VIP (基幹放送局提供事業者)

株式会社VIP（ブイアイピー）について

株式会社VIPは、かつて移動体向けの地上基幹放送事業を行っていた企業です。V-Low帯（90-108MHz）を利用したマルチメディア放送「i-dio」の基幹放送局提供事業者として、BIC株式会社（後の株式会社ジャパンマルチメディア放送）の完全子会社として設立されました。

概要

「VIP」は、V-Low Infrastructure Providerの略称です。「i-dio」は、6つの広域圏と北海道を対象としたマルチメディア放送で、その基幹放送局の設置・運営をVIPが担う計画でした。2014年には全放送対象地域での特定基地局開設計画が認定され、2016年には東京、大阪、福岡、名古屋の各局が開局しました。その後も、宮城、広島、札幌と順次開局し、最終的には7つの親局と9つの中継局、計16局が開局しました。

また、災害情報伝達システム「V-ALERT」に対応した放送局も3局開局しました。しかし、2019年に親会社であるジャパンマルチメディア放送（旧BIC）の経営状況悪化が表面化。これは、エフエム東京の不正な株取引に端を発した粉飾決算によるものでした。この影響を受け、VIPも特別損失を計上し、「i-dio」の事業継続を断念せざるを得なくなりました。

放送終了と解散

2020年、「i-dio」は放送を終了し、「V-ALERT」業務のみを継続することになりました。これに伴い、「V-ALERT」非対応の13局が廃止されました。対応局も順次廃止され、2022年には全局が廃止となりました。その後、2023年に解散し、2024年には東京地方裁判所が特別清算の開始を決定。負債総額は72億7339万円（2022年度末時点）に上り、特別清算は年内に終結しました。

事業収支

(電子公告から抜粋)

沿革

2014年（平成26年）

1月16日：株式会社VIP設立（資本金20億円、資本準備金20億円）
7月15日：総務省情報流通行政局が6広域圏と北海道の特定基地局開設計画を認定

2016年（平成28年）

3月1日：東京局・大阪局・福岡局（圏内の他3局含む）開局。関東・甲信越、近畿、九州・沖縄広域圏での放送開始
7月1日：名古屋局開局。東海・北陸広域圏での放送開始
7月8日：秦野局開局
10月14日：静岡局開局

2017年（平成29年）

2月9日：資本準備金を8億4791万4千円に減資
3月17日：浜松局開局
7月10日：加古川局開局
10月10日：東京西局開局

2018年（平成30年）

2月1日：福岡局の空中線電力を500Wから3kWに増力
5月1日：宮城局・喜多方局開局。東北広域圏での放送開始
6月26日：広島局開局。中国・四国広域圏での放送開始
12月12日：資本金を0円に、資本準備金を5億5千万円に減資

2019年（平成31年、令和元年）

1月31日：ジャパンマルチメディア放送の出資により資本金を5億円に増資
4月1日：札幌局開局。北海道での放送開始
10月12日：秦野局が台風19号の影響による回線障害で放送停止。20日に復旧
12月25日：ジャパンマルチメディア放送と認定基幹放送事業者6社が2020年3月31日をもって「i-dio」を終了すると発表（V-ALERTは喜多方市、焼津市、加古川市で継続）

2020年（令和2年）

3月31日：正午に「i-dio」放送終了。喜多方局、静岡局、加古川局を除く13局を廃止
7月31日：北海道、関東・甲信越、中国・四国、九州・沖縄の特定基地局開設計画を廃止

2021年（令和3年）

2月16日：資本金を1千万円に、資本準備金を0円に減資
3月：静岡局廃止

2022年（令和4年）

4月：加古川局廃止
12月：喜多方局廃止

2023年（令和5年）

10月6日：株主総会で解散を決議

2024年（令和6年）

1月30日：特別清算開始の決定
4月2日：特別清算終結
5月9日：清算結了により登記閉鎖、法人格消滅

ベリカード

VIPはベリカードを発行していました。受信場所にかかわらず本社設備部への報告を求めていました。

脚注

詳細はエフエム東京#不正会計問題を参照

外部リンク

* 株式会社VIP - ウェイバックマシン（2023年11月2日アーカイブ分）

もう一度検索