IBM Db2

IBM Db2とは

IBM Db2は、1983年にIBMが開発・販売を開始したデータベース管理システム（DBMS）であり、同製品を中心としたデータ管理ソフトウェア群のブランド名です。当初は「IBM DB2」や「IBM Database 2」という名称でしたが、2017年6月に「Db2」にリブランドされました。

Db2は、関係データベース（RDB）として誕生しましたが、2001年以降はオブジェクトデータベース機能やXMLデータベース機能も搭載し、より多機能なデータベースへと進化しました。IBMのソフトウェアブランド「Information Management Software」を構成する主要な製品群の一つです。また、データベース言語SQLを初めて採用したRDBMSとしても知られています。

Db2の主な製品構成

Db2は、稼働プラットフォームによって以下の製品があります。

Db2 (Linux, UNIX, Windows用)：LUWとも略されます。幅広いプラットフォームに対応しており、ソフトウェアでRDBMS機能を実現しています。オプションでクラスタリング機能（シェアードナッシングモデル）も利用可能です。
Db2 for z/OS (z/OS用)：DB2ファミリーの元祖であり、メインフレーム向けです。クラスタリングはディスク共有モデルを採用しています。
DB2 Server for VSE&VM (z/VSE, z/VM用)：旧称は「SQL/DS for VSE and VM」です。
DB2 Server for i (IBM i用)：IBM iのコンポーネントとして提供され、ハードウェアのRDBMS機能を利用しています。

Db2の歴史

Db2の歴史は古く、そのルーツは1970年代にIBMで研究開発されていた「System R」というRDBMSに遡ります。System Rは、関係データベースの理論を提唱したエドガー・F・コッド博士のアイデアに基づき、関係モデルをソフトウェアとして実装するプロジェクトでした。System Rから派生したSEQUELというデータベース言語は、その後SQLへと発展しました。

1981年には、IBMはSQL/DSというRDBMS製品をリリースし、1983年にはメインフレーム用のRDBMSとしてDB2 (Database2) を発表しました。当初はメインフレーム専用でしたが、1990年代にはUNIX版やWindows版も登場し、マルチプラットフォームに対応しました。

その後、オブジェクト指向データベース機能を取り込み「DB2ユニバーサルデータベース」(DB2 UDB) と改名されました。2001年にはInformixを買収し、その技術もDB2に導入されました。

Db2の主な特徴

信頼性とスケーラビリティ：大規模なデータベースを支える高い信頼性とスケーラビリティを備えています。
コストベースの照会最適化：クエリの実行計画を自動的に最適化するコストベースオプティマイザーを搭載しています。
マルチプラットフォーム対応：メインフレームからパーソナルコンピュータまで、幅広いプラットフォームで利用できます。
豊富なAPI：Java、.NET、Ruby、Pythonなど、多数のプログラミング言語に対応したAPIが提供されています。
標準SQLへの準拠：SQL-92といった国際標準に準拠し、高い移植性を実現しています。

Db2の競合製品

Db2は、データベース市場において、Oracle DatabaseやSAP HANAと激しいシェア争いを繰り広げています。特にメインフレームやオフィスコンピュータの分野では、Db2が強い影響力を持っています。しかし、中小規模のデータベース市場では、Microsoft SQL Server、PostgreSQL、MySQLといった競合製品も存在します。

z/OS向けのDB2 (DB2 for System z) は、z/OSプラットフォームにおいては事実上独占的な地位を確立しています。

Db2のエディション

Db2は、様々なライセンス形態（エディション）で提供されており、ユーザーは必要な機能に合わせたエディションを選択できます。主なエディションとしては、ワークグループ、ワークグループアンリミテッド、エンタープライズサーバーなどがあります。ハイエンドのエディションとして「DB2 UDB データウェアハウスエンタープライズエディション」(DWE) があります。DWEは、オンライントランザクション処理 (OLTP) とビジネスインテリジェンス (BI) の両方のワークロードをサポートしています。

z/OS向けのDB2 (DB2 for System z) は、z/OSプラットフォームに固有のライセンス形態で利用可能です。z/OSプラットフォーム上では、高度なセキュリティ機能やハードウェアを利用したデータ圧縮機能など、他のプラットフォームにはない独自の機能が提供されています。

まとめ

IBM Db2は、長年の歴史を持つ強力なデータベース管理システムです。幅広いプラットフォームに対応し、高い信頼性と拡張性、豊富な機能を備えています。SQL標準への準拠や様々なAPIの提供により、開発の自由度も高く、様々なビジネスシーンで活用されています。

参考情報

[IBM]] Db2 公式サイト: [IBM DB2- 日本IBM
[IBM]] 製品一覧: [IBM 製品一覧
[IBM]] ソフトウェア: [IBM ソフトウェア
[IBM]] 無料評価版: [IBM 無料評価版

関連項目

関係データベース管理システム
IBM
System R
SQL/DS
IMS
* Informix

もう一度検索