KID (ゲームブランド)

KID（キッド）

KIDは、2007年2月から2012年までサイバーフロントによって運営されていた日本のゲームブランドです。このブランドは、株式会社KIDが1988年に設立された後、2006年11月末の自己破産を経てサイバーフロントに引き継がれました。

KIDの名前は「Kindle Imagine Develop」の略です。このブランドは、シューティングやアクションゲームの開発を行っていた時期もありましたが、1990年代後半以降は恋愛アドベンチャーゲームや乙女ゲームに重点を移しました。特に、アダルトゲームのコンシューマ版への移植にも積極的に取り組んでおり、『Memories Off』や『infinity』などの人気シリーズを展開しました。これらのゲームは、その後Windows版に移植され、旧キッドの通販サイトを通じて販売されるなど、多くのファンに支持されました。

旧キッドの本社は東京都品川区にあり、地元では「Train Simulator」シリーズの中にもその名が見られます。また、旧キッドには同姓の経営者が二人いたため、同族経営との誤解を招くこともありましたが、実際には親戚ではありませんでした。

歴史

KIDの創業は1988年にさかのぼりますが、当初は大手ゲームメーカーの下請けとして活動を始めました。そこで開発されたタイトルの一つが、『サマーカーニバル'92 烈火』です。また、1991年にはFM TOWNS用として『雷電伝説』という作品もリリース。この頃、KIDはシューティングゲームやアクションゲームにおいて高い評価を得ていました。

1990年代半ば、次世代ゲーム機の登場に伴い、ゲーム開発のコストは増大。これをきっかけにKIDは製作から販売までを手掛ける独立したメーカーとしての道を選び、1996年に美少女ゲームのセガサターン向け移植を始めました。その中でも『きゃんきゃんバニー プルミエール』や『ONE 〜輝く季節へ〜』などが特に有名です。これらの作品は、高価なPCゲームを一般的なセガサターンのユーザにも楽しんでもらえる形で提供されました。

また、PlayStation向けのオリジナル作品として『ポケットラブ』も開発し、KIDの看板作品となる『Memories Off』シリーズなどが次々と登場しました。ギャルゲー市場を席巻する中、ユニークなボードゲームの制作にも挑戦し、タカラの人生ゲームシリーズの初期作品も手掛けています。

2001年から2003年には、都営バスにラッピングバスが登場し、ブランドの認知度が向上しました。2005年には人気ドラマ『電車男』にゲームソフトのポスターが登場するなど、一時期は活況を呈していました。しかし、業界全体の売上低迷の影響を受け、2006年には営業を停止し、自己破産を申請しました。

ブランドの再興

2007年2月、サイバーフロントがKIDのブランド権を取得しました。その結果、新作の『Memories Off #5 encore』や『12RIVEN -the Ψcliminal of integral-』の開発・販売がサイバーフロントへと引き継がれました。2007年11月、5pb.が『Memories Off』シリーズの利用権を独占的に得ることが発表され、その後も多くの作品が販売されました。

終焉とその後

KIDのブランドは2012年に実質的に消滅。サイバーフロントも翌年に解散しました。2012年以降、KIDの名を冠した作品は見られなくなりはしましたが、ギャルゲー自体は発売され続けました。これにより、KIDが築いたブランドの影響が色濃く残っています。2014年に登場したブラウザゲーム『メガミエンゲイジ！』では、旧KIDのキャラクターが登場するものの、KIDの名は使用されていません。

代表的作品

KIDの代表作に関する詳細は多岐にわたりますが、特に『Memories Off』シリーズと『infinity』シリーズにおいては、多大な支持を受けました。これらの作品が持つセンチメンタルな要素やドラマティックな展開は、多くのファンを引きつけ続け、その後のギャルゲー作品にも影響を与えることとなりました。

KIDは、最終的にはその歴史を閉じましたが、日本のゲーム文化に確かな足跡を残したブランドの一つとして記憶されています。

もう一度検索