JR東日本キハ100系・キハ110系気動車

キハ100・110系気動車

キハ100系・110系気動車は、東日本旅客鉄道（JR東日本）がローカル線の輸送改善と老朽化した車両の置き換えを目的に開発した一般形気動車です。16m級の短尺車体を持つキハ100形・101形と、20m級の長尺車体を持つキハ110形・111形・112形に大別されますが、基本設計が共通であるため「キハ100・110系」と総称されます。

導入の経緯

1990年3月10日、北上線でキハ100形、釜石線と山田線でキハ110形量産先行車が営業運転を開始しました。製造メーカーは富士重工業と新潟鐵工所で、デザインは剣持デザイン研究所が担当しました。車体と台車の軽量化、高出力直噴式エンジンと高効率液体変速機の組み合わせにより、電車並みの加速性能を実現。電気指令式ブレーキの採用も速度向上に貢献しました。

車両構造

車体

普通鋼製ながら軽量化を図り、角を落とした形状、板厚の見直し、強度に無関係な箇所への穿孔、プラグドア化と固定窓化による側構体の厚み低減を行っています。キハ101形および各形式の200番台以降は車体強化とドアの引き戸化が行われました。床面高さは1,175mmで、地方線区の低いプラットホームに対応するため、出入り口にステップが設けられています。

塗装はキハ101形と特別仕様車を除き共通で、わずかに緑がかった白色を基本に、車体隅などにダークライムグリーンを配しています。

キハ100系

16m級車体（一部17m級）の両運転台車両です。

キハ100形（トイレあり）
キハ101形（トイレなし）
キハ103形（改造車、実質片運転台）

キハ110系

20m級車体で、片運転台車も存在します。キハ111形とキハ112形は基本的に同番号の車両とユニットを組んで運用されます。

キハ110形：両運転台車
キハ111形：片運転台車
キハ112形：片運転台車（トイレなし）
* キクシ112形：片運転台車（駆動用エンジン・トイレなし）

機器類

エンジンは、キハ100系がDMF11HZ、DMF13HZ、DMF14HZのいずれか、キハ110系がDMF13HZAまたはDMF14HZAを搭載しています。いずれも直列6気筒、直接噴射式で、排気タービン過給器・吸気冷却器付きです。変速機はトルクコンバータを内蔵する液体式で、電気指令式空気ブレーキ装置やボルスタレス式空気ばね台車を採用しています。

冷房は機関直結式、暖房は機関の廃熱を利用する温水・温風方式です。

内装

車内温度保持のため、客用ドアは半自動扱いが可能で、ドア横に開閉スイッチが設置されています。

他形式との混結

電気連結器付きの密着連結器を採用し、分割併合を容易にしています。ブレーキや連結器の違いから既存車との併結はできませんが、後年登場したキハE130系0番台・キハE120形とは混結可能です。

車両詳細

キハ100形0番台

キハ100系グループの基本形で、1990年から翌年にかけ46両が製造されました。ワンマン運転を考慮した半室構造の運転台、セミクロスシート、和式トイレなどを備えます。

試作車

1990年1月から2月にかけ4両が製作されました。量産車と異なり、車体側の排障器はステンレス製丸鋼管の3段組み、側面はダミーガラスを使用した連続窓風のデザインが特徴です。

量産車

1991年3月以降に製造された車両は、ダミー窓の廃止、運転室側窓のHゴム支持への変更、室内の折りたたみ座席の廃止などが行われました。

POKÉMON with YOU トレイン

キハ100-1・3を改造した大船渡線中心に運転される「POKÉMON with YOU トレイン」専用車です。

キハ100形200番台

1993年に大湊線で使用されていたキハ40形を置き換えるために5両が製造されました。客用側扉の引き戸化、車体の延長・強化、車いすスペースの設置などが行われています。

キハ101形

左沢線用として1993年から1997年にかけて13両が製造されました。オールロングシート、トイレ省略、車椅子スペースなどを備え、左沢線独自の塗装が施されています。

キハ103形

キハ100-29を改造した小海線観光列車「HIGH RAIL 1375」用車両です。リクライニングシート、書棚などを備えます。

キハ110系0番台

急行列車用として投入された番台で、回転リクライニングシート、グローブ付き照明などを備えます。

キハ110系100番台

普通列車用として設計された番台で、セミクロスシートを備えます。

キハ110系150番台

水郡線向け100番台の増備車で、200番台と同等の仕様としながら床面高さを100番台と同一にしています。

キハ110系200番台

100番台をマイナーチェンジした車両で、運転台部の強化、乗降扉の引き戸化などが行われています。

キハ110系300番台

特急「秋田リレー」用として製造された車両で、後に200番台に改造されました。

キハ110系700番台

八戸線で運転されるジョイフルトレイン「TOHOKU EMOTION」専用車です。

キハ110系710番台

キハ110-108を改造した小海線観光列車「HIGH RAIL 1375」用車両です。

配置と運用

キハ100・110系は、現在も東北地方を中心に各線区で活躍しています。各車両基地の所属車両や運用路線は多岐にわたり、地域輸送を支える重要な役割を担っています。

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