TOI-2257 b

TOI-2257 b

概要

TOI-2257 bは、地球から見てきりん座の方向へ約188.5光年（およそ57.8パーセク）離れた位置に存在する恒星TOI-2257の周囲を回る太陽系外惑星です。この惑星は「ミニ・ネプチューン」と呼ばれるタイプに分類され、UCAC4 839-012174 bやTIC 198485881 b、2MASS J12585767+7739416 bといった別称でも知られています。

発見までの経緯

TOI-2257 bの存在は、まずNASAのトランジット系外惑星探索衛星（TESS）による観測データから惑星候補として見出されました。2020年9月23日、「TOI-2257.01」という識別名でTESSの注目天体リストに追加されたのが始まりです。当初のデータからは、公転周期として175.9日、または35.2日、44日、58.6日、88日のいずれかである可能性が考えられていました。その後、チリにあるSPECULOOS望遠鏡を含む複数の地上望遠鏡を用いた追跡観測が行われ、その結果、惑星の存在が確実に確認されました。この発見に関する研究論文は、天文学分野のプレプリントサーバーであるarXivに2021年11月2日に公開されました。

特性

TOI-2257 bは、地球の約2.2倍の質量を持つと推定されるミニ・ネプチューン型の惑星です。この惑星は主星TOI-2257の周りを約35.19日の周期で公転しています。

特筆すべきは、その軌道の形状です。TOI-2257 bが主星の手前を通過（トランジット）する際に観測される時間の長さから、その軌道が非常に高い離心率を持っていることが示唆されました。具体的には、その離心率は約0.496と計算されています。これは、M型赤色矮星の周囲を公転する既知の惑星の中では、最も高い離心率を持つ事例の一つです。このような歪んだ軌道は、もしTOI-2257 bの外側にさらに巨大な惑星が存在する場合、その重力的な影響によって引き起こされた可能性も考えられています。

居住可能性

TOI-2257 bは、主星のハビタブルゾーン（生命が誕生・維持される可能性がある、液体の水が表面に存在しうる領域）内を公転しています。この点だけを見れば、生命存在の可能性が期待されるかもしれません。

しかし、TOI-2257 b自体は高い大気圧を持つガス状のミニ・ネプチューンと考えられており、その表面（もし存在すれば）や環境は地球型惑星とは大きく異なります。さらに、その非常に高い離心率のせいで、主星に最も近づいた時の温度は摂氏100度近くにまで上昇する一方、最も遠ざかった時の温度は摂氏マイナス80度程度にまで低下するなど、軌道上の位置によって温度が劇的に変化します。このような極端な温度変動は、液体の水が存在し続ることを困難にし、結果として居住可能性は低いと見られています。

仮に、TOI-2257 bが十分な質量を持つ大型の岩石質の衛星を従えている場合、その衛星が居住可能であるというシナリオも理論的には考えられます。しかし、そのような大型衛星が存在する可能性は低いと推測されています。TOI-2257 bの地球類似性指標（ESI）は0.72ですが、これはあくまで全体的な類似性を示すものであり、上記の厳しい環境を考慮すると、実際の居住可能性は低いと判断されています。

特異性

TOI-2257 bは、比較的長い公転周期（約35日）を持ちながら、同時に非常に高い軌道離心率を持つという点で、既知のミニ・ネプチューンの中でも珍しい存在です。また、ハビタブルゾーン内を公転し、液体の水が存在する可能性が示唆されるミニ・ネプチューンとしても、数少ない例の一つです。

発見当時、M型の恒星の周囲を公転するトランジットを起こす惑星で、TOI-2257 b（公転周期約35.19日）よりも公転周期が長かったのは、ケプラー1652b（約38日）とTOI-700 d（約37日）のわずか2つのみでした。このことからも、TOI-2257 bがM型星系における比較的長周期の惑星として、初期の発見例の一つであったことが分かります。そのユニークな軌道特性とハビタブルゾーン内の位置から、TOI-2257 bは系外惑星研究において興味深い研究対象となっています。

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