppleのZeroconf実装)
Facebook IM (PidginプラグインまたはXMPP経由)
Gadu-Gadu
GroupWise
Internet Relay Chat (IRC)
Lotus Sametime
MySpaceIM
MXit
Microsoft Messengerサービス (MSN Messenger、Windows Live メッセンジャー) - 音声とビデオ通話対応
OSCAR (AIM/ICQ/MobileMe)
QQ
SIMPLE
SILC
XMPP (Google トーク、LiveJournal Talk、Gizmo5、Facebook、Nokia Oviなど)
Yahoo! Messenger (基本的なチャットとファイル転送)
Zephyr

その他の機能:
GNOMEスクリーンセーバーを利用した自動退席と拡張退席機能
NetworkManagerを利用した自動再接続機能
スマイリーとスペルチェック機能を備えたプライベートチャットおよびグループチャット
会話ウィンドウのテーマ機能
会話履歴の記録（ログ）、ログ検索機能、新規チャットへのログの挿入
音声通話およびビデオ通話（SIP、MSN、XMPPを利用。Googleトークの音声チャットにも対応）
XMPPを使用したファイル転送
対話相手の現在位置を地図上に表示するジオロケーション機能
TelepathyのPythonバインディング
Tubesを使ったグループウェア的機能

注意点

Empathyは多機能で便利なメッセンジャーですが、Pidginなどのクライアントが持つオフレコメッセージング(OTR)機能のような、プライバシーとセキュリティを確保するための高度な暗号化機能は搭載されていません。ただし、2009年から一部プロトコルに対して暗号化機能を追加する作業が進められています。


Empathyは、GNOME環境でのコミュニケーションを円滑にするための強力なツールとして、多くのユーザーに利用されています。その多様な機能と使いやすいインターフェースは、日々のコミュニケーションをより豊かにしてくれるでしょう。

参考文献

公式ウェブサイト
Paul, Ryan (28 September 2007). “GNOME 2.22 planning: Empathy messaging client and toolkit proposed for inclusion”. Ars Technica.
Kissling, Kristian (26 September 2008). “Gnome Desktop Version 2.24 Released”. Linux Magazine.
Huber, Mathias (29 October 2009). “Ubuntu 9.10: Karmic Koala Complete”. Linux Magazine.
Ryan, Justin (23 April 2009). “Ubuntu Users Looking a Bit Jaunty Today”. Linux Journal.
LaCroix, Jeremy (29 September 2008). “New GNOME 2.24 is an incremental improvement”. Linux.com.
Vaughan-Nichols, Steven J. (16 December 2009). “Review: 3 top Linux distros go for different users”. Computerworld.
Gedda, Rodney (20 November 2009). “5 open source VoIP softphones to watch”. Computerworld.

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