MATE (デスクトップ環境)

MATEとは



MATE（マテ）は、GNOME 2のコードを基に開発されたデスクトップ環境です。名前は、マテ茶の原料となる植物イェルバ・マテに由来します。GNOME 3の登場に伴い、従来のインターフェースから大きく変更されたことに不満を持つユーザーによって、GNOME 2の思想を継承する形で開発が始まりました。

歴史



GNOME 3は、従来のデスクトップメタファーをGNOME Shellという新しいインターフェースに置き換えたため、Linuxコミュニティの一部から批判を受けました。この変更を受け入れられないユーザーたちが、GNOME 2の開発を継続することを望み、その要望に応える形でMATEプロジェクトが立ち上がりました。

プロジェクトは、Arch LinuxユーザーのPerberos氏によって開始され、GNOME 2のフォークとして開発が始まりました。

アプリケーション



MATEでは、いくつかのGNOMEアプリケーションがフォークされ、リネームされて使用されています。


これらのアプリケーションは、GNOME 2の使い勝手を維持しつつ、MATE環境に最適化されています。

開発



MATEプロジェクト初期段階では、GNOME 2.32のソースコードを機械的にリネームし、発生した不具合を手作業で修正するという手法が用いられました。この手法は、動作するGNOME 2のフォークを迅速に提供するためには有効でしたが、libgnomeやlibgnomeuiといった旧式のライブラリに依存するという問題を抱えていました。

現在のリードデベロッパであるStefano Karapetsas氏は、これらの旧式ライブラリのメンテナンスに消極的であり、MATEを最新のライブラリに移行させる方針を採っています。具体的には、GNOME 3.Xで使用されている最新のライブラリに移行したり、不要なライブラリを廃止するなどの作業が進められています。

バージョン1.8の時点では、libmatekbd、libmateweather、mate-dialogなどのライブラリが残っていますが、コードベースの観点からは、MATEはGNOME 2.XよりもGNOME 3.Xに近いと言える状態になっています。

GTK3への移行も進められており、gucharmapへの移行は完了済みです。将来的には、zenityへの移行、libunique依存の排除、libgweatherへの移行などが計画されており、特にlibuniqueとlibgweatherの移行は、Cajaやmate-panelといった主要コンポーネントのGTK3対応が必須となります。

MATEは、保守的なUXとリソース消費の少なさを維持することを目標としており、今後の開発においてもこの方針が維持される見込みです。

Linux Mintとの関係



Linux MintプロジェクトリーダーであるClement Lefebvre氏は、MATEプロジェクト創設者の1人であり、Linux MintとMATEの関係は非常に密接です。Lefebvre氏は、プロジェクトマネージャー兼主要開発者として参加しており、Linux Mintコミュニティも積極的に協力しています。

Linux Mintでは、バグ修正の上流への還元などが積極的に行われていますが、MATEとLinux Mintはそれぞれ独立したプロジェクトとして運営されています。

採用



MATE V1.2は2012年4月16日にリリースされました。Linux Mint 12 "Lisa"では、標準のデスクトップ環境として採用されました。また、Ubuntuでは、2015年4月23日にリリースされた15.04世代より、MATEを採用したUbuntu MATEが公式フレーバーとして提供されています。

MATEのパッケージは、Arch Linux、Debian、Fedora、Sabayon Linuxなどでも利用可能です。Linux Mint Debian Editionでは、第一のデスクトップ環境として採用されており、Cinnamonが代替のデスクトップ環境として利用可能です。

まとめ



MATEは、GNOME 2の思想を受け継ぎつつ、現代的な技術を取り入れたデスクトップ環境です。軽量でリソース消費が少ないため、幅広いユーザーに支持されており、Linux MintやUbuntu MATEなどの主要ディストリビューションで採用されています。今後も、保守的なUXと最新技術の融合を目指して開発が進められるでしょう。

関連項目




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