MA60 (航空機)

Xian MA60（新舟60）について

Xian MA60（新舟60、英語：Xian MA60）は、中国の西安飛機工業公司が開発した双発ターボプロップ旅客機です。ウクライナのANTKアントーノフが製造したAn-24と、Y-7 200A旅客機をベースに設計されています。

概要

MA60は、An-24旅客機（1959年初飛行）をコピー生産したY-7 200Aを基に開発されました。エンジンはプラット・アンド・ホイットニー・カナダ製のPW127Jに換装され、操縦機器も近代化されています。1998年の珠海国際航空宇宙博覧会で発表され、日本では西安（シーアン）MA-60と呼ばれることもあります。

2000年3月21日に初飛行し、同年8月には四川航空が就航を開始しました。中国当局からの量産許可を得て、年間12-15機が製造されています。中国政府による発展途上国への販促を目的とした無償供与も多く行われています。

派生型

MA60には、以下の派生型が存在します。

MA60-100: 重量を削減し、性能を向上させたモデル。
MA60-MPA（フィアレスアルバトロス）: 2002年の中国国際航空宇宙博覧会で展示された対潜哨戒機（ASW）型。
MA40: 2002年から提供が開始されたモデルで、胴体を短縮して40席としたもの。
MA60H-500: リアカーゴランプを装備した軍用輸送機型。
MA600: MA60-100を発展させたモデルで、2008年6月29日に発表、初飛行。
MA700: MA600の発展型。

運用状況

2014年3月時点で、53機のMA60が運用されており、14機が保管状態にあります。中国国内や発展途上国を中心とした航空会社や空軍で運用されていますが、航空会社によっては飛行停止や代替機の選定、運用中止といった措置が取られています。

主な運用国・航空会社は以下の通りです。

アフガニスタン: イーストホライゾン航空
ボリビア: ボリビア空軍、TAM、ボリビアーナ航空
ブルンジ: ブルンジ航空
カンボジア: カンボジア・バイヨン航空、カンボジア王国空軍
カメルーン: カメルーン航空
中国: 中国民間航空飛行大学、中国聯合航空、奥凱航空、幸福航空、四川航空、武漢航空、ヤングアン航空
コンゴ民主共和国: コンゴ航空
ジブチ: ジブチ空軍
エリトリア: マッサワエアウェイズ、エリトリア空軍
インドネシア: メルパチ・ヌサンタラ航空
キルギスタン: キルギスタン航空
ラオス: ラオス国営航空、ラオス人民解放空軍、ラオ・スカイウェイ
ミャンマー: ミャンマー・ナショナル航空
ネパール: ネパール航空
ペルー: CDSレジナルエクスプレス
フィリピン: エアアジア・ゼスト、クラーク航空
コンゴ共和国: エアコンゴ
スリランカ: スリランカ空軍
タジキスタン: タジキスタン航空
トンガ: リアルトンガ
ウクライナ: マーズ RK
イエメン: フェリックス・エアウェイズ
ザンビア: ザンビア空軍
ジンバブエ: エア・ジンバブエ

事故

MA60は、過去に複数の事故を起こしています。

2009年6月: フィリピン、ゼストエア機がカティクラン空港着陸時にオーバーラン。
2011年5月: インドネシア、メルパチ・ヌサンタラ航空8968便がカイマナ空港着陸時に滑走路手前の海中に着水し、乗員乗客全員が死亡。
2013年5月: ミャンマー航空機がモンサット空港着陸時にオーバーラン。
2013年6月: インドネシア、メルパチ・ヌサンタラ航空機がエル・タリ空港着陸時にハードランディング。
2013年6月: ミャンマー航空機がコータウン空港着陸時に滑走路を逸脱。ミャンマー航空当局は同型機の国内での飛行停止措置を実施。
2014年2月4日: 中国、幸福航空機が鄭州空港着陸時に前輪が格納され、機体前部が滑走路と接触。
2014年2月25日: 中国、奥凱航空機が瀋陽桃仙国際空港に着陸する際、計器にランディングギアの故障が表示され緊急着陸。

これらの事故を受けて、ニュージーランド政府がトンガへ渡航する際、リアルトンガが使用するMA60型機を使用するとき上記のような機体欠陥が疑われる航空機の使用は自己責任を負うとの渡航喚起を出すなど、国際的な問題に発展するケースも見られました。

機体性能

運航乗員: 2名
乗客: 60名
全長: 24.70m
全幅: 29.20m
全高: 8.85m
翼面積: 75m²
空虚重量: 30,864kg
全備重量: 48,060kg
エンジン: 2× プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PW127J
最高速度: 514km/h
巡航速度: 430km/h
航続距離: 1600km
実用上昇限度: 7,620m

もう一度検索