HD 158259

HD 158259

HD 158259はりゅう座の方向に存在する恒星であり、地球からの距離はおよそ88光年です。この恒星は、TOI-1462やHIP 85268といった別の名称でも参照されることがあります。

惑星系

HD 158259は、複数の太陽系外惑星を持つことで知られています。これまでに、HD 158259 b、c、d、e、fと名付けられた5つの惑星の存在が確定しており、さらにHD 158259 gが惑星候補として発見されています。

これらの惑星の発見には、南フランスに位置するオート＝プロヴァンス天文台に設置されたSOPHIEスペクトログラフによる精密な観測データが大きく貢献しました。恒星のわずかなふらつき（視線速度の変化）を測定することで、周囲を公転する惑星の重力的影響が捉えられました。特に、より主星に近い軌道を周回する内側の惑星については、TESS（Transiting Exoplanet Survey Satellite）宇宙望遠鏡によるトランジット法（惑星が恒星の手前を通過する際に生じる光度のわずかな低下を検出する方法）の観測でもその存在が確認されています。

発見されたこれらの惑星は、一般的に「スーパーアース」や「ミニネプチューン」と呼ばれるカテゴリーに分類されます。これは、地球よりは大きいものの、海王星や天王星といった巨大ガス惑星や氷惑星に比べると質量や半径が小さい天体を指します。

HD 158259の惑星系で特に注目すべき特徴は、HD 158259 bからgまでの合計6つの惑星が、互いに「軌道共鳴」に近い関係にあると考えられている点です。具体的には、これらの惑星の軌道周期が約3:2の整数比に近い値を示していると推定されています。軌道共鳴とは、複数の天体が主星の周りを公転する際に、それぞれの公転周期が簡単な整数比となる力学的に安定した状態を指します。例えば、内側の惑星が3回公転する間に、そのすぐ外側の惑星がちょうど2回公転するといった関係です。このような軌道共鳴に近い配置は、惑星系がどのように形成され、進化してきたかを理解する上で重要な手がかりとなります。

個々の惑星の質量について見ると、最も内側を公転する惑星bは地球質量の約2倍と比較的軽量なスーパーアースであるとされています。一方、それより外側を公転する惑星c, d, e, f, および候補であるgの5つの惑星は、それぞれ地球の約6倍の質量を持つと推定されており、こちらはミニネプチューンに分類される可能性があります。このような惑星の質量分布や軌道配置から、これらの惑星は現在の軌道よりも主星から遠い位置で形成された後、原始惑星系円盤との相互作用などによって現在の内側の軌道へと移動してきた（惑星移動）シナリオが示唆されています。

これらの確定・候補惑星の他に、公転周期がおよそ374日であるとされる未確認の惑星候補HD 158259 hの存在も指摘されており、今後の観測による検証が待たれます。この惑星系は、多数の惑星が軌道共鳴に近い状態で存在する珍しい例として、太陽系外惑星系の形成やダイナミクスの研究において重要なターゲットの一つとなっています。

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