おこし

おこしの魅力：歴史、種類、そして意外なランキング

おこしは、水[[飴]]で固めた穀物菓子として古くから親しまれてきた日本の伝統菓子です。その歴史は平安時代まで遡り、遣唐使が持ち帰った唐[[菓子]]「粔籹（きょじゅ）」が起源とされています。当時、貴族の間で珍重され、神前に供えられるなど、特別な菓子として扱われていました。

『和名類聚抄』にはおこしの製法が記されており、煎って膨らむことから「興米」とも呼ばれたことがわかります。また、『延喜式』にもその記述が残っていることから、朝廷や神事において重要な役割を担っていたことが窺えます。室町時代の文献『庭訓往来』や『猫の草子』にも「おこし米」として登場し、庶民にも親しまれていたことがわかります。

江戸時代には、穀物と水[[飴]]さえあれば簡単に作れたことから、駄菓子として全国に広まりました。『料理物語』には薏苡仁（ハトムギの胚乳）を用いたおこしの製法が記載されており、当時の一般的な作り方を知ることができます。日露戦争中には、明治天皇から兵士へ「恩賜のおこし」が配られ、その人気は広く知れ渡ることとなりました。

大正時代には機械化が進み、より効率的な製造が可能になりました。現在でも、様々な種類のおこしがあり、硬い雷おこしから、柔らかいゆたかおこしまで、その食感や風味は多様性に富んでいます。地域特産のおこしも多く存在し、それぞれに独自の製法や材料、味があります。

例えば、京都では三角形のおこしがおなじみで、特に11月にはお火焚き饅頭と一緒に販売されます。近年は、ゆず風味など、現代的なアレンジが施されたものも見られます。

地域別おこし

東京都: 雷おこし（台東区）
愛知県: ゆたかおこし（豊橋市） - 抹茶餡を挟んだ、柔らかいおこし
岐阜県: こくせん（穀煎、穀選）（飛騨地方） - 胡麻やピーナッツを使用、きな粉をまぶすのが特徴
岐阜県: 笠松志古羅ん（しこらん）（笠松町） - 肉桂入り、飴の分量が多い
大阪府: 粟おこし、岩おこし
愛媛県: 米おこし
福岡県: 阿わやおこし（久留[[米市]]）
佐賀県: 松原おこし（唐津市）
長崎県: 諫早おこし（諫早市） - 黒砂糖を使用した黒おこしなどがある
熊本県: 薏苡仁糖（八代市） - 江戸時代から伝わる、薏苡仁を用いたおこし。現在は限定的にしか販売されていない。
* 茨城県: 八千代おこし（高萩市）

これらの地域独特のおこしは、その土地の風土や文化を反映しており、日本の食文化の豊かさを感じさせます。

意外な事実：「世界のワースト料理100」ランクイン

2023年、日本の「おこし」が、世界の料理を紹介するサイト「テイスト・アトラス」主催の「世界のワースト料理100」で73位にランクインしました。これは、おこしの独特の硬さや、好みが分かれる味覚などが要因として考えられますが、一方で、長年にわたって愛されてきた日本の伝統菓子が、世界的に知られる機会になったとも言えます。

おこしの多様性

このように、おこしは長い歴史と地域ごとの特色を持つ、奥深い菓子です。硬さや味、材料など、多様なバリエーションがあり、人々の嗜好に合わせて進化を遂げてきました。今後も、伝統を守りながら、新たな魅力を生み出していくことでしょう。様々な種類のおこしを味わってみることで、日本の菓子文化の深さを感じ取ることができるでしょう。

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