Ubuntu Unity

Ubuntu Unityとは

Ubuntu Unityは、Ubuntuをベースとしながらも、GNOME Shellの代わりにUnityインターフェースを採用したLinuxディストリビューションです。2020年5月7日に最初のバージョン20.04 LTSがリリースされました。それ以前は、UnubuntuやUbuntu Unity Remixといった仮称で呼ばれていました。

歴史

Unityインターフェースは、もともとCanonical社によって開発され、2011年4月にリリースされたUbuntu 11.04で初めてデフォルトのインターフェースとして導入されました。GNOME Shellの代替として開発され、GNOME 2のインターフェースはUnityに置き換えられました。当時、Canonicalはデスクトップ、携帯電話、タブレットのインターフェースをUnity 8に統合する計画を持っていましたが、Unity 8はUbuntuがGNOME 3に移行した2017年に中止され、Unityの開発はバージョン7で終了しました。2017年4月にリリースされたUbuntu 17.04ではGNOME 3デスクトップが導入されましたが、多くのユーザーや開発者には受け入れられませんでした。

UBportsがUnity 8の携帯電話インターフェースとしての価値を認め、開発を引き継ぎ、2020年2月にUnityをLomiriと改名したことで、いくつかのフォークが提案されました。2019年にはCanonicalがUnity 7 Ubuntu Remixの商標使用を承認しました。

Ubuntu Unityは、インドのベンガルール在住のLinux Foundation認定開発者であり、UbuntuチームメンバーでもあるRudra B. Saraswat氏によって立ち上げられました。彼は、ユーザーからのフィードバックに基づいて、Ubuntuバックエンドと最小限の変更を加えた、Unity 7インターフェースを使用することにしました。彼は、GNOMEファイルマネージャーの代わりにNemoを搭載し、XディスプレイマネージャーとしてLightDMの代わりにGNOMEディスプレイマネージャーを採用しました。

Saraswat氏は以前にも、サーバーに焦点を当てたKrob Linuxなど、他のLinuxディストリビューションを作成していました。Ubuntu Unityを始めた動機について、Saraswat氏は「私が8歳の頃、Ubuntu 17.04を使っていて、Unity 7が本当に好きでした。だからCanonicalがUnity 7を中断したとき、不満だったので復活させたいと思いました。Unity 7に新しい命を吹き込むために、このプロジェクトを作成しました」と語っています。2020年にUbuntu Unityを初めてリリースしたとき、彼は10歳でした。彼は当時、いずれこのディストリビューションを公式なUbuntuの「フレーバー」として認めてもらいたいという意向を示していました。Ubuntu Unityは、22.10のリリースから正式なフレーバーとして承認されました。

リリース

Ubuntu Unity 20.04 LTS

Ubuntu Unityの最初のリリースであり、最初の長期サポート（LTS）バージョンです。Ubuntu 20.04 LTSのリリースから2週間後の2020年5月7日にリリースされました。デフォルトのテーマはPapirusアイコンを搭載したYaruですが、Adwaita、Ambiance、Radiance、High Contrastテーマも利用可能です。

この最初のリリースは、多くの技術系メディアの注目を集めました。フォーブスのレビューでは、Jason Evangelho氏が「古き良きUnityとCompizの日々を懐かしんでいるなら、素晴らしいニュースがある。Ubuntu Unity Remix 20.04という新しいLinuxディストリビューションが舞台裏で脚光を浴びている」と述べています。TechRepublicのJack Wallen氏は、「Unityの復活は、デスクトップインターフェースがラップトップに適していない世界からの脱出となる。UbuntuのGNOMEへの切り替えを支持した人も恐れる必要はない。UbuntuはGNOMEに固執しているが、UnityはUbuntu Unityデスクトップディストリビューションなどの復活によって、かつて死んだお気に入りの新鮮な解釈が生まれた」と述べています。Marius Nestor氏は9to5Linuxのレビューで、「Ubuntu Unity Remix 20.04を試してみたら、懐かしい思い出が蘇った。それは素晴らしい体験であり、魔法のような効果だった」と述べています。Linux++のEric Londo氏は、このリリースをレビューし、「これは私が知っていて好きだった昔のUnityだが、なぜか新鮮に感じた。キーバインドの筋肉の記憶を取り戻そうとしたとき、Unityエクスペリエンスはスムーズで優雅で楽しいものだった。テストの間、有害な問題や迷惑な問題に遭遇することはなかった。ダッシュからファイルマネージャー、テーマまで、すべてが以前と同じようにスムーズだった。Ubuntu Unityを蘇らせたRudra Saraswat氏に賛辞を送る」と述べています。Full CircleのAdam Hunt氏は、「このリリースを『画期的』や『ゲームチェンジャー』と呼ぶことはできないが、Unity 7の後がGNOMEシェルではなかった場合に、今日の主流のUbuntuがどのような位置にいるかを示している」と述べています。

最初のポイントリリースは、他のUbuntuフレーバーと同じ2020年8月6日に発表され、いくつかの小さな問題の修正が含まれました。

Make Tech EasierのJohn Perkins氏は、2020年10月19日のレビューで、Ubuntu Unity 20.04のCPUアイドル率とRAM使用量の高さを批判し、「Unityには特別なところはない。検索機能を除けば、Unityの外観は私が戻りたくなるほど特別なものではなかった」と述べています。

Ubuntu Unity 20.10

この標準リリースは、2020年10月22日に発表されました。Linux カーネルのバージョン5.8が組み込まれており、BIOSとUEFIの両方のブートにGNU GRUBが使用されます。多数のプラグインとエフェクトを搭載したCompiz設定マネージャーなど、ユーザーインターフェースの問題に対する多くの修正と更新が追加されています。また、デフォルトのテーマとしてArc-darker、新しい壁紙、新しいYaru-Purpleテーマとアイコンテーマも導入されました。Marius Nestor氏は、9to5 Linuxの最初のアルファ版のレビューで、「試してみたところ、すべてがバージョン20.04よりもはるかに高速に動作したことに驚いた」と述べています。Debug PointのArandam Giri氏は、Ubuntu Unityの効率の良さと、ユーザーの生産性をどのように向上させたかを称賛しました。2021年1月のFull Circleのレビューでは、「Ubuntu Unity 20.10は非常に堅牢なリリースであり、最初のリリースで得られた成功と技術系メディアの注目に基づいている。公式な地位を獲得するという目標を持ち、Ubuntu Unityをさらに魅力的にする開発者の献身を示している。CompizConfig設定マネージャー、より多くのウィンドウとアイコンテーマ、幅広い壁紙の選択肢に加え、メール用のThunderbird設定やデフォルトのファイルマネージャーとしてNemoを追加したことは、この開発サイクルがユーザーエクスペリエンスを向上させることに焦点を当てていることを示している。このことは、2022年4月に予定されている次のLTSバージョン22.04 LTSへの道筋に沿ってUbuntu Unityを追跡する価値のあるものにしている。このリリースが何らかの兆候であるならば、私たちは将来良いものに遭遇するだろう」と述べられています。

Ubuntu Unity 21.04

Ubuntu Unity 21.04は標準リリースで、2021年4月22日に発表されました。Linux カーネル5.11を使用し、新しいYaru-Unity7テーマと、新しい透明なランチャーアイコンが含まれています。新しい壁紙と新しい起動用のPlymouthテーマ、いくつかのバグ修正も含まれています。Marius Nestor氏は、9 to 5 Linuxで、「Ubuntu Unity 21.04は、古き良きUnity 7デスクトップ環境のファンに、Hirsute Hippoマスコットをベースにした新しい壁紙だけでなく、透明なランチャーアイコンや新しいPlymouthブートスプラッシュテーマを特徴とした新しいYaru-Unity7ダークテーマを提供するために、大幅に改善されたエクスペリエンスをもたらした。様々なアプリが最新リリースにアップデートされ、GNOMEシステムモニターなどのアップデートされていないアプリも動作を改善するためのバグ修正を受けている。さらに、このリリースでは不足していた音量と明るさの変更に関する通知が追加され、Snapアプリのサポートが改善された」と述べています。Full Circleの2021年8月号のレビューでは、「Ubuntu Unity 21.04は、開発チームからのもう一つの強力なリリースである。開発サイクルの焦点は、効率的なUnity 7インターフェースと優れた多くのアプリケーションを提供しながら、ユーザーにより多くのルックアンドフィールの選択肢を提供することに当てられている。これまでリリースごとに改善が積み重ねられてきたため、その方法はうまく機能していると思われる」と結論付けています。

Ubuntu Unity 21.10

Ubuntu Unity 21.10は標準リリースで、2021年10月14日に発表されました。このリリースでは、Unityユーザーインターフェースのバージョンが7.5.0から7.5.1にアップデートされ、更新されたインジケーターと、GLib 2.0からgsettings-ubuntu-schemasへの移行が組み込まれています。Ubuntu Unity 21.10はUbuntu 21.10に合わせ、Snapを以前のdebバージョンではなくFirefoxウェブブラウザーバージョンを使用しており、新しいPlymouthスプラッシュスクリーンと、デフォルトのIndri壁紙を含む新しいアートワークが導入されました。このプロジェクトには、Muqtadir氏とAllan Carvalho氏による、シンプル化された新しいUbuntu Unityロゴも採用されています。このリリースは、ニーズの拡大とトラフィックの増大によるGitLabへのプロジェクト移行と、新しいウェブサイトデザインの開始を記念したものです。Ubuntu Unity 21.10の開発者は、snapcraft.ioにある既存のCanonical Snapストアから、その代替であるlol Snapストアへの移行をこのプロジェクトから開始する意向を示しました。Full Circleの2022年2月号のレビューでは、「Ubuntu Unity 21.10は期待されたほど強力なリリースではなく、リリース時点で既に存在したのに修正されていない問題点がいくつかあった。Unity Tweak Toolがデフォルトでインストールされていないどころか、インストールして起動することもできないということは、提供されたテーマに正しくアクセスできないことを意味する。このような未解決のバグを含む『標準』リリースを発表しても構わないと思うが、開発者はリリース声明で問題点を明確に説明し、それがいつ修正される予定なのかを示す必要がある」と述べています。

Ubuntu Unity 22.04 LTS

Ubuntu Unityの5代目であり、2025年4月まで3年間サポートされる長期サポートリリースは、2022年4月21日に行われました。このリリースでの変更点としては、デフォルトでFlatpakとFlathubリポジトリが追加されたこと、BIOS用とUEFI用で異なっていたインストールファイルが、1つのISOファイルに統合されたことが挙げられます。多くのアプリケーションに変更が加えられ、GNOMEアプリケーションの大部分がMATEのアプリケーションに置き換えられました。Atril EvinceがPDFビューワーに、geditがPlumaに、Eye of GNOMEがEye of MATEイメージビューワーに、GNOMEシステムモニターがMATEシステムモニターに、GNOMEビデオがVLCメディアプレーヤーにそれぞれ置き換えられました。同様に、SynapticとGDebiも削除されました。Full Circleのレビューでは、「Ubuntu Unity 22.04 LTSは、明らかな悪い癖も問題点も確認されない堅実なリリースである。このリリースにおけるUnity Tweak Toolの復活は歓迎できる追加であり、Ubuntu Unity 22.04 LTSが前作の21.10よりも優れていることを意味する。Ubuntu Unityは、ユーザーに多くのカスタマイズオプションに加え、GNOMEやMATEデスクトップのデフォルトアプリケーションを独自に混合したものを提供し続けている」と述べています。

Ubuntu Unity 22.10

Ubuntu Unity 22.10は、公式フレーバーとしては最初のリリースであり、2022年10月20日に発表されました。Ubuntuフレーバーとしての最初の公式リリースで、Ubuntu Unity 22.10はCanonicalの公式サービスであるcdimage.ubuntu.comにホストされました。さらに、libadwaitaアプリケーションからMATEによるその代替への移行が完了しました。UnityパッケージはUbuntuの「Universe」パッケージとしてホストされ、Ubuntu Unityデスクトップは、他のUbuntuフレーバーにubuntu-unity-desktopメタパッケージを追加するだけでインストールできるようになりました。It's FOSSの2022年9月のレビューでは、「若い開発者であるRudra Saraswat氏が、2020年にUbuntu Unity Remixを思い出させる新しいディストリビューションを開始した。それはUbuntuによって破棄されたUnity 7を搭載し、Ubuntu 20.04 LTSの上に構築された。私はそれを無視した。それはUbuntu 20.04ベースの古いUnityに過ぎなかった。3年間コードが触れられていなかった？私はそれを使う理由が分からなかった。およそ2年間そのような状態が続いた。Unityのコードベースに変更はなかった。しかし、2022年6月、6年ぶりにUnityの新しいバージョンがリリースされた。私見では、プロジェクトが実際の進化を示したのはそれが最初であった。そのプロジェクトは最早、以前と同じ古いUnityコードと新しいUbuntuベースを単に組み合わせただけではなく、コード開発が続けられていた」と述べています。DebugPointの2022年10月のレビューでは、「公式となったUbuntu Unity 22.10は、Unityデスクトップのさらなる成長の開始を期待させる。開発の観点から見ると、UnityをUnityX（7以降のバージョン）にするためには、膨大な量の作業が待ち構えている。さらに現時点ではUnityはX.Orgのみをサポートし、Waylandはサポートしていない。一部のユーザーにとって、パフォーマンス重視のワークロードのためにWaylandを採用することは、失敗要因になりかねない。とはいえ、Ubuntu Unity 22.10は平均的なユーザーの日常作業にとっては完璧であり、小型フォームファクターにも最適である。Unityのデザイン、HUDサーチ、グローバルメニュー、左のアクションボタンが好みなら、これは最適な選択肢となるだろう」と述べています。Full Circleの2023年4月号のレビューでは、デスクトップユーザー設定の存在場所が一貫性のないことや、過去のリリースでデフォルトアプリケーションが急に廃止されたり追加されたりすることを批判し、「ユーザーから見れば、最近のリリースにおけるドキュメント化されていないアプリケーションの切り替えには少し困惑してしまう。アプリケーションは次のリリースで理由もなく再登場するために消えるが、それについて意図が存在するとは思えない」と述べています。

Ubuntu Unity 23.04

Ubuntu Unity 23.04は、2023年4月20日に発表された最初の中間リリースであり、アウト・オブ・ザ・ボックスなUnity 7.7デスクトップを搭載した最初のディストリビューションです。このリリースでは、Ubuntu 16.04で説明されたコンセプトの表示に似た新しいDash、パネルの改善、'UWidgets'の実装がもたらされただけでなく、設定アプリとランチャーの外観が大幅に改善されました。Ubuntu Unity 23.04は、2024年1月まで9ヶ月間サポートされる予定です。

Ubuntu Unity 23.10

Ubuntu 23.10は2023年10月12日にリリースされ、2024年7月まで9ヶ月間サポートされる予定です。

アプリケーション

Ubuntu Unityには、デフォルトでいくつかのアプリケーションが含まれています。

リリース一覧

Ubuntu Unity 20.04 LTS
Ubuntu Unity 20.10
Ubuntu Unity 21.04
Ubuntu Unity 21.10
Ubuntu Unity 22.04 LTS
Ubuntu Unity 22.10
Ubuntu Unity 23.04
Ubuntu Unity 23.10

外部リンク

公式ウェブサイト

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