STS-41-C

STS-41-C：スペースシャトル、チャレンジャー5度目のミッション

STS-41-Cは、NASAのスペースシャトル計画における11回目のミッションであり、チャレンジャーにとっては5回目の飛行でした。1984年4月6日に打ち上げられ、スペースシャトルとして初めて直接上昇軌道に投入された画期的なミッションです。当初はSTS-13として計画されていましたが、ソーラーマックスの捕獲作業に予想以上の時間を要したため、予定より1日延長され、4月13日にエドワーズ空軍基地に着陸しました。

ミッション概要

このミッションの主要な目的は2つありました。一つは、回収可能な長期曝露実験施設（Long Duration Exposure Facility: LDEF）の展開です。LDEFは、質量9,700kg、長さ4.3m、直径9.1mの巨大な構造物で、側面に12個のシリンダーを備え、57もの科学実験を行うことができました。もう一つは、1980年に打ち上げられ、故障していたソーラーマックス（Solar Maximum Mission: SMM）衛星の捕獲、修理、そして再投入です。

乗組員

ロバート・クリッペン（機長）：3度目の飛行
ディック・スコビー（パイロット）：初の飛行
ジョージ・ネルソン（ミッションスペシャリスト）：初の飛行
ジェームズ・ファン・ホーフェン（ミッションスペシャリスト）：初の飛行
* テリー・ハート（ミッションスペシャリスト）：初の飛行

機長のロバート・クリッペン以外は、全員が宇宙飛行初経験者でした。

ミッションの詳細

打ち上げ当日、ミッションコントロールセンターのメインコンピュータが故障するというトラブルが発生しましたが、バックアップシステムに切り替えることで対応しました。打ち上げから2日後、シャトル・リモート・マニピュレータ・システム（SRMS）を用いて、LDEFの軌道投入に成功しました。LDEFに搭載された57の実験は、8か国から集まった200人以上の研究者によって実施される予定でした。

3日目には、チャレンジャーは高度約560kmまで上昇し、ソーラーマックスに接近しました。ジョージ・ネルソンとジェームズ・ファン・ホーフェンは、船外活動用推進装置（MMU）を装着して船外活動を行い、Trunnion Pin Acquisition Device（TPAD）と呼ばれる装置で衛星を捕獲しようと試みましたが、3度の試みは失敗に終わりました。ネルソンが手で掴もうとした際、ソーラーマックスは多軸方向に回転を始め、捕獲は困難を極めました。クリッペン機長は、2人をシャトルに留めるために慎重な操縦を余儀なくされ、燃料が枯渇寸前になるという事態も発生しました。

夜間、ゴダード宇宙飛行センターからの指令により、ソーラーマックスの磁気トルクを制御し、回転を安定化させることに成功しました。翌日、クリッペンは再びチャレンジャーをソーラーマックスに接近させ、テリー・ハートがSRMSを用いてソーラーマックスを捕獲することに成功しました。ソーラーマックスはペイロードベイに格納され、高度制御システムとコロナグラフ観測システムの電子回路の修理が行われました。2度の船外活動を経て修理は完了し、ソーラーマックスは翌日、軌道に再投入されました。ゴダード宇宙飛行センターによる30日間の監視後、ソーラーマックスは運用を再開しました。

その他の活動

教育目的の実験として、ミツバチが微小重力環境下でハニカム構造を作れるかどうかを検証する実験も行われました。結果として、ミツバチは地球上と同様にハニカム構造を形成することに成功しました。

ミッションの記録

LDEFの展開やソーラーマックスの修理といったミッションのハイライトは、IMAXカメラで撮影され、映画「The Dream is Alive」に使用されました。

6日間と23時間40分7秒のミッションを終え、チャレンジャーは1984年4月13日にエドワーズ空軍基地に着陸し、1984年4月18日にケネディ宇宙センターへ帰還しました。

起床コール

NASAはジェミニ計画の頃から、宇宙飛行士のために音楽を流していました。アポロ15号からは、乗組員の起床時に音楽を使用するようになり、それぞれの曲は、宇宙飛行士の家族などが、乗組員にとって特別な意味を持つものや、その日の活動に適した曲を選んでいました。

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