TSF (ジャンル)

TSF（トランスセクシュアル・フィクション）とは

TSFは、異性への性転換を扱うフィクションのジャンルを指す略称です。英語では「transgender fiction」または「TG」という用語が用いられますが、日本では「transsexual fiction」または「transsexual fantasy」という言葉が用いられ、その頭文字からTSまたはTSFと略されます。ただし、現時点では確定した日本語の呼称は存在しません。

概要

TSF作品は、現実世界の性別適合手術を題材としたものから、肉体的な変身譚まで、幅広い表現を含みます。異性になることによる服装、言葉遣い、心境の変化を通じて、社会における性差を浮き彫りにする効果を持つことが特徴です。その歴史は古く、古代ローマの『変身物語』には、女性から男性に変わったイピスやカイネウスの伝説、男神ユーピテルが女神ディアーナに変身してニュンペーであるカリストーと同性愛的に睦み合う伝説などが存在します。

現代においても、小説、漫画、映画、ゲームなど、さまざまなメディアで広く用いられるモチーフとなっています。特にアダルト系のフィクション（アダルトゲーム、成人向け漫画・小説等）において多く見られます。

手法による分類

フィクションにおける性転換の手法は多岐にわたります。以下に、代表的なものをリアルな表現からファンタジー色の強いものまで分類します。

変身
薬品、食品: 『お兄ちゃんはおしまい!』、『世界の果てで愛ましょう』など、薬や食品の効果で性転換する。
魔法、呪い: 『らんま1/2|らんま1_2』、『にょたいかっ。』など、魔法や呪いによって性転換する。
現代科学を越えた機械・装置: 『ガチャガチャ』、『俺、ツインテールになります。』など、科学技術を応用した装置で性転換する。
入れ替わり: 男女の精神が入れ替わる。『転校生』、『君の名は。』などが該当します。
憑依: 精神が異性の体に憑依する。『あかねちゃんOVER DRIVE』、『鉄腕バーディー』などが該当します。
転生: 異性の体に生まれ変わる。『異世界美少女受肉おじさんと』、『転生したらオレがヒロインであいつが勇者だった』などが該当します。
体質・遺伝: 遺伝などの生得的な体質で異性化する。『ふたば君チェンジ♡』、『MAZE☆爆熱時空』などが該当します。
病気: 男性（女性）の肉体を女性化（男性化）する伝染病やウイルス、細菌。『オレが私になるまで』、『カレとカノジョの選択』などが該当します。
手術: 体の改造手術によって性転換する。『境界のないセカイ』、『バランスポリシー』などが該当します。
脳の移植: 脳を異性の体に移植する。『ボクの初体験』、『Mr.Clice』などが該当します。
仮性半陰陽: 性器の外見から男性として育てられたが、第二次性徴で女性と判明する、またはその逆のパターン。『革命の日』、『問題ないね!?ヒデユキくん』などが該当します。

TSFと似た作品のジャンル

以下のジャンルはTSFと混同されたり、似た嗜好性を持つと捉えられることもありますが、それぞれ異なるジャンルとして確立されています。

トランスジェンダー、性同一性障害: 『ボーイズ・ラン・ザ・ライオット』、『放浪息子』、『銀色のジェンダーズ』など、性自認と身体の性が一致しない苦悩や葛藤を描く。
中性、Xジェンダー: 『IS〜男でも女でもない性〜』、『放課後保健室』、『性別が、ない!』など、男性・女性という二分された性別に当てはまらない人物を描く。
男装・女装: 肉体の変化を伴わない外見上のみの異性装。女装ものや男の娘にはTSFと一部重なる部分もあるが、TSFほどファン層は限定されない。
部分変身や部分交換: 体の一部だけが変化したり入れ替わったりするもの。フェチ的な要素が強い。
ふたなり: 一人の人間に男性器と女性器の両方が備わる。性器の描写が必須になるため、18禁系の作品が多い。
去勢: SM系の作品に多く、去勢される過程が詳細に描写されることが多い。
皮モノ: 着ぐるみのように「皮」を被って異性（主に女性）に変身するプロット。ファンタジー要素が強い。
OD: 女性同士の入れ替わりや憑依などを指す。
* 精神男性化: 女性が洗脳や催眠などによって自分の事を男だと思い込むシチュエーション。どんでん返しとして用いられることが多い。



TSFは多様な表現方法を持つ、奥深いジャンルです。

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