T9

T9（Text on 9 keys）とは

T9（ティーナイン）は、アメリカのテジック・コミュニケーションズ（現ニュアンス・コミュニケーションズ）が開発した、シングルタップによる予測変換を用いた文字入力方式です。特に、キーの数が限られたPDAや携帯電話などのデバイスで、効率的な文字入力を実現するために開発されました。

T9の仕組み

T9の最大の特徴は、各キーに割り当てられた文字を1回ずつ入力するだけで、その後に続く文字を含む単語を予測し、候補として表示する点です。例えば、日本語で「こんにちは」と入力したい場合、一般的な携帯電話のキー配置に従って「20546」と入力すると、T9は「こんにちは」を候補として提示します。

複数の単語が予測できる場合は、複数の候補が表示されます。例えば、「かあかあ」と入力した場合、「公開」「後悔」「航海」「公海」などの候補が表示されます。

T9のメリット・デメリット

メリット

少ないキーストローク数: トグル入力と比較して、少ないキーストロークで文字入力が可能です。
効率的な文字入力: キーの数が限られたデバイスでも、効率的に文字を入力できます。

デメリット

習得の困難さ: 日本語の場合、T9の操作に慣れるまでに時間がかかる場合があります。
入力ミスのリスク: 注意深く使用しないと、意図しない単語が入力されてしまう可能性があります。

日本語への対応

日本語へのT9入力は、デンソー製の端末J-DN31に初めて搭載されました。オリジナルのT9では、読み方のみが変換されるため、別途漢字変換を行う必要があります。例えば、「かあかあ」と入力して「こうかい」を選択した場合、「公開」「後悔」「航海」「公海」などから適切な漢字を選択する必要があります。

NECカシオモバイルコミュニケーションズ（現NEC）製のNTTドコモやソフトバンクモバイル向けの携帯電話（スマートフォンを含む）にも搭載されています。au（KDDI・沖縄セルラー電話連合）向けの機種でも、G'zOne IS11CAやMEDIAS BR IS11NなどでT9入力が可能です。以前は、パナソニック製のFOMA端末にも採用されていました。

NECが日本語向けに改良したT9ダイレクトでは、入力時に漢字変換された候補が表示されます。ただし、同音異義語については、従来どおり変換操作が必要です。T9ダイレクトは、NEC製のNTTドコモ向け携帯電話mova N506i、FOMA N900iS以降の機種に搭載されていました。NECが開発した日本語入力システムMogic Engineが搭載されるようになってからは、「T9ダイレクト」という表現は使われなくなりましたが、操作自体は変更されていません。

関連技術

スマートフォン
トグル入力
2タッチ入力
かな入力
ローマ字入力
フリック入力

外部リンク

T9 TextInput - Nuance日本法人サイト
1文字1押しT9

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