UボートVII型

UボートVII型：ドイツ海軍の主力潜水艦

UボートVII型（U-Boot Typ VII）は、第二次世界大戦中にドイツ海軍（Kriegsmarine）が運用した潜水艦であり、大西洋の戦いにおいてその主力として活躍しました。

概要

1935年の英独海軍協定により、ドイツの潜水艦保有トン数はイギリス海軍の45%に制限されました。この制限下で、ドイツは大量の潜水艦を建造するために、排水量500tの小型航洋型潜水艦を計画しました。これがVII型Uボートです。

設計にあたっては、第一次世界大戦時のUC III型潜水艦を基本とし、海軍技術会社（IvS）がフィンランド向けに設計したヴェテヒネン級潜水艦を改良したものが採用されました。完成したVII型は、600～700tと当初の計画よりも大型化しましたが、当時の他国の航洋型潜水艦と比較すると小型でした。船体は単殻式で、両舷に取り付けられたバラストタンクが特徴です。

VII型は、その優れた性能から艦隊からの評価も高く、改良を重ねながら約700隻が建造されました。VII型は、まさにドイツ海軍の潜水艦戦力の中核を担ったのです。

バリエーション

VII型には、いくつかのバリエーションが存在します。

VIIA型

VIIA型は最初の量産型であり、小型のII型と比較して強力な存在でした。艦尾魚雷発射管が艦外に装備されている点が外見上の特徴です。1936年に10隻が建造・配備され、25秒という優れた急速潜航能力と、水中での良好な舵の反応による高い水中安定性が評価されました。1941年以降は全艦が練習艦として使用されました。

VIIB型

VIIB型は、VIIA型の船体を2m延長し、燃料搭載量を増加させた型です。これにより、航続距離が2,500海里延長されました。エンジンも新型に変更され、出力が700馬力増加しています。また、VIIA型では艦外にあった艦尾発射管が艦内に移設され、潜航中の再装填が可能になりました。1938年から1940年にかけて24隻が建造されました。

VIIC型

VIIC型は、VII型の主力となった量産型です。燃料搭載量がわずかに増加し、搭載魚雷数が12本から14本に増加した点を除けば、VIIB型とほぼ同じです。ブロック建造方式の導入と使用部品の共通化により、大量建造が可能になりました。1940年から1944年にかけて655隻が建造され、そのうち626隻が竣工しました。

U-Flak

対空戦闘を重視し、機銃を増設した艦です。航空機による被害が増大したことから、通常型のUボートに付き添って護衛（対空戦闘）を行うことを目的に、VIIC型のU-256、U-441、U-621、U-953が改造されました。甲板の8.8cm平射砲を撤去し、艦橋前部に一段、後部に二段の張り出しを設け、前後に2cm4連装対空機銃を一基ずつ、後部の一段下がった場所に3.7cm単装対空機関砲を一基装備しました。

VIIC/41型

VIIC/41型は、1941年度計画で計画された艦で、船殻に使用する鋼材の厚さをそれまでの18.5mmから21mmに変更し、最大安全潜航深度を100mから120mとした型です。1943年から1945年にかけて183隻が計画・建造され、74隻が竣工しました。

VIID型

VIID型は、VIIC型をベースとした機雷敷設潜水艦です。機雷敷設用の機雷筒5本を設置するために司令塔後方に10.4mのブロックを挿入しています。これにより燃料搭載量も増加し、11,200海里という長大な航続力を持つ艦となりました。

VIIF型

VIIF型は、VIIC型をベースとした魚雷補給用潜水艦です。司令塔後方に11.1mのブロックを挿入し、ここに補給用魚雷21本を搭載しました。1944年以降は洋上での補給が難しくなったこともあって、14,700海里という長大な航続距離と魚雷搭載用のスペースを生かして貨物輸送に用いられました。

主な戦歴

VII型は、1936年から45年にかけて各型合計で約700隻近くが建造され、ドイツ海軍潜水艦隊の中核として、大西洋の戦いの主力として活躍しました。数々の有名な艦が存在し、挙げればきりがありません。

性能諸元 (VIIC型)

水上排水量：769t
水中排水量：871t
全長：66.5m
全幅：6.2m
吃水：4.7m
全高：9.6m
最高速度：水上17kt、水中7.6kt
出力:水上2,800hp（2,400 kW）、水中：750hp（560 kW）
水上航続距離：10ktで8,500海里（約15750km）
水中航続距離：4ktで80海里／2ktで240海里
燃料搭載量：重油113.5t
最大安全潜航深度：100m
兵装：53cm魚雷発射管×5（艦首4、艦尾1　搭載魚雷14本）、 45口径88 mm単装砲×1、37mm単装機関砲×1、20mm単装機銃×2
乗組員数：44名（うち4名は士官）

VII型は、第二次世界大戦におけるドイツ海軍の潜水艦戦を支えた重要な存在であり、その活躍は今日でも多くの人々に語り継がれています。

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