TRAPPIST-1f

TRAPPIST-1f

TRAPPIST-1fは、地球から約39.4光年離れたみずがめ座の方向にある、赤色矮星TRAPPIST-1の周りを公転する太陽系外惑星です。この惑星は、主星のハビタブルゾーン内に位置すると考えられており、生命の存在可能性を探る上で重要な観測対象です。

その発見は、2016年9月にNASAのスピッツァー宇宙望遠鏡が行ったTRAPPIST-1観測データ解析によるものです。この観測以前に、TRAPPIST-1系には既にb、c、dの3惑星が知られていましたが、初期データでは惑星dの軌道要素が不確定でした。その後の詳細な解析と追加観測により、未確定だった信号が、TRAPPIST-1dだけでなく、新たに確認されたTRAPPIST-1e、TRAPPIST-1f、TRAPPIST-1gという、合計4つの惑星のトランジットによるものであることが判明しました。こうして、TRAPPIST-1fはTRAPPIST-1系の7つの惑星の一つとして確認されたのです。

TRAPPIST-1fの物理的な特徴として、半径が地球の約1.045倍とほぼ同じサイズである点です。質量は、詳細な分析で地球の約0.36倍と推定されています。サイズと質量から計算される密度は、TRAPPIST-1fが地球のような岩石質の惑星であることを強く示唆し、表面重力は地球の約0.62倍と考えられています。

この惑星は主星TRAPPIST-1から非常に近い軌道を公転しており、距離は約0.0371天文単位（約550万キロメートル）です。これは太陽と水星間の距離の約10分の1ですが、主星TRAPPIST-1が小さく低温な「超低温矮星」であるため、惑星が受けるエネルギーは液体の水が存在しうる範囲内にある可能性があります。公転周期は約9地球日です。この系内の惑星は複雑な軌道共鳴関係にあり、TRAPPIST-1fはe惑星と3:2、g惑星と4:3の周期比を持ちます。

TRAPPIST-1fが注目される主な理由は、主星のハビタブルゾーン内に位置すると推定されているためです。ハビタブルゾーンとは、惑星表面に液体の水が安定して存在しうる温度範囲です。TRAPPIST-1fの推定平衡温度は219ケルビン（約-54℃）であり、水の融点より低いため、水が存在しても表面は氷に覆われている可能性が高いと推測されます。しかし、主星に近いため、TRAPPIST-1fは自転と公転が同期する潮汐固定の状態にある可能性が高いと考えられています。潮汐固定された場合、主星に照らされる昼側では温度が上昇し、氷が融けて液体の水や海が存在する可能性も理論上あります。液体の水は生命の可能性を示唆しますが、潮汐固定による昼夜の温度差は、強い大気循環など、地球とは大きく異なる環境をもたらす可能性も同時に指摘されています。地球類似性指標（ESI）は0.68であり、地球とは異なる環境であることを示唆します。TRAPPIST-1fの実際の環境や居住可能性については、今後の詳細な観測や研究によるさらなる解明が期待されます。

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