マルクランド

マルクランド（古ノルド語: Markland）は、1000年頃にレイフ・エリクソンが発見したとされる、北アメリカ大陸大西洋岸の3つの土地のひとつです。ヘルランドの南、ヴィンランドの北に位置します。

ノース人がこの地に定住したという記録はありませんが、木材を調達するためにグリーンランドから何度か遠征に来ていたと考えられています。1347年のアイスランドの文書には、マルクランドから帰路に就いた船が途中で航路を外れ、アイスランドに辿り着いたという記述がありますが、マルクランドがどこであるかについての詳細な記述はありません。

位置

ヴィンランドとされるニューファンドランド島から北方のタイガの密林地帯に位置することから、マルクランドは現在のカナダのラブラドール地方の一部であったと考えられています。その他の可能性としては、ポーキュパイン岬の周辺が挙げられます。この地域の気候や植生は、中世の温暖期や小氷期によって、サガに記された時代から大きく変化している可能性があります。

ヘルランドとされる土地はバフィン島からラブラドール地方沿岸の北部、グロスウォーター湾沿いのあたりまで可能性を残すため、ラブラドール地方沿岸のある地域を特定することは困難です。

サガ

グリーンランド人のサガには、ビャルニ・ヘルヨルフソンが最初に記録した航路を辿って、1002年あるいは1003年にレイフが旅立ったと記述されています。レイフが最初に辿り着いた土地は、平らな岩（古ノルド語: Hella）で覆われていたため「岩の国（Helluland）」と名付けられました。次にレイフは平坦で森に覆われ、白い砂浜のある土地に辿り着き、そこを「森の国（Markland）」と名付けました。グリーンランドには小さな森がひとつあるのみで、木材は流木か交易に頼るのが通常であったため、そこでレイフは乗組員に木々を伐採させ、グリーンランドに持ち帰りました。またこのサガには、1010年頃にソルフィン・ソルザルソンが率いる160人の男女が冬囲いのためマルクランドに定住したと記されています。

ノルド語以外の記録

中世における北欧以外のマルクランドについて書かれた記録としては、14世紀前半にミラノの修道士であるガルヴァノ・フィアンマによって記された年代記が唯一のものです。1492年のクリストファー・コロンブスの航海以前では、新世界について言及されているものとして、知られている限りではこれのみです。

関連項目

ヴァイキング
ノース人によるアメリカ大陸の植民地化

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