Reason (ソフトウェア)
Reasonは、スウェーデンのPropellerhead Software（現Reason Studios）によって開発された、WindowsとMacintoshに対応したソフトウェア・シンセサイザー統合型DAW（Digital Audio Workstation）です。
Reasonは、シーケンサー、ミキサー機能を備え、独自開発のシンセサイザーやエフェクターを豊富に内蔵しています。最大の特徴は、柔軟なシンセサイズを可能にする「バーチャルラック」システムです。これは、まるで実際の機材を組み込んだスタジオラックを再現したもので、シンセサイザーやエフェクターなどのデバイスを自由に配置し、接続することができます。MIDIやReWireを介した外部音源との連携も可能ですが、ReWire機能はスレーブ（音源役）としてのみ動作します。
VSTやAudio Unitsといった一般的なプラグインには対応していませんが、「Rack Extension（RE）」という独自の規格による拡張が可能です。REは、オーディオ/CVケーブルといった独自の機能にも対応しており、Propellerhead Softwareのオンラインショップを通じて、音源やエフェクターなどのデバイスを追加できます。
Reasonは当初、「楽器」として開発されたため、外部音源を取りまとめるホストDAWとしては動作しませんでした。しかし、2013年のバージョン7でMIDI出力に対応し、他のDAWとの連携も可能となりました。
製品グレードとしては、通常版の『Reason』のほか、廉価版の『Reason Essentials』、バンドル専用版の『Reason Limited』があります。
「バーチャルラック」システムは、Reasonの中核をなす機能です。ユーザーは、シンセサイザー、エフェクター、ミキサーなどのデバイスをラックに自由に配置し、ケーブルで接続することで、サウンドを構築していきます。デバイスのツマミを操作したり、ケーブルを接続したりといった操作は、まるで実際のアナログシンセサイザーを操作しているかのようです。このシステムにより、モジュラーシンセサイザーのような、自由で柔軟な音作りが可能になります。
また、「ライブサンプリング」機能により、マイクなどから直接音をサンプリングし、サンプラーにロードすることができます。この機能は、録音ボタンを押して離すだけで録音が完了し、無音部分も自動的にカットされるため、素早くサンプリングを行うことができます。
Rack Extension（RE）規格により、純正、サードパーティー製問わず、様々なラックデバイスを追加できます。これにより、Reasonの機能はさらに拡張され、多様なサウンドメイクが可能となります。
ミキサーは、SSL 9000 Kをモデルにしており、EQやダイナミクスセクション、マスターバスコンプレッサーなど、アナログミキサーのサウンド特性を再現しています。ラックデバイスには、マスタリングスイートのMClassシリーズ（イコライザー、ステレオイメージャー、コンプレッサー、マキシマイザー）も内蔵されており、ミキサーのインサートとしても使用できます。
シーケンサーは、ピアノロール式のMIDI編集機能と、ハードディスクレコーディング機能の両方を備えています。ラックデバイスやミキサーのツマミ操作はオートメーションデータとして記録でき、音楽制作における表現の幅を広げます。
MIDIトラックでは、「ReGroove Mixer」機能により、演奏のグルーヴをスライダーで調整できます。この調整は非破壊的なので、元のMIDIデータを変更することなく、様々なグルーヴを試すことができます。
オーディオトラックは、マルチテイク録音やコンピング編集に対応しており、タイムストレッチ機能も内蔵しています。また、スライス編集やREXループ化も可能で、柔軟なオーディオ編集が可能です。
「ブロック」機能を使用すると、短いシーケンスを「ブロック」としてソングに配置し、簡単に編曲できます。ブロックの内容を変更すると、ソング上の分身に反映されるため、楽曲の構成を効率的に変更することができます。また、ブロックは複数のフレーズ候補の比較検討にも活用できます。
いくつかのラックデバイスには、アナログシーケンサーが搭載されており、ハードウェア感覚でパターンを打ち込んだり、CV/ゲート信号を利用したりすることができます。
Reasonは、「ReFill（リフィル）」と呼ばれるライブラリ形式を使用します。ReFillは、パッチファイルやサウンドサンプルを格納したファイル形式で、プリセットやオーケストラ音色などの多くのサウンドが提供されています。
ユーザーは、「ReFill Packer」というユーティリティソフトを使用して、オリジナルのReFillを自作することもできます。ReFillは、有償、無償を問わず、多くのものがオンラインで配布されており、ユーザーコミュニティが活発です。
その他、サンプラー音色としてはWAV、AIFF、MP3、AACファイル、REX/REX2ファイル、SoundFontファイルなどを読み込むことができます。
Reasonは、世界中の多くのミュージシャン、プロデューサーに愛用されています。ビースティ・ボーイズ、プロディジー、ブラック・アイド・ピーズ ディレクターのプリンツ・ボード、アウル・シティーなどが著名なユーザーとして知られています。日本国内では、ゲームミュージック作曲家の阿保剛が使用していることでも知られています。楽曲としては、安室奈美恵の「WANT ME, WANT ME」や、ストロマエの「Alors on danse」のトラックメイキングにも使用されています。
Reasonには、多種多様なシンセサイザー、エフェクター、ミキサーなどのラックデバイスが内蔵されています。これらのデバイスは、バーチャルラックに自由に配置し、接続することができます。具体的なデバイスの種類については、製品の日本語マニュアルやメニューを参照してください。
Reasonは、1999年の最初のバージョンから、現在まで多くのアップデートを重ねています。
各バージョンで、新デバイスの追加、機能の改善、ユーザーインターフェースの変更などが行われています。近年では、VSTプラグインへの対応や、より高機能なサンプラーの導入など、常に進化を続けています。
詳細なバージョン履歴については、以下の通りです。
1.0（1999年）：初期バージョン。
2.0（2002年）：NN-XT、Malströmの追加。
2.5（2003年）：BV512、Scream 4などの追加。
3.0（2005年）：Combinator、MClassマスタリングスイートの追加。
4.0（2007年）：Thor、RPG-8などの追加。
5.0（2010年）：Kong、Dr. Octo REX、ライブサンプリング機能の追加。
6.0（2011年）：Pulveriser、The Echoなどの追加。
6.5（2012年）：Rack Extension規格の公開。
7.0（2013年）：External MIDI、オーディオスライス機能の追加。
7.1（2014年）：Rack Extension SDK 2に対応。
8.0（2014年）：Softubeアンプシミュレーターの追加。
8.1（2014年）：コラボレーションサービス「Discover」連携機能の追加。
8.2（2015年）：ブラウザナビゲーションの強化。
8.3（2015年）：RV7000 mkIIの追加。
9.0（2016年）：Scale & Chords、Dual Arpeggioなどの追加。
9.5（2017年）：VST対応。
10.0（2017年）：Grain、Europaなどのシンセサイザーを追加。
11.0（2019年）：Reason RackがVST/AUプラグインとして使用可能に。
12.0（2021年）：新しいサンプラー音源Mimicの追加。
13.0（2024年）：5つの新しいデバイスの追加。
Propellerhead公式サイト（英語）
Propellerhead日本語公式サイト
概要
Reasonは、シーケンサー、ミキサー機能を備え、独自開発のシンセサイザーやエフェクターを豊富に内蔵しています。最大の特徴は、柔軟なシンセサイズを可能にする「バーチャルラック」システムです。これは、まるで実際の機材を組み込んだスタジオラックを再現したもので、シンセサイザーやエフェクターなどのデバイスを自由に配置し、接続することができます。MIDIやReWireを介した外部音源との連携も可能ですが、ReWire機能はスレーブ（音源役）としてのみ動作します。
VSTやAudio Unitsといった一般的なプラグインには対応していませんが、「Rack Extension（RE）」という独自の規格による拡張が可能です。REは、オーディオ/CVケーブルといった独自の機能にも対応しており、Propellerhead Softwareのオンラインショップを通じて、音源やエフェクターなどのデバイスを追加できます。
Reasonは当初、「楽器」として開発されたため、外部音源を取りまとめるホストDAWとしては動作しませんでした。しかし、2013年のバージョン7でMIDI出力に対応し、他のDAWとの連携も可能となりました。
製品グレードとしては、通常版の『Reason』のほか、廉価版の『Reason Essentials』、バンドル専用版の『Reason Limited』があります。
バーチャルラック
「バーチャルラック」システムは、Reasonの中核をなす機能です。ユーザーは、シンセサイザー、エフェクター、ミキサーなどのデバイスをラックに自由に配置し、ケーブルで接続することで、サウンドを構築していきます。デバイスのツマミを操作したり、ケーブルを接続したりといった操作は、まるで実際のアナログシンセサイザーを操作しているかのようです。このシステムにより、モジュラーシンセサイザーのような、自由で柔軟な音作りが可能になります。
また、「ライブサンプリング」機能により、マイクなどから直接音をサンプリングし、サンプラーにロードすることができます。この機能は、録音ボタンを押して離すだけで録音が完了し、無音部分も自動的にカットされるため、素早くサンプリングを行うことができます。
Rack Extension（RE）規格により、純正、サードパーティー製問わず、様々なラックデバイスを追加できます。これにより、Reasonの機能はさらに拡張され、多様なサウンドメイクが可能となります。
ミキサー・マスタリング機能
ミキサーは、SSL 9000 Kをモデルにしており、EQやダイナミクスセクション、マスターバスコンプレッサーなど、アナログミキサーのサウンド特性を再現しています。ラックデバイスには、マスタリングスイートのMClassシリーズ（イコライザー、ステレオイメージャー、コンプレッサー、マキシマイザー）も内蔵されており、ミキサーのインサートとしても使用できます。
シーケンサー
シーケンサーは、ピアノロール式のMIDI編集機能と、ハードディスクレコーディング機能の両方を備えています。ラックデバイスやミキサーのツマミ操作はオートメーションデータとして記録でき、音楽制作における表現の幅を広げます。
MIDIトラックでは、「ReGroove Mixer」機能により、演奏のグルーヴをスライダーで調整できます。この調整は非破壊的なので、元のMIDIデータを変更することなく、様々なグルーヴを試すことができます。
オーディオトラックは、マルチテイク録音やコンピング編集に対応しており、タイムストレッチ機能も内蔵しています。また、スライス編集やREXループ化も可能で、柔軟なオーディオ編集が可能です。
「ブロック」機能を使用すると、短いシーケンスを「ブロック」としてソングに配置し、簡単に編曲できます。ブロックの内容を変更すると、ソング上の分身に反映されるため、楽曲の構成を効率的に変更することができます。また、ブロックは複数のフレーズ候補の比較検討にも活用できます。
いくつかのラックデバイスには、アナログシーケンサーが搭載されており、ハードウェア感覚でパターンを打ち込んだり、CV/ゲート信号を利用したりすることができます。
ライブラリー
Reasonは、「ReFill（リフィル）」と呼ばれるライブラリ形式を使用します。ReFillは、パッチファイルやサウンドサンプルを格納したファイル形式で、プリセットやオーケストラ音色などの多くのサウンドが提供されています。
ユーザーは、「ReFill Packer」というユーティリティソフトを使用して、オリジナルのReFillを自作することもできます。ReFillは、有償、無償を問わず、多くのものがオンラインで配布されており、ユーザーコミュニティが活発です。
その他、サンプラー音色としてはWAV、AIFF、MP3、AACファイル、REX/REX2ファイル、SoundFontファイルなどを読み込むことができます。
著名ユーザー
Reasonは、世界中の多くのミュージシャン、プロデューサーに愛用されています。ビースティ・ボーイズ、プロディジー、ブラック・アイド・ピーズ ディレクターのプリンツ・ボード、アウル・シティーなどが著名なユーザーとして知られています。日本国内では、ゲームミュージック作曲家の阿保剛が使用していることでも知られています。楽曲としては、安室奈美恵の「WANT ME, WANT ME」や、ストロマエの「Alors on danse」のトラックメイキングにも使用されています。
内蔵ラックデバイス
Reasonには、多種多様なシンセサイザー、エフェクター、ミキサーなどのラックデバイスが内蔵されています。これらのデバイスは、バーチャルラックに自由に配置し、接続することができます。具体的なデバイスの種類については、製品の日本語マニュアルやメニューを参照してください。
各バージョン履歴
Reasonは、1999年の最初のバージョンから、現在まで多くのアップデートを重ねています。
各バージョンで、新デバイスの追加、機能の改善、ユーザーインターフェースの変更などが行われています。近年では、VSTプラグインへの対応や、より高機能なサンプラーの導入など、常に進化を続けています。
詳細なバージョン履歴については、以下の通りです。
1.0（1999年）：初期バージョン。
2.0（2002年）：NN-XT、Malströmの追加。
2.5（2003年）：BV512、Scream 4などの追加。
3.0（2005年）：Combinator、MClassマスタリングスイートの追加。
4.0（2007年）：Thor、RPG-8などの追加。
5.0（2010年）：Kong、Dr. Octo REX、ライブサンプリング機能の追加。
6.0（2011年）：Pulveriser、The Echoなどの追加。
6.5（2012年）：Rack Extension規格の公開。
7.0（2013年）：External MIDI、オーディオスライス機能の追加。
7.1（2014年）：Rack Extension SDK 2に対応。
8.0（2014年）：Softubeアンプシミュレーターの追加。
8.1（2014年）：コラボレーションサービス「Discover」連携機能の追加。
8.2（2015年）：ブラウザナビゲーションの強化。
8.3（2015年）：RV7000 mkIIの追加。
9.0（2016年）：Scale & Chords、Dual Arpeggioなどの追加。
9.5（2017年）：VST対応。
10.0（2017年）：Grain、Europaなどのシンセサイザーを追加。
11.0（2019年）：Reason RackがVST/AUプラグインとして使用可能に。
12.0（2021年）：新しいサンプラー音源Mimicの追加。
13.0（2024年）：5つの新しいデバイスの追加。
外部リンク
Propellerhead公式サイト（英語）
Propellerhead日本語公式サイト
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