JFKエクスプレス

JFKエクスプレス：ニューヨークの空港連絡列車

JFKエクスプレスは、かつてニューヨーク市地下鉄で運行されていた空港連絡列車で、マンハッタンとジョン・F・ケネディ国際空港（JFK空港）を結んでいました。「飛行機への列車（The Train to The Plane）」というキャッチフレーズで宣伝され、主にR46形車両が使用されていました。

運行ルートと歴史

1978年9月23日に運行を開始し、当初は57丁目駅を起点として、IND6番街線、IND8番街線、INDフルトン・ストリート線、INDロッカウェイ線を経由し、ハワード・ビーチ-JFKエアポート駅までを結んでいました。その後、1989年10月29日にはIND63丁目線が開通したことに伴い、北側のターミナル駅が21丁目-クイーンズブリッジ駅に変更されました。

JFKエクスプレスは、通常の地下鉄運賃に加えて追加運賃が必要でしたが、そのサービス開始当初から、資金の不適切使用や、一部の航空会社が使用するターミナルへのアクセスが不便であるといった批判がありました。利用客は駅から数百ヤード離れたシャトルバス乗り場まで移動する必要があり、期待されたほどの乗客数を集めることができませんでした。

1980年5月には、MTAの執行役員がJFKエクスプレスの運転中止を勧告しましたが、MTAの取締役会は運行継続を決定。しかし、1980年代後半には利用客が減少。1989年10月には、NYCTA（ニューヨークシティ・トランジット・オーソリティ）がJFKエクスプレスの廃止を提案しました。当時、1日の利用客数は3,200人と、サービス開始当初のピーク時（4,000～5,000人）から大幅に減少していました。

1989年10月29日には、IND63丁目線への乗り入れが開始され、運行区間が延長されましたが、利用客数は増加せず、1990年4月15日にJFKエクスプレスは廃止されました。運行終了時の追加運賃は6.50ドルにまで上昇し、多くの乗客はより頻繁に運行されているA系統を利用するようになりました。

運賃と特例

JFKエクスプレスの乗車には追加運賃が必要でした。追加運賃は、車内を巡回する車掌によって徴収されていました。また、列車には車掌の他に客室乗務員も同乗していました。追加運賃は、当初3.50ドルでしたが、1981年には5ドル、運行終了時には6.50ドルにまで値上げされました。

一方で、路線の閉鎖などの理由で他のサービスに変更が生じた場合には、追加運賃なしで乗車できる特例措置が設けられたこともありました。例えば、1988年のウィリアムズバーグ橋閉鎖の際には、夜間にJFKエクスプレスが運行する区間では、追加運賃なしで乗車することができました。

車両と編成

JFKエクスプレスには、主にR46形車両が使用されていました。R46形が修繕工事に入った際にはR44形が使用されました。列車は運行開始当初は3両編成でしたが、後に4両編成に増結されました。車両には、空港連絡列車という特性上、荷物棚が設置されていました。

廃止後の代替手段

JFKエクスプレスの廃止後も、ハワード・ビーチ-JFKエアポート駅にはA系統が停車し、同駅と空港ターミナルを結ぶシャトルバスが運行されていました。このシャトルバスは、2003年12月17日にエアトレインJFKが開業するまで運行を続けていました。エアトレインJFKは、INDロッカウェイ線の他に、ロングアイランド鉄道やニューヨーク市地下鉄アーチャー・アベニュー線にも接続しています。

また、現在計画中のロウアー・マンハッタン-ジャマイカ/JFK・トランスポーテーション・プロジェクトでは、マンハッタンとJFK空港を結ぶ急行列車が計画されています。これは、JFKエクスプレスのように地下鉄線を使用するのではなく、エアトレインJFKを利用するもので、マンハッタンから地下鉄でアトランティック・ターミナル駅へ移動後、ロングアイランド鉄道に乗り換え、ジャマイカ駅でエアトレインJFKに乗り換えて空港へ向かうというものです。

路線図

JFKエクスプレスは、以下の路線を通過しました。

IND6番街線
IND8番街線
INDフルトン・ストリート線
INDロッカウェイ線
IND63丁目線 (1989年10月29日以降)

停車駅

57丁目駅 (1978年9月23日 - 1989年10月28日)
西4丁目-ワシントン・スクエア駅
ジェイ・ストリート-ボロー・ホール駅
ロッカウェイ・ブールバード駅
ハワード・ビーチ-JFKエアポート駅
* 21丁目-クイーンズブリッジ駅 (1989年10月29日 - 1990年4月15日)

JFKエクスプレスは、その短い歴史の中で、ニューヨーク市民にとって重要な空港連絡手段の一つでしたが、最終的には需要の低迷により廃止されました。しかし、その存在は、ニューヨークの交通史において重要な役割を果たしています。

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