NTT北陸硬式野球部

NTT北陸硬式野球部は、石川県金沢市を拠点に活動し、日本野球連盟に加盟していた社会人野球のクラブチームでした。その歴史は、日本電信電話公社の北陸支社チームとしてスタートしました。

創部と黎明期

チームは1953年、前身となる「電電北陸」として創部されました。発足当初から社会人野球の舞台で活動を開始し、実力を積み重ねていきました。

躍進と黄金期

長年の努力が実を結び、1964年には都市対抗野球大会に初めて出場を果たします。この時は残念ながら初戦で敗退しましたが、その2年後の1966年大会では都市対抗での記念すべき初勝利を挙げました。

1985年には、電電公社の民営化に伴い、チーム名を「NTT北陸」と改称します。この名称変更後の1986年は、チームにとって忘れられない年となりました。都市対抗野球では、新日本製鐵名古屋からの補強選手であった杉山孝一選手の活躍もあり、快進撃を見せてついに準優勝という輝かしい成績を収めます。同年秋には、社会人野球日本選手権大会に初出場し、ベスト8に進出するなど、全国の強豪チームとして存在感を示しました。

特に日本選手権においては、1990年からチームの解散が決定する前年の1998年まで、実に9年連続で本大会への出場を果たしており、この時期がNTT北陸の黄金期であったと言えるでしょう。

主要なJABA大会でも好成績を残しており、JABA長野県知事旗争奪野球大会（1998年）、JABAベーブルース杯争奪大会（1995年）、JABA新潟大会（1982年）、JABA富山市長旗争奪富山大会（1991年、1994年）、JABA伊勢・松阪大会（1984年）、JABA徳山大会（1984年、1986年、1987年、1990年、1991年、1992年、1993年）で優勝経験があります。

解散へ向かう過程

チームの運命が大きく変わったのは、1998年6月のことでした。NTTグループ全体の再編計画が発表され、北陸支社の廃止が決定されます。これに伴い、グループ内の硬式野球部も再編されることになり、NTT東京はNTT東日本に、NTT関西はNTT西日本にそれぞれ改称し、他のチームは原則として東西いずれかに統合される方針が示されました。

NTT北陸もこの波に乗り、NTT西日本への統合、すなわち年内での企業チームとしての廃部が一度は決まります。しかし、地元の石川県野球連盟をはじめとする関係者やファンからチーム存続を求める強い声が上がりました。この声を受け、1998年12月、急遽方針が変更されます。翌年の都市対抗野球終了までは企業チームとして存続し、その後は会社の支援を受けないクラブチームとして活動を継続するという形での存続が決定しました。

最後のシーズンと活動の終焉

存続は決まったものの、チームを取り巻く状況は厳しいものでした。1999年1月には、3人の選手がNTT西日本へ移籍したことに加え、ベテラン選手の引退もあり、前年の23名から16名へと部員が大幅に減少します。チームの平均年齢も30歳を超える状況でしたが、選手たちは企業チームとして最後の都市対抗出場を目指し、団結しました。

迎えた1999年、NTT北陸は企業チームとして臨む最後の都市対抗野球に出場しました。大会後、予定通りチーム名を変更せずにクラブチームへと移行し、その後の日本選手権予選に挑みます。しかし、2次予選の初戦で敗れてしまい、本大会への出場は叶いませんでした。

クラブチームとして活動を継続していく中で、選手の業務や生活面での負担が大きいことなどが課題として浮上しました。結果として、チームは同年10月、活動に幕を下ろすことを決断し、解散となりました。短期間ではありましたが、クラブチームとして最後の活動を終え、46年の歴史に終止符を打ったのです。

主な出身プロ野球選手

NTT北陸、電電北陸時代を通じて、多くの優れた選手を輩出しました。主な出身プロ野球選手には、高橋里志（南海）、堂上照（中日）、笠間雄二（巨人）、赤松一朗（阪神）、寺西秀人（中日）、正津英志（中日）らがいます。

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