GM大宇・ベリタス

ゼネラルモーターズ（GM）が製造を手掛け、韓国市場においてGM大宇（当時）ブランドで販売されていた高級乗用車であるベリタス（VERITAS）。この車名はラテン語に由来し、「真実」を意味する言葉である。これは英語の「TRUTH」にあたる。GM大宇は、この車名に込められた意味を強調するため、カタログなどのプロモーションにおいて「POWER OF TRUTH」というフレーズを用いていた。

ベリタスは、2008年9月4日に発表・発売された。これは、従来ラインナップされていたGM大宇・ステーツマン（WL型）の後継にあたるモデルとして位置づけられている。ステーツマンWL型と同様に、ベリタスもまたオーストラリアのホールデン（GM傘下）が製造するステーツマン、あるいはカプリスをベースとしたOEM供給モデルであった。販売当初は、DELUXE、PREMIUM、LAXURYの3種類のグレードが設定された。

車体は、ホールデン・コモドアなどが採用するFR（フロントエンジン・リアドライブ）のゼータプラットフォームを基本としている。導入当初の動力源には、最高出力252PSを発揮するホールデン製の3.6リッターV型6気筒ガソリンエンジンが搭載され、マニュアルモード付きの5速オートマチックトランスミッションが組み合わされた。この組み合わせにより、滑らかで上品な走行性能が特徴であった。

発売翌年の2009年にはパワートレインの改良が実施された。エンジンは排気量は3.6リッターV型6気筒のままながら、最高出力が277PSに向上したDOHC直噴ユニットへと変更された。同時に、トランスミッションも従来の5速から6速オートマチックへと多段化されている。これらの新しいパワートレインは、当時GMの高級ブランドであるキャデラック・CTSに搭載されていたものと基本的に同一のユニットであった。

ベリタスは、その車格に見合った充実した装備を備えていた。快適装備として、シートヒーター内蔵の本革シート、後席からの操作も可能なフルオートエアコンなどが採用された。視認性に関する装備では、LEDを用いたサイドターンランプやテールランプ、ディスチャージヘッドランプなどが装備された。エンターテイメントシステムには、米国を代表する音響メーカーであるBOSEと共同開発したオーディオシステムが搭載され、車内空間の質を高めている。また、長距離走行を支援するクルーズコントロールや、足元を引き締めるアルミホイールなども採用されており、ホイールサイズはベースグレードのDELUXEが17インチ、それ以外のグレードは18インチであった。

安全面においても配慮がなされており、電子制御による制動力配分機能（EBD）付きアンチロックブレーキシステム（ABS）を始めとする基本的な安全装備に加え、運転席および助手席に加えサイドエアバッグとカーテンシールドエアバッグを含む複数のエアバッグシステム、トラクションコントロールシステム（TCS）、緊急ブレーキアシスト（EBA）、そして駐車時などに役立つクリアランスソナーなどが標準装備された。

しかし、ベリタスは長く市場に留まることはなかった。2010年8月、GM大宇が新たに投入したアルフェオン（ビュイック・ラクロスがベース）の登場に伴い、その販売を終了した。

関連性の高い車両やブランドとしては、この車の製造・販売に関わったGM大宇や韓国GM、そしてベースとなったホールデン・ステーツマン／カプリス、さらにステーツマン関連としていすゞ・ステーツマンデビルやマツダ・ロードペーサー、また同一プラットフォームや類似モデルとしてビュイック・パークアヴェニューやシボレー・インパラなどが挙げられる。

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