GJ 3929

GJ 3929星系

GJ 3929は、M3.5Vというスペクトル分類を持つ赤色矮星です。太陽系からの距離は約15.8パーセク（約51.5光年）と比較的近傍に位置しており、TOI-2013やG 180-18といった別の呼称でも知られています。この恒星は、太陽の約0.31倍の質量と約0.32倍の半径を持つ、比較的小型の恒星です。

2022年、このGJ 3929の周囲に複数の惑星が存在することが明らかになりました。初期の観測から惑星候補が発見され、その後の精密な観測によって、少なくとも2つの惑星の存在が確認されています。

惑星系の発見と確認

GJ 3929の惑星系発見の端緒となったのは、トランジット法を用いたTESS衛星による観測でした。TESSのセクター24および25におけるデータから、約2.62日の周期で恒星の手前を通過（トランジット）する天体の可能性が示唆され、これがTOI-2013.01という候補としてリストアップされました。恒星自身にはTOI-2013という名称が与えられました。

この候補の存在を確認するため、さらなるフォローアップ観測が行われました。特に、CARMENES装置を用いたドップラー分光法による観測では、TOI-2013.01よりも外側を公転する、別の天体からの重力的な影響の兆候が捉えられました。この兆候は約14.3日の周期に対応するものであり、2番目の惑星候補の存在を示唆するものでした。

TESSによるトランジット観測とドップラー分光法によるデータの解析が進められ、まず最初の惑星候補TOI-2013.01がGJ 3929 b（またはTOI-2013 b）としてその存在が確認されました。この確認に関する論文は2022年2月2日にarXivで公開されました。この時点では、2番目の惑星候補の存在は確定的ではありませんでした。

その後、さらなるフォローアップ観測とデータの精密化により、2番目の惑星GJ 3929 c（TOI-2013 c）の存在も確認されました。この確認を報告する論文は、2022年7月21日にarXivで提出されています。GJ 3929 cはトランジットを起こさない可能性が高いと考えられています。

個々の惑星の性質

GJ 3929 b
GJ 3929 bは、恒星に最も近い軌道を公転する惑星です。その公転周期は約2.62日と非常に短く、主星のごく近傍を巡っています。確認されたデータによると、この惑星は地球の約1.75倍の質量と約1.09倍の半径を持つとされています。これらの物理量から、GJ 3929 bは地球型惑星に分類されると考えられます。その軌道位置は、ハビタブルゾーンよりも内側の、いわゆる「Venus-zone（金星ゾーン）」に相当し、金星のような高温環境にあると推測されています。

GJ 3929 c
GJ 3929 cは、ドップラー分光法による検出から存在が確認された惑星です。その公転周期は約14.3日であると示唆されています。この惑星はトランジットを起こさないため、正確な半径は不明ですが、ドップラー分光法から得られた最小質量は地球の約5.71倍と見積もられています。この質量から、GJ 3929 cはミニ・ネプチューンやスーパーアースといったカテゴリーに属する可能性があり、質量としてはGJ 3929 bよりもかなり大きいことが分かります。

GJ 3929星系は、太陽系に近い赤色矮星の周りに複数の異なるタイプの惑星が存在する例として、惑星系の形成や進化を理解する上で重要な研究対象となっています。

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