STS-29

STS-29：ディスカバリーによるTDRS衛星展開ミッション

STS-29は、アメリカ航空宇宙局（NASA）のスペースシャトルミッションで、ディスカバリーが使用されました。このミッションの主な目的は、地球軌道へのTDRS衛星の投入でした。1986年のチャレンジャー号爆発事故後、3度目のミッションであり、1989年3月13日にフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられました。ディスカバリーにとっては8回目の飛行、スペースシャトル全体では28回目のミッションでした。

乗組員

船長: マイケル・コーツ (2回目の宇宙飛行)
操縦手: ジョン・ブラハ (1回目の宇宙飛行)
ミッションスペシャリスト1: ロバート・スプリンガー (1回目の宇宙飛行)
ミッションスペシャリスト2: ジェームズ・ブフリ (3回目の宇宙飛行)
ミッションスペシャリスト3: ジェームズ・P・バジアン (1回目の宇宙飛行)

ミッションの概要

ディスカバリーは、1989年3月13日午前9時57分（東部標準時）にケネディ宇宙センター第39発射施設から打ち上げられました。当初、2月18日に予定されていた打ち上げは、3つのメインエンジンの液体酸素ターボポンプの故障により延期されました。3月11日に再設定されたものの、打ち上げ前チェックでマスター・イベント・コントローラーの故障が発見され、再び延期されました。3月13日の打ち上げも、地上の霧と上空の強風のため、約2時間遅れました。

ミッションの最も重要なペイロードは、対地同期軌道上に展開するTDRS衛星の3機目でした。この3機目の衛星は、赤道上空約36,000kmに配置され、既存の2機と連携して通信ネットワークを形成しました。2機は130度離れて配置され、3機目は予備としてその間に配置されました。

打ち上げから1日目、シャトルの燃料電池に供給される極低温水素タンクの1つに異常な圧力変動が発生しました。問題調査のためタンクは停止され、乗組員は節電を指示されました。3月15日、飛行3日目にタンクは再起動され、その後は正常に作動しました。

ディスカバリーは、着陸地点の強風を避けるため、計画よりも1周少ない地球周回数で帰還しました。合計80周の飛行を終え、1989年3月18日午前9時35分（東部標準時）にエドワーズ空軍基地第22滑走路に着陸しました。ミッション期間は、4日間と23時間39分でした。

ペイロードと実験

このミッションの主要なペイロードは、TDRS-4衛星とそれに付随する慣性上段ロケットでした。衛星は、打ち上げから約6時間後の午前3時12分（東部標準時）にペイロードベイから放出されました。その後、慣性上段ロケットが点火され、衛星は西経41度の地点に配置されました。

ディスカバリーは、2つのShuttle Student Involvement Program実験を含む、8つの追加ペイロードも搭載しました。Shuttle Student Involvement Programの1つでは、小さな骨片を取り除いた4匹のラットを用い、宇宙環境が骨の治癒に与える影響を調べました。もう1つでは、32個の鶏卵を用い、宇宙環境が鶏の胚の孵化に与える影響を調べました。

ペイロードベイで行われた実験の1つは「部分的な成功」と評価されました。将来のフリーダム宇宙ステーションの冷却システムとして計画されていたSpace Station Heat Pipe Advanced Radiator Elementは、30分未満の連続運転に成功しました。ただし、装置の設計、特に接続部分に問題があり、完全な成功には至りませんでした。

その他の実験は全て成功しました。Protein Crystal Growth実験では、すべてのタンパク質から結晶が得られました。生物科学実験のChromosomes and Plant Cell Division in Space (CHROMEX)は、根の発達における微小重力の影響を示すために行われました。また、IMAX映画「Blue Planet」の撮影も行われ、洪水、ハリケーン、山火事、火山の噴火などの映像を70mmのIMAXカメラで記録しました。さらに、ハワイにあるアメリカ空軍マウイ光学観測所で、オービタを標的として使用した校正実験も実施されました。

Wake-up calls

NASAは、ジェミニ計画の頃から宇宙飛行士のために音楽を使い始めました。アポロ15号から、起床時に音楽が用いられるようになりました。選曲は、多くの場合、宇宙飛行士の家族が特別に選び、乗組員にとって特別な意味を持つものや、日々の活動に適したものが選ばれました。

ギャラリー

(画像は省略)

出典

NASA mission summary - ウェイバックマシン（2000年8月17日アーカイブ）
* STS-29 Video Highlights - ウェイバックマシン（2007年10月13日アーカイブ）

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