Y-8 (航空機)

Y-8 輸送機の概要

Y-8（運-8）は中華人民共和国で開発された多用途のターボプロップ4発中型輸送機です。この機体は中国人民解放軍を中心に軍用輸送機として活用されており、さまざまな任務を遂行しています。Y-8のNATOコードネームはカブ（Cub）で、一部の特殊目的型機には異なる名称が与えられています。

開発の歴史

1960年代、中国はソ連のアントノフ設計局によって設計されたAn-12B輸送機を輸入しました。当初はライセンス生産の計画がありましたが、中ソ対立の影響で技術支援が打ち切られ、結果的に中国の技術者たちはAn-12Bをリバースエンジニアリングし、独自に開発を進めることとなりました。西安飛機工業公司において1969年から設計が始まり、1974年12月に初飛行を果たしました。その後、陝西飛機工業公司によって開発が続けられ、1980年には初の量産機が飛行しました。

設計と特性

Y-8はAn-12の非常に類似した設計を持ち、区別が難しいとされています。高翼配置の主翼を持ち、各主翼に2つのエンジンが取り付けられています。尾翼は標準的な設計であり、機首のガラス窓は航法士用です。前期型では、細長い機首と4つのプロペラが特徴でしたが、後期型では丸みを帯びた機首と6つのプロペラを採用しています。また、改良型では貨物室の与圧化がなされ、より高い高度での人員輸送が可能になりました。

運用状況

Y-8の量産は1981年に開始され、2001年には75機以上が生産されたと言われています。人民解放軍に配備された時期にはすでに旧式化していたものの、改良型のY-8Cや空中投下が可能な機体など、多様な派生型が開発されています。特に1980年代にはアメリカのロッキード社と技術協力を結び、与圧装置を持つ旅客機型の開発にも取り組みました。

派生型の多様性

Y-8には多数の派生型が存在し、運用される任務によって設計が異なります。本機の基本型であるY-8に加えて、軍用輸送型や民間型、さらには対潜哨戒機、早期警戒機など多岐にわたるバリエーションが開発されています。例えば、Y-8Eは無人機発射用に改造された機体であり、Y-8X（Y-8 MPA）は対潜哨戒型です。

特殊任務機の開発

1990年代後半からは「高新プロジェクト」がスタートし、Y-8をベースにした特殊任務機が相次いで開発されました。これには情報収集機、電子戦機、早期警戒機などが含まれており、非常に多様化した運用能力を持っています。派生型にはY-8CBやY-8DZなどがあり、それぞれ異なる装備や機能を搭載しています。

事故と運用国

2017年にはミャンマー国軍が運用していたY-8F200型機が消息不明となり、多くの遺体が発見されつつも依然として31名の行方が分からない状態です。Y-8は中華人民共和国内にとどまらず、カザフスタン、ミャンマー、スリランカなど他の国々でも採用されています。

このようにY-8は、その設計、開発、運用において多くの歴史と実績を持ち、多様な任務に応じた派生型の存在からもその重要性が窺えます。

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