Sailfish OS

Sailfish OS (セイルフィッシュオーエス) について

Sailfish OSは、[フィンランド]]のヨーラ社が開発している Linuxベースのオペレーティングシステム]です。オープンソースプロジェクトであるMerを基盤としていますが、独自のユーザーインターフェース(UI)は[[クローズドソースで提供されています。

このOSは、2013年にヨーラ社製のスマートフォンで初めて搭載され、その後、タブレットやライセンス契約を結んだ他社製品にも展開されました。熱心なコミュニティによって、スマートフォンやタブレットといった様々なモバイル端末への移植も進められています。日本では、ソニーモバイルコミュニケーションズのXperia端末で利用可能です。

開発の経緯

Sailfish OSは、ノキアとインテルが共同で開発していたLinuxベースのOSであるMeeGoの後継として誕生しました。中核となるMerには、MeeGoのコードが約80%引き継がれています。ヨーラ社は、このMerを基盤に独自のUIやアプリケーションを開発し、Sailfish OSを完成させました。開発体制は、MeeGoプロジェクトの失敗を繰り返さないように、実力主義に基づいたものとなっています。

開発状況

Sailfish OSの開発は、ヨーラ社を中心に進められており、2011年に設立された企業提携グループ「Sailfish Alliance」によってサポートされています。このアライアンスは、OEM/ODMメーカー、チップセット供給業者、通信事業者、アプリ開発会社、小売業者など、多岐にわたる企業で構成されています。

2012年8月には、UIの公開準備が整ったことが発表され、同年11月にはヘルシンキで開催されたイベント「Slush」で、OSのデモとUI、SDKが初めて公開されました。SDKのα版は2013年2月末に公開され、無償でダウンロードできるようになりました。

2013年9月には、Androidアプリケーションとの互換性を持たせたことが発表され、同年11月には最初の搭載端末が発売されました。2015年9月には、Sailfish OS 2.0のUI要素が盛り込まれたバージョンがリリースされました。その後も、コミュニティ向けの端末プログラムが提供されたり、Sailfish 3が発表され、Xperia端末への対応が進むなど、継続的に開発が進められています。

ソフトウェアアーキテクチャ

Sailfish OSは、Linux カーネルとMerをベースにしており、Wayland上に構築された「Lipstick」と呼ばれるマルチタスク対応のグラフィカルシェルを備えています。描画デバイスドライバには、オープンソースのものが使用されていますが、必要に応じてAndroid向けのドライバも使用可能です。ヨーラ社は、最終的にSailfish OSをオープンソース化することを目標としています。

Sailfish OSは、独自の互換性レイヤーを通じてAndroidアプリケーションを実行できます。

ソフトウェア概要

UIの対応言語

公式には、デンマーク語、ドイツ語、英語、スペイン語、フランス語、イタリア語、ノルウェー語、ポーランド語、ポルトガル語、フィンランド語、スウェーデン語、ロシア語、中国語、香港語の14言語に対応しています。さらに、有志コミュニティによって日本語など20以上の言語が非公式にサポートされています。Linuxアーキテクチャのため、ユーザー自身で追加言語をインストールすることも可能です。

バージョン履歴

Sailfish 1.0は、フィンランドの湖にちなんで命名
Sailfish 2.0は、フィンランドの川にちなんで命名
Sailfish 3.0および4.0は、フィンランドの国立公園にちなんで命名
Sailfish 4.1以降は、フィンランドのユネスコ世界遺産にちなんで命名

古いバージョンから更新する際には、いくつかの必須バージョン（Stop release）を経由する必要があり、これらを飛ばすとインストールが不安定になる可能性があります。

Sailfish OS上で実行するAndroid

Sailfish OSでは、独自の互換性レイヤーであるAlien Dalvikを利用して、Androidアプリケーションを実行できます。AndroidのAPIを実装することで、エミュレータを使用せず、本来の速度で動作させることが可能です。ユーザーは、Sailfish OSのネイティブアプリとAndroidアプリを同時に実行することもできます。

Alien Dalvik 8.1以降は、LXCを活用してセキュリティが強化されています。

ハードウェア概要

Sailfish OSは、Linux カーネルとMerコアをベースにしたミドルウェアを搭載したハードウェアで使用できます。コミュニティによって多くの端末に移植されており、開発にはVirtualBox実装が利用可能です。

ヨーラ社製端末

ヨーラC（携帯電話）
ヨーラタブレット
ヨーラフォン（スマートフォン）

ライセンス供与の他社製端末

Xperia 10 III
Xperia 10 II
Xperia 10 Plus
Xperia 10
Planet Computers Gemini PDA
Sony Xperia XA2 Plus
Sony Xperia XA2 Ultra
Xperia XA2
Xperia X

コミュニティによる他社製端末への移植

Sailfish OSは、移植の容易さから様々な端末へ非公式に移植されています。移植者向けには、ハードウェア適応開発キットが公開されています。ただし、ライセンスの関係でAndroid互換性レイヤーなどは含まれていません。

2019年3月時点で、19の移植版が運用されており、Sailfish 3に更新されています。

Sailfish アライアンス

Sailfish アライアンスは、ヨーラ社がMeeGoの収益協調体制を支援するために設立した企業提携です。Sailfish OSを活用した新しい製品、サービス、ビジネスチャンスの創出を目指しています。

このアライアンスは、Androidのオープン・ハンドセット・アライアンスの競合と見なされており、中国やインドのメーカーがAndroidの代替品を求めているという背景があります。

脚注

(注釈や出典は省略)

外部リンク

ヨーラ公式サイト（英語）
* SailfishOSwiki - Sailfish OSの文書を取り揃えているウェブサイト

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