O-2 (航空機)

O-2 軍用機

O-2は、セスナ社が開発した双発の軽多目的航空機で、民間モデルであるセスナ337 スーパー・スカイマスターの軍用バージョンです。アメリカ空軍により1966年に観測機およびCOIN機として採用され、愛称は「スカイマスター」です。

設計と開発

この機体は、セスナ337の改造版であり、1950年代に民間用として開発が始まりました。その特徴的なプッシュプルプロペラ配置により、機体の前面と後面にエンジンがあるため、双発機ながら高い生存性を持ち、視界も良好です。これらの特性が評価され、観測機として採用されるに至りました。

O-2Aモデルの特長としては、主翼の下に位置する4基のパイロンへのロケット弾ポッドやガンポッドの装備が可能です。また、無線通信機や装甲も追加され、軍用機としての機能性が向上しています。この機は主に観察任務に使用され、右側の座席には下方観察を行うための特別な窓が設置されています。O-2Bモデルは心理戦に特化した機体で、主に降伏勧告の放送やリーフレットの散布に用いられました。

さらに、フランスでもFTB337としてライセンス生産が行われ、一部は他国へも輸出されましたが、フランス軍自体には配備されませんでした。

戦歴

1966年に採用されてから、O-2はベトナム戦争で活躍しました。観測任務のため、O-1Aバードドッグの生存性が低下したことから、双発のO-2が選ばれました。O-2AはFAC（前線航空管制官）用にマーキング用ロケット弾を搭載し、O-2Bは心理作戦に特化して運用されました。

南ローデシア（現在のジンバブエ）では、「リンクス」と呼ばれ、ゲリラ相手にナパーム弾を投下するなど、実際の対ゲリラ戦態勢で使われました。興味深いことに、南ローデシアでは機体上部にさらにガンポッドが2基取り付けられた特化型が作られましたが、兵装の搭載量が限られていたため、能力には制約がありました。

モーリタニア空軍はCOIN機として、フランス製FTB337を導入し、西サハラでの紛争や国内の不安定な状況に対応しました。イラン向けには12機のO-2Aが製造されましたが、その運用状況は明らかではありません。

ポルトガル空軍もFTB337を購入しましたが、植民地戦争に間に合うことはなく、支援任務に使用され、2007年まで運用されました。その後、一部はモザンビークに引き渡されました。

タイ海軍とチリ海軍では、海洋監視任務として使用され、海賊対策にも用いられています。スリランカ空軍では、内戦の初期に観光航空機として運用されましたが、その後COIN任務に改造されて活動を行いました。

中米諸国においては、1970年代から80年代にかけても運用され、エルサルバドルやドミニカ共和国などがO-2を使用しました。アメリカ空軍では、すでに退役した機体がデビスモンサン空軍基地に保管されており、再生作業を経てナミビア、ボツワナなどへ供給されています。

生産機数と性能

O-2Aは501機生産され、イラン向けにさらに12機が製造されました。O-2Bは31機が生産されています。O-2Aの基本的な性能としては、以下の点が挙げられます。

• - 乗員：2名
• - 全長：9.07m
• - 全幅：11.63m
• - 全高：2.84m
• - 自重：1,292kg
• - 最大離陸重量：2,450kg
• - エンジン：コンチネンタルIO-360C/D レシプロ ×2（210hp）
• - 最高速度：320km/h
• - 航続距離：1,706km
• - 上昇限度：5,880m

使用国と登場作品

O-2は様々な国で運用されており、アメリカ合衆国やエルサルバドル、スリランカ、ポルトガルなど、多岐にわたる国の航空軍で見られました。また、民間型のセスナ337も多くの国で利用されています。さらに、映画『地獄の黙示録』や『バット★21』など、多くのフィクション作品にも登場し、航空戦の象徴的な存在としての地位を確立しています。

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