タマミ

タマミ (Tamami)

タマミは、1967年5月8日に生まれ、1977年7月28日に他界した日本の競走馬であり、繁殖牝馬です。彼女は、1970年の桜花賞を含む中央競馬で5勝を収めており、特に逃げ馬としてのスピードで知られていました。その走りだけでなく、彼女のルックスも魅力的で、多くの人々に「美少女」と称賛されました。1970年度の啓衆社賞最良スプリンターに選ばれ、その才能を証明しました。

経歴

タマミは3歳の8月に東京競馬場でデビューし、初戦を勝利で飾りましたが、続く2戦では2着に留まり、しばらくは苦しい時期が続きました。特に、条件特別戦では5連敗を喫しました。しかし年末には、ようやく条件特別戦で勝利し、再び競争馬としての格を取り戻します。

新年を迎えたタマミは、オープン戦・4歳牝馬ステークスでレコードタイムを出し逃げ切り、2連勝を達成。引き続き、クイーンカップでも重賞初制覇を果たしました。この年、関東には他に強豪馬がおらず、タマミは桜花賞の有力候補馬となりました。

その後、彼女は関西に移り、栗東トレーニングセンターで厩務員の蛯名幸作と共にトレーニングをしました。主戦騎手が田村正光から高橋成忠に変わり、阪神4歳牝馬特別を2番人気で勝利。これにより桜花賞の1番人気に選ばれ、レースでは強敵タニノタマナーを競り潰して圧勝し、見事に桜花賞を制覇しました。

この素晴らしい勝利から続くオークスでは圧倒的な支持を受けていたものの、長距離への大幅な距離延長や不良馬場が響き、大敗を喫しました。その後、秋のクイーンステークスで再び不振に陥るも、スプリンターズステークスでは持ち前のスピードを発揮し、勝利を収めました。結局、この年はこれが最後の勝利となり、最優秀4歳牝馬の座はハーバーゲイムに譲りましたが、タマミは最良スプリンターの称号を手にしました。

5歳になると、京王杯スプリングハンデキャップを勝ち、夏のレースを経て巴賞での3着を最後に競馬を引退し、繁殖牝馬に転身しました。しかし、繁殖成績は振るわず、1977年夏に胃癌により11歳で死去。彼女の血統は曾孫の代で断たれてしまいました。

「美少女」としての評価

タマミは栃栗毛に近い明るい鹿毛の美しい馬体を持ち、細面の顔と大きな白斑が特徴でした。特に「目千両」と称されるぱっちりとした目が魅力的で、しばしば「美少女」としての愛称で親しまれました。競馬評論家の井崎脩五郎と実況アナウンサーの小林皓正も、彼女を「最も可愛かった馬」として同誌で紹介しました。著名な文筆家寺山修司も、タマミの姿を「少女のように可憐」と称賛し、彼女を「日本一の逃げ馬」として挙げていました。

タマミはスタートダッシュの速さで知られ、スプリンターズステークス優勝当時のタイムは当時の記録を持ち、驚異的な性能を示しました。その卓越したスピードと美貌の早世は「美人薄命」として多くの人々に惜しまれました。

血統

タマミの父はカリムで、彼の子供たちにはB級の短距離馬が多かった中、タマミが最も注目される存在となりました。また、彼女の母系は1907年に輸入された牝馬ビューチフルドリーマーに由来し、この系統には多くの優れた馬が含まれています。タマミよりも先代には菊花賞を勝ったインターグシケンや従姉妹に当たるヤマノシラギクなどが名を挙げられます。

タマミは、その能力と美貌で長年にわたり多くのファンに愛された競走馬であり、彼女の存在は今もなお競馬界において語り継がれています。

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